素人がDIYで住宅リノベーションをする場合、できるのは内装の部分
家の柱や壁を撤去したり、屋根や外壁を補修するには専門の道具や知識が必要です
電気・ガスの工事は、有資格者でなければ行えないという法律もあります
セルフリノベーションなら安上がりと考えるのは間違いです
失敗したら材料費が全て無駄になり、事故や怪我など取り返しのつかない事態も起こり得ます
diyでは難しい工事
「電気」「ガス」工事は、有資格者でなければ行えないと法律で決められています
たとえ知識があっても、資格なしに行うと罪を問われる工事です
素人のDIYでは難しい工事は、主に3つあります
- 高所作業のため足場を組んで安全確保する「屋根」「外壁」工事
- 防水・防カビなど専門知識が必要な「水道工事」
- 家の構造に関する建築知識が必要な「躯体工事」
これらは「知識」「技術」「工具」などが揃っていれば素人でも可能です
とはいえ事故の危険性や、失敗するリスクはあります
工具などを用意する費用も考えると、必ずしも安上がりとは限りません
建築の知識がない限り、素人が「柱」や「壁」を取り除いてしまうのは危険です
家を支えている構造の部分なので、地震や台風で倒壊しやすくなってしまいます
自分で出来る間取り変更は、「襖」や「ドア」を取り払う程度
小さな部屋が多い古民家でも、襖だけ取り外せば広々と使えます
柱は残しておき、表面をサンドペーパーで磨いて塗装する程度なら安全です
業者に依頼する費用の目安
業者に依頼するとしても、見積もりを取るだけなら無料です
見積もりを取る時は、金額だけではなく「どんな工事をするのか」詳しく聞いておきます
すると必要な道具や準備なども見えてきます
専門家の「知識」が得られるだけでも有難いものです
数社から見積もりを取ることで、相場が分かってきます
嘘でも「他社に依頼しました」と言えば、強引なセールスを断れます
以前に調べてみた時の費用は以下の通り
- キッチン工事:65,000円
- トイレ工事:280,000円
- 浴室工事:625,000円
- 外壁と屋根工事:1,000,000円
合計1,970,000円で、まあ「住める」程度には修繕できる最低ラインです
工事部分の費用だけなので、材料費などは別途に必要になります
【キッチンリノベーション費用】
既存のキッチンを解体せず「設備」「ガス」「電気」の工事だけなら65,000円くらい
- 給排水と給湯の「設備工事」40,000円
- ガスコンロを接続してガス管を移動する「ガス工事」15,000円
- 電気線や換気ダクトを接続する「電気工事」10,000円
おしゃれなシステムキッチンは後から買い足せば「初期費用」は抑えられます
既存のキッチンを解体してシステムキッチンに変える場合に60万円くらいかかります
- システムキッチン本体の価格は50万円くらいから
- 既存のキッチンを解体して廃棄するための「解体工事」45,000円
- システムキッチンを搬入して取り付ける「組立工事」6,000円
これはキッチンのグレードや大きさも最低ラインの場合です
【トイレ リノベーション費用】
トイレを和式から洋式に変える場合で28万円くらいから
簡易便器を置くだけなら工事は必要ありません
温水洗浄便座を取り付ける場合は11万円くらいから
工事は1日で済みます
汲み取り式トイレを水洗トイレに変える場合は80万円くらいかかります
「浄化槽の設置」「下水への配管」「電気工事」なども必要だからです
これは役場へも問い合わせる必要があります
浄化槽の設置に関しては「浄化槽法」という法律があります
書類の届け出、保守点検、清掃、維持管理、などが必要です
そもそも浄化槽を設置できるかどうか、役場に問い合わせなければ分かりません
下水が遠すぎて配管できないこともあるからです
設置できる場合なら、自治体が指定する業者に依頼するほうが安く済みます
浄化槽を設置できない場合は、簡易水洗トイレにするしかありません
水洗トイレにせず「コンポストトイレ」を使用する、という選択もあります
コンポストトイレは、虫が湧いたりしない管理と、しっかり堆肥化する必要があります
【浴室リノベーション費用】
浴室の「工事」費用は最低23万円くらい
- 給排水や給湯の「設備工事」55,000円
- ユニットバスを取り付ける「組立工事」128,000円
- 電気や換気扇ダクトの接続といった「電気工事」42,000円
浴槽そのものの価格は、1坪サイズ40万円くらいから
ペンキ塗り程度なら自分で出来そうですが、プロに任せた方が後々のメンテナンスが楽
水回りの場合は「防カビ処理」や「防水処理」も必要だからです
【屋根と外壁リノベーション費用】
屋根や外壁など「足場」を組む工事は一度に済ませたほうが費用を抑えられます
足場を設置する費用だけで20万円くらいかかるからです
塗装をし直すだけなら、屋根で20万円、外壁で60万円くらいから
そのたびに足場設置費用がかかります
屋根と外壁を一度に済ませてしまえば、足場を組むのも一度で済みます
diyできる内装工事
素人でも比較的かんたんにできるのが内装工事
