いただいた鉢植えを、どう手入れしたらいいのか困ってしまうことがあります。
虫が湧くからと鉢植えを嫌がる人も少なくないはずです。
けれど手入れの基本が分かれば、枯らさず、虫が湧くことも防げます。
気を付ける点は「水やり」「肥料」「植え替え」の3点。
ちゃんと育てれば、切り花より長く楽しめるのが鉢植えの良さです。
鉢植えに虫が湧かない方法

室内に鉢植えを置いていると、どうしてもコバエが発生します。
これは土の中の「有機物」が原因です。
有機物とは植物や動物など原料となったもので、これが虫のエサとなります。
防ぐ方法は簡単で、土と肥料を「無機質」のものにすることです。
無機物とは砂や石のような鉱物で、虫のエサにはなりません。
【無機質の土】
無機質の土とは「赤玉土」「鹿沼土」「バーミキュライト」「パーライト」など。
赤玉土と鹿沼土は火山から噴出して堆積した土で、肥料分のない無機物です。
どちらも通気性と保水性が良く、園芸用土としてよく使われます。
コバエは深くまでは潜らないので、土の表面3~5cmほど敷けば十分です。
赤玉土は弱酸性のため多くの植物に適しています。
値段も手ごろなので、ほとんどの場合は表面を赤玉土に変えるだけでコバエが減ります。
鹿沼土は酸性なので、ジャガイモなど酸性土壌を好む作物に適した土です。
ブルーベリー、ツツジ、アジサイなども酸性土壌でよく育ちます。
ちょっと値段が高めですが、インドアグリーン用の土もコバエなどの発生が少なくなります。
パーライトとバーミキュライトはガラス質の鉱物を原料としています。
どちらも軽く通気性が良いことが特徴です。
パーライトは排水性が良く、バーミキュライトは保水性が良いという違いがあります。
パーライトとバーミキュライトは軽いので、表面に敷くと風で飛んでしまいます。
通気性を良くするために土に混ぜて使うことが多い資材です。
【化成肥料】
鉢植えの場合は、堆肥や有機肥料より化成肥料が適しています。
化成肥料は鉱物を原料としており、有機物を含みません。
土に混ぜておくだけの肥料が簡単です。
有機肥料は植物の養分ではなく、土の中にいる微生物のエサになります。
微生物が分解したあとで植物が吸収できる成分に変化します。

有機肥料とは、原料に「生物由来の有機物」を使った肥料のこと。化学肥料は、原料に「鉱物などの無機物」を使い、化学的に製造した肥料です。それぞれメリットとデメリットがあります。使い方を間違えると逆効果になりかねないのが肥料です。
【コバエ除け】
粘着タイプのコバエ除けも効果的です。
土に差しておくだけで、臭いなどもありません。

似た商品が百円ショップでも売っています。
すでにコバエが発生している場合は、鉢ごとバケツの水に10分ほど浸けて退治するのが確実。
水の表面に浮いてきたコバエの死骸を捨て、土を替えて植え替えすると安心です。
水やりの正しい仕方

水やりは毎日とか定期的にするのは間違いです。
常に土の表面が湿った状態だと根腐れしたり、虫が湧きやすくなります。
かといってカラカラに乾ききっては植物が枯れてしまいます。
水やりの目安は「土の表面が乾いたら」です。
土の中にある水分が減ると、植物は水を求めて根を伸ばしていきます。
水をやるタイミングが分かりやすいのが、土に差しておくだけの水やりチェッカーです。

土の中の水分量が減ると色が変わるので、それを目安に水やりができます。
室内に置いてある鉢植えの場合、葉や受け皿に水が残っていると虫が湧く原因となります。
受け皿に溜まった水は必ず捨てることが大事です。
室内でも屋外でも水は「土」に与えるのが正しい水やりです。
そのためジョーロは口が細いものが適しています。
先端部分を取り外せるものが便利です。

