バラの手入れでは「剪定」が欠かせません。
枝を切ると新芽を伸ばし、どんどん花を咲かせるからです。
鉢植えの場合は「水やり」「施肥」「植え替え」も行う必要があります。
バラ苗の植え付け
バラ苗が多く出回るのが開花時期の「5~6月」と「10~11月」。
花や枝葉の状態が良い苗を購入したら、花が終わった頃に枝を切って植え付けします。
バラの苗は「秋」に植え付けしたほうが丈夫に育ちます。
植え付け後に「冬越し」させると病害虫がつきにくいからです。
寒冷地でなければベランダで冬越しできます。
水やりの正しい方法

充分な光合成を促すために、水やりは「早朝」が最適です。
ですがバラは夜間に成長するので、夕方の水やりはバラの成長を促します。
早朝でも夕方でも水やりするのは「土が乾いている時」です。
常に土が湿った状態にしておくと、病害虫が発生しやすくなります。
花が咲いている時期は多くの水分を必要としますが、花に水がかからないよう注意が必要です。
花びらが濡れると傷む原因となり、病害虫が付きやすくなります。
口が細いジョーロを使い、土に直接、水を注ぐようにして水やりします。
バラが休眠中の冬は、土がカラカラになっていても水やりは不要です。
【水やりの基本】
水やりは毎日、定期的にする必要はありません。
むしろ毎日ちょこちょこ水やりするのは厳禁です。
土の表面が乾いていないうちに水やりすると、常に土が湿っている状態になります。
これが根腐れや病害虫の原因です。
必ず「土の表面が乾いてから」「鉢底から水が流れ出るまで」たっぷり水やりするのが基本です。
【水やりは「早朝」がベスト】
根から吸収した水分が葉先まで行き渡るのに4時間くらいかかります。
例えば朝7時に水やりすると、葉先まで水分が行きわたるのは11時。
すると日光が出ている時間帯に十分な光合成ができて元気に育ちます。
お昼過ぎに水やりすると、水分が行きわたる頃には夕方です。
日が沈んでからは光合成ができません。
ですから効率よく水分を使えないことになってしまいます。
真夏の日中に水やりすると、すぐに水が蒸発して周辺の空気がジメジメする原因ともなります。
水やりを忘れた場合は、涼しくなる夕方にします。
【葉や花に水をかけない】
「根元の土」に水を与えるのが正しい水やり法です。
そのため口が細いジョーロが適しています。
植物の上からジャージャー水をかけるのは良くありません。
ベランダでは近隣に水滴が飛び跳ねて迷惑ですし、植物にとっても悪影響があります。
- 開花している花に水がかかると「花が痛む」
- 葉についた水滴がレンズになり「葉焼け」の原因となる
- 跳ね上がった土が葉裏に付くと「病害虫」が付きやすい
【鉢底から水が流れ出すまで水を与える】
水やりには空気を補充し、土の中の「微塵」や「病原菌」を洗い流す目的もあります。
微塵が鉢底に溜まると土が硬くなり、根が水分や養分を吸収できなくなります。
根の先端から出ている「細い根」まで水を行きわたらせることも大事です。
植物は細い根からしか水や養分を吸収できません。
肥料の効果的な与え方

土の上に固形肥料を置いておけば、水やりのたびに溶け出して効果が長く続きます。
「春」と「秋」には、水やりの時に「薄い」液体肥料を加えると次々と花が咲きます。
花や実の養分となる「リン酸」が多めの肥料が効果的です。
バラが弱っている時に肥料を与えるのは逆効果です。
病害虫が発生している時に肥料を与えると、むしろ害虫や病原菌のエサとなってしまいます。
真夏も、肥料が病原菌や害虫を引き寄せる原因となりがちです。
「12~2月」に「寒肥」「元肥」と表示されている肥料を土に混ぜ込んでおきます。
少しずつ養分が土に溶けだし、春になると枝葉が伸び始めます。
冬の間に与えると良いのが、翌年の枝葉を育てる「窒素」が多めの肥料です。
バラは冬になると休眠していますが、2月くらいから根は伸び始めています。
培養土に肥料が入っている場合は、元肥を追加する必要はありません。
肥料が配合されていない用土の場合だけ「元肥」という肥料を加えます。
バラの根が肥料に触れないよう、土の上に乗せておくタイプの固形肥料が便利です。
植え替えの時期とやり方

