土のミネラル分が、ペーハーに関係しています
ミネラルが多いほど「アルカリ」度が高く、少ないと「酸性」度が高くなるからです
雨の少ない地域はミネラルが残るため、アルカリ性の土になります
日本は雨が多いため、ミネラル分が流れ落ちて酸性土になりがちです
この酸性・アルカリ性という「ペーハー」が、植物の生育にも大きく影響します
ペーハーとは?
ペーハーとは、0~14の数値で表される「水素イオン」の値です。
- 中心の「7」が中性
- 7より低いほど酸性度が高い
- 7より高いほどアルカリ度が高い
リトマス試験紙を浸すと「酸性(0~6.9)なら赤」「アルカリ性(7.1~14)なら青」に変色します。
【土のペーハーを左右する条件】
土のペーハーを左右する条件は、ミネラルの量だけではありません。
- 岩石の性質
- 腐植の量
- 降雨量
- 日照
- 温度
肥料を加えたり、植物を植えたりすることでもペーハーは変わります。
ですから新たに植物を植える場合は、ペーハーを測り直したほうが安全です。
地中海沿岸が原産地のハーブ苗を植える時は、土に「石灰」を加えます。
これは原産地の土が、アルカリ性の「石灰」を多く含む土壌だからです。
石灰には「ミネラル」分が多く含まれるため、水はミネラルウォーターになります。
海苔の乾燥剤などとして使われている白い粉末が「消石灰」。
ギリシャに白い家が多いのは、白い石灰が豊富で壁塗りに使われるためです。
植物は原産地の土質に応じて、生育しやすいペーハーが異なります。
例えばトマトに適したpHは5.5~7.5くらいの弱アルカリ性です。
【アルカリ土壌を好む植物】
アネモネ、カスミソウ、キンギョソウ、キンセンカ、クリスマスローズ、ゼラニウム、シクラメン、スイセン、スズラン、デルフィニウム、ワスレナグサ、ライラック、ホウレンソウ。
これらはpH7以上のアルカリ土を好みます。
【酸性土壌を好む植物】
ツツジ、サツキ、青花アジサイ、ブルーベリー
これらはpH5.0くらいの酸性土を好みます。
土のペーハーを調べる方法
土が酸性かアルカリ性かを調べる簡単な方法が「二十日大根」の種を蒔いてみることです。
二十日大根はアルカリ性の土でなければ生育しません。
20日で収穫できるほど成長が早いので、すぐに結果が分かります。
二種類を用意するのは、生育の差を見るためです。
- 「庭の土(50g)」と「脱脂綿」を、それぞれ小皿に入れる
- 水が溜まらない程度に、霧吹きで湿らせてから、種を30粒ずつ蒔く
- 土や脱脂綿が乾いたら霧吹きで湿らせる
数日で発芽するはずです。
よく発芽して成長すればアルカリ性、生育せず芽が枯れたら酸性と考えられます。
あまり生育が良くないのは、塩分など他の要因の場合もあるので、あくまでも目安です。
自然と生えている雑草もペーハーを知る手掛かりになります。
酸性土壌に生えてくる雑草があるからです。
例えば「スギナ」や「ギシギシ」「アザミ」「スイバ」などが生えていたら酸性土壌の可能性があります。
庭に生えている雑草は、土の性質を判断する指標にできます。なぜなら自然界では「土質に合った」雑草しか生えられないからです。土の中には無数の種が落ちていて、環境に合ったものだけが芽を出します。
二十日大根も雑草も、ある程度の指標を示すだけです。
植物によって適正なペーハー値は微妙に異なります。
ですからペーハーを測定するには「pHメーター」を使うのが確実です。
土に差すだけなので簡単に測定できます。
土のペーハー調整をする方法
土のペーハー調整には「石灰」や「ピートモス」が使われます。
- 石灰で「アルカリ度」を増す
- ピートモスや鹿沼土で「酸度」を増す
「苦土石灰」と「消石灰」ではアルカリ分の度合いが異なります。
【苦土石灰と消石灰の違い】
消石灰とは「カルシウム」が主成分の石灰のことで「アルカリ分が65%以上」あります。
カルシウムは骨の成分になるくらいですから、土を固くします。
ですから消石灰を多量に加えると、土が固まって根が伸びられなくなります。
苦土石灰とは「マグネシウム(苦土)」を含む石灰のことで「アルカリ分は50%以上」あります。
マグネシウムによってカルシウムのバランスがとれているため使いやすい石灰です。
アルカリ度を1pH上げる場合、土と石灰の比率は以下の分量が目安です。
土100リットル(直径50cm×深さ50cmくらいの量):石灰200~250g
石灰を混ぜてから土の酸性度が中和されるまでには「10~14日」くらいかかります。
そのため「苗を植え付ける前」に準備しておく必要があります。
- 「消石灰」なら植え付け「2週間以上前」
- 「苦土石灰」なら植え付け「4~5日前」
【ピートモスとは】
ピートモスとは天然のミズゴケが腐食したもので、スポンジ状になっています。
ですから水持ちの悪い砂地に混ぜて土質を改善する場合にも使われます。
温室効果を防ぐ効果がある天然資源です。
自然のピートモスを採取すると枯渇してしまうため、北海道やカナダなどで栽培されています。
ペーハー調整のため石灰やピートモスを加え続けているとバランスが傾くことがあります。
作物を植えて収穫した後には土が元の状態に戻っていることもあります。
ですから新たな植物を植える前には、pH測定器でペーハーを測ってみると失敗しません。
生育状態が悪い場合も、ペーハーが原因の場合が考えられます。
植物を育てる上で最も大切なのが「土作り」と言われます。
土壌改良に適しているのは「秋」。植物が成長し始める春までに微生物が増え、自然と土質を変えていくからです。宿根草も休眠中なので土を掘り返しても大きなダメージをあたえません。
専業農家とは違い、そんなに時間も手間もかけられないのが家庭菜園。
自然栽培で、ゆっくり育てるほうが楽だし植物も健康に育ちます。
家庭菜園を自然栽培にすると、作業がグッと楽になります。自然栽培は、毎年のように土を耕さず、自然に委ねる育て方だからです。
家庭菜園ならば、早く、大量に作物を作る必要はありません。
家の庭なら「畑」にしてしまわず、景観も美しくしたいものです。
野菜とハーブだけでなく、花や果樹も組み合わせた美しい庭。例えばバラの足元にパセリを植えたり、ユリとミニトマトを混植したり。植物としての「相性」を考慮して植えれば、花も野菜もよく育ちます。
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