土壌改良に適しているのは「秋」。
植物が成長し始める春までに微生物が増え、自然と土質を変えていくからです。
宿根草も休眠中なので土を掘り返しても大きなダメージをあたえません。
土壌改良には時間がかかるので、植物の生育時期に間に合う「時期」に始める必要があります。
土作りの手順

硬く締まった土なら、ほぐして柔らかくしておくことも必要です。
まだ土が育っていない状態なら、堆肥を入れて土壌改良を行います。
秋に土作りをしておけば、微生物が増え、春には植物を植えられる状態になっています。
すでに植物が植えられている庭でも、植物が休眠している秋から冬なら土作りができます。
春に行う場合は、苗を植え付けする1カ月くらい前には済ませておきます。
- 土を耕す
- もみ殻燻炭を酢をまく
- 枯葉や落ち葉を敷く
- 米ぬかをまく
- 土を戻して枯草を敷く
- ネギの苗を植える
米ぬかは有益な微生物を増やし、ネギは病原菌を減らします。
土壌改良の目的は、「植物」と地中に棲む「微生物」の共生関係を作ることです。
微生物は、呼吸や排せつによって、植物の養分を作り出しています。
そして植物は、光合成でできた糖分を根から出し、微生物に与えています。
【土を耕す】
まずは地表の草を刈り取り、土を耕して大きな石などを取り除きます。
深さ「30cm」ほど土を掘り出すと、土中に空気も入ります。
地面にスコップを突き刺し、そのまま持ち手を押し下げて土を持ち上げます。
掘り上げた土は横に置いておきます。
庭や菜園の奥から始め、「後ろ向き」に耕していくと効率的です。
【もみ殻燻炭と酢をまく】
土を掘り出した地面の底に「もみ殻燻炭」をまきます。
分量は土が隠れる程度で十分です。

その上から100倍に薄めた「食酢」を振りかけます。
【枯葉や落ち葉を敷く】
土の底には「枯草」を敷いておきます。
これは水はけを良くするためです。
枯草は「ススキ」など「茎が空洞」になった「イネ科」の草が適しています。
茎に空洞のない「稲」は腐りやすいため適していません。
【米ぬかをまく】
土作りに使う「米ぬか」は、微生物のエサとなるものです。
微生物の種類が増えると、病原菌ばかり増えることがなくなります。
枯草の上から薄く「米ぬか」をまきます。

その上から、また「籾殻燻炭」をまき、100倍に薄めた「酢」を振りかけます。
【土を戻して枯草を敷く】
掘り起こした土を戻して穴を埋め、その上から「ススキ」などの枯草を敷いておきます。
これは地表の乾燥を防ぐためです。
ところどころに「竹」や「木の棒」などを置いて、枯草が風で飛ばされるのを防ぎます。
【ネギの苗を植える】
土の準備ができたら、ネギの苗を植えておきます。
ネギが病原菌を抑える役割を果たします。
不耕起栽培では、土を掘り起こすのは最初の1回だけ。
その後の4~5年は土を耕しません。
それはミミズなどの土壌生物と土中の微生物を安定させるためです。
トラブルが出にくい土作り

他種多様な微生物がいる土では、植物の病気なども減ります。
たとえ病原菌がいても、植物に害を及ぼすほどではなくなるからです。
土中の生物を増やすために、多種多様な「有機物」を土に入れます。
微生物の種類によって、好む有機物が異なるからです。
同じ種類の有機物ばかり加えると、生物の種類も偏ってしまいます。
多様な生物が棲む土では、病害虫も、連作障害も起きにくくなります。
そのために土に加えるのが「堆肥」です。
繊維質の堆肥は、土の「表面」に混ぜるのが基本です。
空気が入り、微生物が棲みやすく、堆肥が分解されやすくなります。
肥沃な土とは「微生物」と「植物」が共生できる「バランスの良い土」のことです。
必ずしも養分たっぷりの土というわけではありません。
むしろ養分が多すぎると病害虫の発生を増やすこともあります。
手入れに使う道具

自然栽培では、ほとんど電動の機械類は必要ありません。
草刈りも薬剤散布も不要だからです。
例えば「軍手」と「ハサミ」さえあれば、ほとんどの作業ができます。
あとは必要に応じて買い足していけば充分です。
キッチン用品や文房具などで代用できれば、それでも構いません。
【必要な道具5選】
以下の5個があれば、ほとんどの作業は楽にできます。
- のこぎり鎌
- ハサミ
- 軍手
- シャベル
- 移植ゴテ
用途を知れば、家にあるもので代用できる場合もあるものです。
●軍手
軍手は「草刈り」する時に草を手で掴むため、「手の保護」に使います。
土を寄せたり、草を取ったり、軍手ひとつで多くの作業ができます。
使いやすいのは「手の平がゴム」になった軍手で、力を入れる作業もスムーズです。

道具を使う時も、軍手があると力が入りやすくなります。
●木バサミ
枝切り用の小さなハサミは「収穫」や「剪定」をする時に使います。
ステンレス製だと錆びにくくて丈夫です。