便利な道具や電動工具を使えば、見栄えはともかく自分で仕上げられます
例えば「ペンキ塗り」「壁紙貼り」「障子の張替え」「襖紙の張替え」といった作業
昔は住んでいる人が自分でやっていたことです
やり方さえ分かれば難しくありません
【初めてでもできるペンキ塗り】
素人でもできる内装DIYがペンキ塗り
コツをつかんで、便利な道具を使えば、素人でも綺麗に仕上がります
壁塗りに便利なのが「コテ刷毛」
早く、綺麗にペンキ塗りできます
水性塗料なら、使用後すぐ洗っておけば繰り返し使えます
刷毛部分が傷んできたら交換できます
安いコテ刷毛だと繊維が抜けるなどして使い物にならないようです
クロスの塗り替えに壁紙の上から塗れるペンキを使うのが楽。古い壁紙を剥がす手間が要らないからです。剝がす必要がなければ、大量の壁紙を処分する必要もありません。
【慣れれば簡単な漆喰塗り】
ペンキ塗りに慣れれば「漆喰塗り」も同じ要領でできるようになります
漆喰は石灰石という岩石を原料とした素材です
つるっとした光沢のある仕上がりになります
漆喰は、機能性とデザイン性に優れた壁材です。空気中の水分を吸収したり放出したりして、適度な湿度に保ってくれるため「呼吸する壁材」とも言われます。真っ白な壁は、どんなインテリアにも馴染みますし、塗り方によって模様を付けることも可能です。コテが作り出す凹凸によって陰影のある壁になります。
似たような壁材に珪藻土があります
珪藻土の原料は植物性の藻で、固化材を混ぜないと固まりません
水気に弱いため、浴室やキッチンなど水回りには使えません
【初心者にもできる壁紙貼り】
壁紙の貼り替えも、やってみると意外と簡単
ただし張り替えする時には「下準備」が大切です
面倒でも、ちゃんとやっておくと手際よく作業できます
思い切って部屋の雰囲気を変えるなら壁紙の張替えが最適。壁紙なら様々な柄を選べ、ペンキ塗りとは違ったアレンジができます
部屋全体を貼り替えなくても、一部だけ貼るだけで雰囲気がガラリと変わります
【楽に貼り替えられる襖紙】
襖紙の張り替えは、壁紙より簡単
襖は取り外せるからです
襖紙の張り替えは、壁紙を貼るよりずっと簡単。壁紙を張り替えるのとは違い、ふすまは取り外せるからです。休日や連休には和室の襖紙を張り替えると気分も一新。
アイロンで貼れる襖紙を使うと楽です
障子紙の貼り替えも、昔は家庭でやっていたことなので難しくありません
【素人でも加工しやすい木材】
木材は素人でも加工しやすい素材
電動工具を使えば、素早く、綺麗に仕上げられます
DIY初心者でも扱いやすいのが木材です。薄い板ならノコギリやカッターでも切れます。けれど電動工具があれば、厚めの板や角材などを使った工作も可能。ネジ止めしたり、サンドペーパーをかけるのも楽で、仕上がりも綺麗。穴を開けたり、溝を掘ったりもできると、さらに色々な加工ができます。
初心者におすすめなのが1台3役のマルチツール
ドリルドライバー、サンダー、ジグソーがあれば、ほとんどの木工が可能です
手作りなら無垢材の家具やフローリングも価格を抑えられます
DIY木工で使いやすいのが、スギやマツなど針葉樹の木材。柔らかいので切りやすく、素人でも加工が容易にできるからです。ケヤキなど広葉樹の木材は硬く、加工しにくいですが、丈夫で美しいため家具などに適しています。固い木材でも、電動工具を使えば加工は可能。曲木もできると美しい家具などが作れます。
最初から全てDIYするのは無理
ですが、できることから始めると次第に知識や技術が身に付きます
内装工事で身に付けた技術や知識を活かせば、物置小屋なども自作できそうです
ただし建築に関する法律など、事前に知っておくべきことがあります
小屋を作る時には、事前に知っておくべきことがあります。失敗したからと言って簡単に修正がきかないからです。例えば「法律的な制限」「建築に関する基礎知識」には注意が必要。小さくとも建築物なので、建築基準法の対象となることがあります。
ベランダのプチ改装くらいでも、マンションでは耐荷重の規制があります
集合住宅ではベランダが避難経路になることにも配慮が必要です
夏のベランダが熱くなるのは、直射日光が当たる「手すり」「床」と熱風が吹き出るエアコンの「室外機」。市販のカバー類を使うのが簡単ですが、手作りすればピッタリサイズにできます。広い範囲を日陰にするなら全体を覆う「日除け」を掛けるのが簡単。
昔ながらの囲炉裏や薪ストーブでの暮らしにも憧れます
囲炉裏そのものは自作できるほどシンプルですが、排煙できる家の構造が必要です
古民家などを見て、囲炉裏に魅力を感じる人は多いと思います。その多くは、囲炉裏端で料理を食べながら、お酒を飲むというシーン。一人でも、家族や仲間と一緒でも、温かなひとときを過ごせそうなイメージです。都会では灯油ストーブすら使えないこともあり、火を使える生活への憧れもあります。
少しずつ工具を揃え、技術を覚え、アイディアを形にできるのがDIYの楽しさ
買ったほうが安い場合も多いので、趣味として考えた方が無難です
ですが職人が減ってきている昨今ですので、身に付けた技術は必ず役立ちます