葉がホコリっぽくなった観葉植物などは、上からシャワーで洗ってやると生き生きしてきます。
濡れたまま放置すると虫が発生する原因となるので、水分は拭き取る方が安心です。
ベランダに置いてある鉢植えの場合、真夏の日中に植物の上から水をかけるのは良くありません。
特に真夏は水滴がレンズになって葉焼けを起こしてしまいます。

水やりは早朝や夕方の涼しい時間が最適です。
肥料の効果的な与え方

地面に植えた場合と違い、鉢植えの場合は肥料を与えないと養分が足りなくなってしまいます。
ただし肥料の与えすぎには注意が必要です。
不足した養分は後から足せますが、多すぎる養分を取り除くことはできません。
水に入れて使うタイプの液体肥料は、しっかり分量を測ることが大事です。
薄すぎて効果がないならまだしも、濃すぎて枯らすことがあります。
土に混ぜておくタイプの化成肥料だけでも十分です。
肥料は与える「タイミング」や「成分」など注意することがたくさんあります。

肥料は植物の「生育過程」に応じて、適切な「成分」を適切な「時期」に与える必要があります。植物の「根」「葉」「花」「実」それぞれに必要な養分が異なるからです。小さな苗の時期には「根」を発達させる必要があります。さらに大きく成長するためには「葉」を増やして光合成をします。
植え替えのタイミング

買ってきたばかりの鉢苗は、すぐ植え替えしなくてOKです。
まず、そのまま置いて自宅の環境に慣れさせた方がうまく育ちます。
新しい葉が出てきてから植え替えした方が失敗しません。
新しく植える鉢は先に準備をしておきます。
もっと大きく育てるなら、それまで植えていた鉢より一回り大きな鉢に植え替えします。
小さく育てたい場合には、根や枝葉を切ってから同じ大きさの鉢に植え直します。
土がこぼれないよう底穴にネットなどを敷きます。底穴のネットは害虫の侵入も防ぎます。
ポット苗は、鉢から出したらそのまま直径20~25cmくらいの小さめの鉢に植え替えます。
鉢の底に小石を1~2cmほど入れると水はけが良くなります。
ネット入りの小石は次の植え替えの時に取り出しやすくて便利。
洗って何度でも使えます。
植物によって「酸性土壌」を好むもの、「アルカリ土壌」があります。

土のミネラル分が、ペーハーに関係しています。ミネラルが多いほど「アルカリ」度が高く、少ないと「酸性」度が高くなるからです。雨の少ない地域はミネラルが残るため、アルカリ性の土になります。日本は雨が多いため、ミネラル分が流れ落ちて酸性土になりがちです。この酸性・アルカリ性という「ペーハー」が、植物の生育にも大きく影響します。
ペーハー調整は初心者にとっては少々ハードルが高いもの。
土は「野菜用」「ハーブ用」「花用」など植えるものに応じた培養土を使うのが簡単です。
植え替えする前は水やりをせず、土を乾燥させておくのがコツです。
するっとポットから出せるので根を傷めません。

苗を鉢の真ん中に置き、高さを調整しながら土を入れます。
植え付けできたら底から水が流れ出てくるまで「たっぷり水やり」します。
そして土が凹んでしまった部分には土を足して、さらに水やりします。
植え替え後は「直射日光が当たらない場所に置く」のがポイントです。
まだ根づいていないので、まずは根を育てることを優先します。
新しい枝が伸びて「葉」が出てきたら根づいたサインです。
日当たりの良い場所へ移動させて、枝や葉を育ててやります。
苗を植え付けてから「2年後」くらいには、また植え替えが必要になってきます。
地上部も根も伸びて、鉢が窮屈になっているからです。
植え替え時期の目安は4つあります。
- 土の表面から根が出てきた時
- 鉢の底から根が出てきた時
- 水やりしても水がしみこんでいかなくなった時
- 葉先が枯れたり、下葉が落ちた時
植え替えは「春」が最適です。
根が乾きやすい真夏、休眠中の真冬に植え替えすると生育が良くありません。
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