鉢植えバラは定期的に植え替えする必要があります。
植え替えの適期は、花が咲いていない「秋」か「春」です。
花が咲いている時期や、休眠中の冬に植え替えすると弱ってしまいます。
土中の病原菌や害虫の卵などを取り除くため、土も新しくします。
バラ用の培養土を使うのが簡単で失敗しません。
植え替えするバラは、葉を全て取り除き、枝も短く切っておきます。
【植え替えの時期】
苗を植え付けてから「2年後」くらいには、また植え替えが必要になってきます。
地上部も根も伸びて、鉢が窮屈になっているからです。
植え替え時期の目安は4つあります。
- 土の表面から根が出てきた時
- 鉢の底から根が出てきた時
- 水やりしても水がしみこんでいかなくなった時
- 葉先が枯れたり、下葉が落ちた時
植え替えは「春」が最適です。
根が乾きやすい真夏、休眠中の真冬に植え替えすると生育が良くありません。
【植え替えのコツ】
植え替えする前は水やりをせず、土を乾燥させておくのがコツです。
するっとポットから出せるので根を傷めません。
【鉢の準備】
新しく植える鉢を先に準備をしておきます。
もっと大きく育てるなら、それまで植えていた鉢より一回り大きな鉢に植え替えします。
小さく育てたい場合には、根や枝葉を切ってから同じ大きさの鉢に植え直します。
土がこぼれないよう底穴にネットなどを敷きます。
底穴のネットは害虫の侵入も防ぎます。
水はけを良くするため、鉢の底には2~3cm深さまで小石を入れておきます。
小石はネットの袋などに入れておくと、次の植え替えの時に取り出しやすくて便利です。
ネット入りの小石は洗って何度でも使えます。
【根を切る】
鉢から出した植物は、まず底の方にある根をほぐし、植え替える鉢の大きさに合わせて根を切ります。
ぐるぐる巻いている根もハサミで切ります。
枝や根を切る時には「清潔なハサミ」を使うのがコツです。
切れないハサミで傷をつけると、病原菌が侵入しやすなります。
錆びにくい剪定ばさみが1本あると重宝します。

用意した鉢に入れて高さを調節し、新しい土を入れて水やりします。
凹んだところに土を足し、さらに土が凹まなくなるまで水を与えます。
根付くまでは「支柱」を立てて、幹を麻ひもなどで固定しておきます。
【植え替え後の管理】
植え替え後は「直射日光が当たらない場所に置く」のがポイントです。
まだ根づいていないので、まずは根を育てることを優先します。
新しい枝が伸びて「葉」が出てきたら根づいたサインです。
日当たりの良い場所へ移動させて、枝や葉を育ててやります。
病害虫を防ぐバラの手入れ法

病害虫は「新しく出た枝」や「新芽」の部分に発生しやいものです。
枝が伸びる春から夏には特に対策が必要です。

乾燥によって発生するのが「うどんこ病」「ハダニ」「アブラムシ」です。
花が咲いていない時期に、葉の裏側に勢いよく水をかけると退治できます。
花が咲いている時期なら「米ぬか」を塗るのが効果的です。
アブラムシやハダニが窒息死し、バラの養分ともなります。
バラの病害虫を防ぐポイントは「湿度」に注意すること。
病害虫の発生は「乾燥」や「湿気」が原因のことが多いためです。
乾燥しすぎると害虫が付きやすくなるので「水やり」が欠かせません。
かといって、ジメジメすると、カビが原因の病気が発生しやすくなります。
ですから「剪定」で風通し良くすることが予防になります。
「剪定」と「水やり」の2点に注意するだけで防げる病害虫は少なくありません。
バラの剪定
バラの剪定は、花が終わった時期と、休眠中の冬が適期です。
- まず「枯葉」「枯れ枝」を全て取り除く
- 残す枝は「芽が外側に付いている位置」で切る
- 切る部分は「芽の先1cm」を残す
- 切り口を「水平に」する
木バラと蔓バラでは「枝の長さ」が花の咲き方に関係しています。
そのため剪定で切る枝が異なります。
木バラは「今年」に出た枝に花が咲きます。
そのため新しい枝を残して、古い枝は切り落として構いません。
木バラには、木立性の「ブッシュローズ」と半つる性の「シュラブローズ」があります。
多くが春と秋に咲く四季咲きで、花が咲くと枝の伸びが止まるので高さ1~3mほどです。
蔓バラは「昨年」に出た枝に花が咲きます。
そのため古い枝も残しますが、2年以上経った枝は切り落として構いません。
一季咲きの蔓バラや、半つる性のシュラブローズは、枝が伸びて大きくなります。
一季咲きの蔓バラは、花が咲くまでに一年もかかるので、枝が長く伸び続けます。

