バラは「枝の伸び方」によって「種類」と「植え場所」を決めるのがポイント。
枝の伸び方によって「花の付き方」や「株の大きさ」が異なるからです。
例えば蔓バラは花が咲かない枝が出て伸び続け、翌年この枝に花が咲きます。
ですから花のない枝も切らずに、誘引しておくだけのスペースが必要です。
バラの種類と特徴に応じて植え場所を決めるとバランスよく配置できます。
バラの種類と植え場所の決め方

バラの種類と植え場所を決める際に大事なのが「枝の伸び方」です。
「木バラ」と「蔓バラ」では、枝の伸び方が大きく異なり、花の付き方も違います。
特徴を考慮して植え場所を決めないと、思うような形に仕上がりません。
四季咲きで何度も咲くため大きくならないのが木バラ。
一季咲きで年に一度しか咲かないため大きくなるのが蔓バラです。
【木バラと蔓バラの違い】
バラの大きさは、花が咲くまでの期間によって決まります。
なぜなら「花が咲くと枝の伸びが止まる」からです。
大輪のバラほど咲くまでに時間がかかり、枝が伸び続けて大きくなります。
木バラと蔓バラの枝の長さも花の咲き方に関係しています。
木バラは「今年」に出た枝に花が咲きますが、蔓バラは「昨年」に出た枝に花が咲きます。
花が咲くと枝の伸びが止まるので、木バラは1~3mほどの高さにしか伸びません。
蔓バラは花が咲くまでに一年もかかるので枝が長く伸び続けます。
【木バラの種類】
木バラに木立性の「ブッシュローズ」と半つる性の「シュラブローズ」があります。
花の咲き方は、多くが春と秋に咲く四季咲きです。
四季咲きバラは、花の大きさによって「ハイブリッド」「フロリパンダ」「ミニ」に分けられます。
・大輪の花が咲くのがハイブリッド系
・中輪の花が咲くのがフロリパンダ系
・花が小さいのがミニバラ
ミニバラは花が小さいので短期間で咲き、咲くたびに枝の伸びが止まるので大きくなりません。
【蔓バラの種類】
蔓バラには上に伸びる「クライミングローズ」と横へ伸びる「ランブラーローズ」があります。
枝の伸び方と性質が異なるので、使い分けが大切です。
大きく育つだけに、後から植え直すのは大変な作業になります。
壁面なら上に伸びるクライミングローズが適しています。
背の低いフェンスなら横へ伸びるランブラーローズが適しています。
植え場所に適したバラの選び方

アーチやフェンスに這わせる場合、必ずしも蔓バラが適しているとは限りません。
蔓バラは、種類によって大きすぎたり、枝が曲げにくかったりするからです。
上に伸びるか、横へ伸びるか、四方へ広がるかでも植え場所は異なります。
トゲのあるバラを移植するのは大変なので、最初から性質に応じた場所に植えるのが大切です。
【アーチに適したバラ】

一般に市販されている小型のアーチなら木バラの「ブッシュローズ」が適しています。
花が咲いた位置で枝の伸びが止まるので、剪定で枝の長さを調節できるからです。
アーチに沿って枝を誘引しながら、伸ばす枝と切る枝をバランスよく配置できます。
【家の壁面に適したバラ】

家の壁面に這わせるなら「クライミングローズ」が適しています。
太い枝が上に向かって伸び、3m以上にもなるからです。
よく日が当たる先端の枝がしなった場所に花が咲きます。
その年に伸びた新しい枝が上に向かってどんどん伸び、枝の長さは4~5メートルほど。
クライミングローズは枝が太くて曲げにくいですが、壁面を覆うのに最適です。
窓辺を飾るなら「クリーピングタイプのランブラーローズ」が適しています。
枝が細くて柔らかいので、誘引しやすいからです。
【パーゴラに適したバラ】

パーゴラ(つる棚)に這わせるなら「ランブラーローズ」が適しています。
枝が四方へ広がるように伸び、弓状にしなって6m以上になるからです。
大きく広く伸びるので、パーゴラ全体を覆うことができます。
逆に壁面やトレリスのような平面では使いにくい蔓バラです。
【トレリスに適したバラ】

1~2m程度のトレリスなら半つる性の「シュラブローズ」が適しています。
枝の長さが2mほどで、しなやかな枝は誘引しやすいからです。
四季咲き、一季咲き、大輪、小輪、花が美しいものや香りが良いものなど様々な品種があります。
木バラと蔓バラの中間的な性質です。
シュラブローズは、庭の中央やトレリスなど様々に使えるバラです。
剪定の仕方によって、小さく育てることも枝を伸ばして大きく育てることもできます。
【庭の前面や中心部に適したバラ】