紙ハサミやキッチンバサミでも代用できますが、切れ味の良いハサミを使わないと植物を傷めます。
●のこぎり鎌
細かく溝が刻まれたノコギリ鎌は「地上部の草を刈り取る」時の道具。
広いスペースや長く伸びた草を刈る時に、草を手でつかんで鎌で払うと楽です。
研ぐ必要はありませんが、使用後は汚れを拭き取っておきます。
刃が厚くて丈夫なものを選ぶと長く使えます。
狭いスペースなら、手で引き抜いたり、ハサミで切ったりすれば草刈りできます。
●移植ゴテ
先端がとがった小さなスコップは「苗の植え付け」の時に穴を掘るために使います。
移植ゴテは「根菜類の収穫」にも便利です。
周囲の土を移植ゴテで取り除いてから引き抜くと、野菜を傷めず楽に抜き取れます。
ステンレス製で、取っ手と刃が一体型だと折れずに長持ちします。
小さな鉢に土を入れたり苗を植える時なら、大きめのスプーンでも代用できます。
●シャベル
先端が尖った大きなスコップは「土を耕す」時に使います。
大きくなった「イモ類」や「根菜類」を掘り出す時にも、あると便利です。

鉢植えだけなら移植ゴテやスプーンで十分ですが、庭の土作りや地植えには必要です。
【あると便利な道具6選】
作業によっては以下の6個もあると便利です。
- 平鍬(クワ)
- 三角ホー
- ジョウロ
- 熊手
- メモリ付きバケツ
- 砥石
シャベルや軍手で間に合う場合も多くありますが、道具を使うことで効率的に作業できます。
●平鍬
先端が幅12cmくらいの小さめのクワは「地面を平らにならす」時に使います。
苗を植えた後に「土を寄せる」時や、イモ類を「掘り出す」時にも使えます。
植物を植えた後に「土を固める」時は背の方で叩くと楽です。
柄の部分と刃先が固定されていて、抜けにくいものだと長持ちします。

移植ゴテやシャベルで代用できますが、広い庭や菜園の場合には活躍します。
●三角ホー
三角形の刃が直角に付いたクワは「土を寄せる」時や、生え始めの「草取り」に使えます。

三角ホーを使うコツは、刃と直角の方向へ、斜めに引くことです。
●ジョウロ
水やりの時に使うジョウロは「7リットル以上」の大きなものだと一度にたくさん水やりできます。
水を入れる部分にネットが付いていると、ゴミなどが入りません。
ジョウロとバケツどちらかあれば水やりできます。
●メモリ付きバケツ
目盛りの付いたバケツは、米ぬか、燻炭など「分量を量る」時に便利です。
掃除用のバケツやタライなどでも代用できますが、新たに買うなら「目盛付き」がおすすめです。
●熊手
熊手は刈り取った草や落ち葉を「集める」ための道具です。
土作りの最初には「堆肥を土の表面に混ぜる」時にも使えます。
秋に落ちる大量の枯葉を集めて腐葉土にすると、土壌改良にも効果的です。
●砥石
鎌やハサミを研ぐ時に使います。
切れ味の悪いハサミで枝を切ると、病原菌が入りやすくなります。
常に研いであるハサミでスパっと切るのが剪定のコツです。
粗いもの、中くらいのもの、仕上げ用、3種類あると理想的です。
【広い庭や菜園で活躍する道具3選】
狭い庭や鉢植えなら上記の道具だけでも充分に作業できます。
ただし庭や菜園が広い場合には、さらに道具類がないと作業が大変です。
以下の3つは、あると作業効率がグッと高まります。
●水やり用ホース
ホースは様々なものがありますが、水が抜けると自然に縮むホースが便利です。

巻き取る手間も要りません。
●草刈り機
広いスペースの草刈りには、手動式が便利です。
音が静かなので時間や曜日を気にせず使えます。

電源や燃料も不要なので、思いついた時サッと草刈りできます。
●長鎌
柄が140cmくらいある鎌は「土手や広い部分の草刈り」に使います。
立ったまま作業できるので楽です。
切れ味を保つためには、常に研いでおきます。
家庭菜園では、できるだけ薬剤を使わない方が安心して食べられます。
子供やペットが遊ぶ庭なら、除草剤なども使わない方が安全です。
そのため土壌改良による無農薬栽培が適していると思います。
施肥や薬剤散布は素人には難しい作業です。
分量やタイミングを間違えると逆効果になることも多くあります。

庭や家庭菜園を無農薬で栽培するなら、天敵を利用すると楽。小鳥などが、セッセと虫を食べてくれます。肉食の昆虫や爬虫類も、植物を食害せず虫を食べてくれます。
私自身も、植物を枯らす原因が、肥料の与えすぎということがありました。
タイミングよく薬剤を散布するには、常に植物や周囲の状況を観察することも大事です。
とはいえ、なかなか植物の手入れにばかり関わっていられません。
できるだけ手間がかからない方法が、長続きするガーデニングのコツです。
土作りさえ手助けしてやれば、植物は自らの力で育つ強さを持っています。
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