日当たりと風通しが良くなると、カビが原因の病気が減ります。枝を切って減らすと養分が行きわたり、新しい芽が付きます。古い枝を切ると新しい芽が伸びて、そこに花が咲きます。
鉢植え向きのバラ

鉢植えで育てやすいのが「四季咲き」の「ブッシュタイプ」のバラです。
花の咲く時期が長く、枝が伸びすぎないためコンパクトに育てられます。
例えば「ミニバラ」が四季咲きのブッシュタイプです。
花の大きさによって、四季咲きバラは3種類に大別されます。
- 大輪の花が咲く「ハイブリッド系」
- 中輪の花が咲く「フロリパンダ系」
- 花が小さな「ミニバラ」
ブッシュタイプは「木立性」とも呼ばれ、花が咲くと成長が止まるのが特徴です。
カタログなどで「ハイブリッドティ(HT)」「フロリパンダ(F)」「ポリアンサ(Pol)」「ミニ(Min)」「四季咲き性ブッシュローズ」と表記されています。
花が小さいほど早く何度も咲き、大きくなりません。
大輪のバラほど 咲くまでに時間がかかり、それだけ枝が伸び続けて大きくなります。
【病気に強くコンパクトな白バラ】
フルーティな香りの「ボレロ」は鉢植え向きの白バラ。
病気に強く、コンパクトに育ちます。
高さ80cm、幅80cmくらい。
トロピカルフルーツのような甘い香りが魅力です。

真っ白な花びらの中央が淡いクリーム色で、とても綺麗。
【トゲが少なくコンパクトなバラ】
ピンクの「サイレント・ラブ」は鉢植え向きの四季咲きバラ。
冬の剪定で小さくでき、トゲが少ないので切り花にしやすいからです。
高さ100cm、幅60cmくらい。
枝は直立ぎみに大きく伸びて、新しい枝に豪華な花がたくさん咲きます。
直径8~10cmの花は、ウェーブ状で美しいウェーブ状の花びら。

ミントとハチミツのような強い香りがあります。
【病気に強く美しいバラ】
印象派の画家モネに捧げられたのが「クロード・モネ」という品種。
病気に強く、少しずつ変化していく花色が美しいバラです。
高さ100cm、幅80cmくらい。
咲き始めはピンクとアイボリーの花が少しずつ変化していきます。
そして、ピンクと淡いオレンジの華やかな花びらになります。

夏は花が小さくなりますが、次々と咲き続けます。
【明るい雰囲気のオレンジ色のバラ】
ひらひら波打つ花びらが可愛い「ジャストジョイ」は明るく豪華なバラ。
直径14cmにもなる大輪の花が、春から夏はアプリコット色。
秋になると色が濃くなります。
高さ100cmくらい。

香りが強く、切り花でも鉢植えでも楽しめます。
【切り花で楽しめるバラ】
香りの強い「ジャンヌダルク」は切り花で楽しめるバラ。
直径10cmの黄色い花が美しく、どんどん新しい枝が出て花が咲きます。
高さ80cm、幅50cmくらい。
花が咲くにつれて、アニスとフルーツのような強い香りも変化していきます。
枝は太く直立してトゲが多めで、強い女性戦士の名にふさわしいバラです。

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