庭の前面や中心部に植えるなら「ブッシュローズ」が適しています。
多くが四季咲きで、樹高1m前後の木立性なので誘引の必要がないからです。
枝が上に伸びるタイプで、剪定で大きさや花つきを調整できます。
豊富な品種から選べることも魅力で、ティー系、チャイナ系に多い品種です。
・シャープで大輪の花が多い「ハイブリッドティ」
・房になって花が咲きボリュームがる「フロリパンダ」
・ぽってりした花が咲く「イングリッシュローズ」
・小さく可憐な花が咲く「ミニバラ」
一重咲きのノイバラは、ローズヒップを収穫できることも魅力。
樹高は1~3m程度で、5~6月に白や薄ピンク色の花が咲きます。
河原など水が豊富で日当たりの良い場所に自生している野性的なバラです。
種や挿し木で増やすことができ、他のバラの台木としても使えます。
木立性で四季咲きのフロリパンダ「ボレロ」は病気に強く、初心者にも育てやすいと言われるバラです。
樹高は80~120cmとコンパクトなので鉢植えでも育てられます。
香りも良い品種で、花つきが良く、中央部がうっすらピンクに色づき豪華な花が咲きます。

香りの強い「ジャンヌダルク」は枝が太く直立してトゲが多め。
強い女性戦士の名にふさわしいバラです。
高さ80cm、幅50cmくらい。直径10cmの黄色い花が美しく、どんどん新しい枝が出て花が咲きます。
花が咲くにつれて、アニスとフルーツのような強い香りも変化していきます。

ダマスク系の強い香りが魅力の「サイレントラブ」は日本で作られたバラです。
木立性で樹高は100~120cmくらい。
ひらひらした花びらで10~12cmもの大輪の花が咲きます。

スペースに余裕がある場所なら「シュラブローズ」が適しています。
枝は横に広がりながら上に伸び、ボリューム感が出せるからです。
・香りが良い「オールドローズ」
・ぽってり華やかな花が咲く「イングリッシュローズ」
魅力的な品種が多く含まれます。
【低いフェンスに適したバラ】

つるバラの「ランブラーローズ」はフェンス、トレリス、パーゴラなどに向いたバラです。
枝が細かく分かれ、横へ這うように伸びます。
枝の長さが5~10メートルにもなり、垂れ下がって地面につくこともあります。
枝が細いため曲げやすく、誘引することで様々な樹形にできるバラです。
高さ1mほどの低いフェンスに這わせるなら「クリーピングタイプのランブラーローズ」が適しています。
枝が細くて柔らかいので、無理なく水平に誘引できるからです。
フェンスに這わせたバラは、トゲを有刺鉄線のように使えます。
近隣に生息する野生動物が入り込まないようにしたり、ペットが外へ出ないようにしたりできます。
殺風景な有刺鉄線より見た目が良くなることが最大のメリットです。
トゲが多く、釣り針のような形をしているのが「パーペチュアリーユアーズ」。
樹高180cmくらいで、鉢植えでも地植えでも育てやすい初心者向きのバラです。
香りが良く、クリーム色の花が繰り返し咲きます。

中国原産の「ロサ・レヴィガータ(ナニワイバラ)」は、関東より南の地域なら常緑で育ちます。
寒冷地では育ちにくいバラです。
日当たりの良い場所を好み、成長が早く、蔓が5mにも伸びるのですぐにフェンスを覆ってくれます。
大輪で一重咲きの真っ白な花が美しく、梅に似た爽やかな香りがあり、ローズヒップも楽しめます。

寒冷地でも育てられるのが「ハマナス」です。
温帯から冷帯の海岸など砂地に自生するバラで北海道でもよく見られます。
バラ科バラ属の落葉低木で、樹高は100~150cm。5~8月に赤や白の香りの良い花が咲きます。
8~10月に実るローズヒップが食用になります。
ハマナスの実にはビタミンCとカロテンが豊富で、生で食べられます。
「サンショウバラ」「ジャッケイバラ」もトゲが多いバラです。
どんなバラを植えるかは、色やサイズなど何か一点、条件を絞ると決めやすくなります。
バラは種類が豊富なので、必ず条件に合った品種が見つかるはずです。
例えば大小さまざまな白バラばかりを集めたホワイトガーデンとか、香りのよいバラをメインにするとか。
テーマを決めておくと、その中から気に入ったバラや環境に適した品種を探せます。
園芸市や花屋さんの店頭で好みのバラと出会う場合もあります。
そんなバラを活かせる場所を探すのも楽しみのひとつです。

コンパニオンプランツで、バラの無農薬栽培も可能になります。相性の良い植物を混植すると、バラの病害虫が減るからです。野菜や雑草にも、コンパニオンとなるものがあります。
当ブログを整理・加筆・修正して電子書籍と紙の本で出版しています。
Unlimited会員なら無料でダウンロードできますので、よろしかったら覗いてみてください。











