無垢材の種類と特徴を活かした木材の使い方

無垢材は、針葉樹と広葉樹とで性質が異なります


まずDIY木工で使いやすいのが、スギやマツなど針葉樹の木材

なぜなら柔らかく切りやすいため、素人でも容易に加工できるからです

反対に、ケヤキなど広葉樹の木材は硬く、加工しにくいですが、丈夫で美しいため家具などに適しています

たとえ固い木材でも、電動工具を使えば加工は可能です

さらに曲木もできると美しい家具などが作れます

加工しやすい針葉樹の無垢材

針葉樹と家

ホームセンターなどで売られている「パイン材」や「スギ板」は、安価で加工しやすい針葉樹です

針葉樹は天然の油分であるヤニを含むため、白木のままでも美しい艶が出てきます

パイン材とは主に北米産のマツを指しますが、日本にも様々な松の木があります

例えば日本家屋で使われてきたのは、まっすぐな木目が美しいスギ

耐水性のあるヒノキは、浴槽や風呂おけなどにも使われます

【様々なマツの無垢材】

松は世界中に分布する常緑針葉樹ですが、マツ科にも様々な種類があります

中でも代表的なのは「マツ属」のアカマツやパイン類です

クリスマスツリーのような円錐形になるのは「トウヒ属」「モミ属」

秋に紅葉して落葉するのは「カラマツ属」です



●マツ科マツ属(常緑針葉樹)

松の板

乾燥しやすく、加工しやいですが、ヤニが多い木です

柔らかいため傷が付きやすく、曲がったり変色しやすいことが欠点

そのため建築の構造材、敷居、枕木、割り箸、薪などに使用されます

アカマツは北海道南部から九州の内陸部に分布し、高さ25m、直径120cmほどに育ちます

北米産の輸入材は、イエローパインやホワイトパインです

●マツ科トウヒ属(常緑針葉樹)

トウヒの無垢材

やや桃色を帯びていますが、大気にさらされているうちに色が濃くなっていきます

北海道のエゾマツが代表的ですが、ロシアからの輸入品もあります


ヤニが少ないため耐腐朽性はありません

ですが軽く、丈夫で、加工しやすく、ほとんど臭いがないことが特徴です

そのため建材や建具のほか、ソリ、バイオリンやピアノなどの楽器、スピーカーなどにも使われます

●マツ科モミ属

モミの無垢材

白っぽい木材で、年輪がハッキリしており、節が大きなことが特徴です

無垢材は白木のままでも美しいため、仏具や神具などに用いられてきました

軽くて柔らかいため加工しやすく、防虫性があり、臭いがないため、食器や日用品などにも使われます

本州の中南部から九州の低い山地に分布しますが、北米産やロシア産の木材が多く輸入されています

●カラマツ(マツ科カラマツ属)

カラマツの無垢材

若い木は淡い色をしていますが、古木になるほど色が濃くなります

年輪がはっきりしており、曲がっていることが特徴です

ヤニが出やすく、乾燥中に割れたり狂いが出やすいことがデメリット

けれど耐水性が高いため、建築の構造部分や杭、土木用などに使われます

北海道から本州中部で産出される落葉針葉樹です


【香りの良いヒノキ類の無垢材】

ヒノキ、スギ、シダーといったヒノキ科の無垢材には、特有の芳香があります

水に強く、虫を寄せ付けないため、建材としても家具材としても優れた木材です


●ヒノキ(ヒノキ科ヒノキ属)

ヒノキの無垢材

心材は淡紅色で、辺材は白っぽい木材

年輪がはっきりせず、きめ細かで均質な肌には美しい光沢があります

そのうえ香りが良く、耐久性が高く、水に強いため、浴室にも使われる木材です

無垢材は神社仏閣などの建築や彫刻に使われるほか、家具や曲げ物などにも適しています


●スギ(ヒノキ科スギ属)

スギの無垢材

心材は桃色がかったものから黒っぽいものまで様々あります

ヒノキより柔らかいため、加工しやすいですが、傷が付きやすいのが難点

とはいえ、まっすぐで木目が美しく、通気性、防水性に優れています


安価で手に入りやすいため、建材、家具、樽、下駄、割り箸、造船など色々な用途で使われます

北海道南部から南の全国で植林されてきた、日本の代表的な無垢材です


●レッドシダー(ヒノキ科ビャクシン属)

レッドシダーの無垢材

アメリカ東部で産出されるイースタンレッドシダーは、軽くて加工しやすい木材です


無垢材は、やや脆いことが欠点ですが、防虫効果があります

そのため、クローゼットやチェストの内側にも適し

腐りにくいため、ウッドデッキやフェンスの支柱などに使われます


●ヒバ(ヒノキ科アスナロ属)

ヒバの無垢材

無垢材には抗菌性のあるヒノキチオールを含んでいることが特徴です

これは日本産のヒノキには含まれない成分です

軽くて柔らかく、水に強く保存性が高いため、風呂おけなどにも使われます


耐久性が高いので、建築の土台などにも適した木材です

北海道南部から本州・四国・九州に分布しています


耐久性が高く美しい広葉樹の無垢材

紅葉した木々

広葉樹は成長が遅いため、組織が詰まって強度があり、傷が付きにくいことがメリット

硬いので加工しにくいですが、薪にすると長く燃え、耐久性が高く美しい木材です

そのため無垢材の美しさと強さを活かして、家具などに加工されます


【サクラの無垢材】

サクラの無垢材

サクラの無垢材は褐色または赤褐色で、緑色の不規則な縞が現れることが特徴です

虫が付きやすいため、傷跡が斑点となっていることがあります

重くて硬く、加工しにくいですが、家具や楽器などに使われる木材です

サクラはバラ科サクラ属の落葉広葉樹で、北海道から九州まで全国に生えています


【カバノキの無垢材】

カバノキの無垢材

シラカバの無垢材は淡色ですが、菌による被害を受けやすいため変色していることがあります

軽くて柔らかいので加工しやすいものの、耐久性は高くありません

とはいえ大きくならない木なので、小物やパルプの原料として使われます


シラカバはカバノキ科カバノキ属の落葉広葉樹で、北海道から静岡あたりまでの山に生えています

中でも北米産のバーチ(黄樺)は重く硬い木材で、家具や内装、ドアなどにも使われます


【ニセアカシアの無垢材】

ニセアカシアの無垢材

心材は緑色を帯びた黄色で、空気に触れるにつけて褐色になっていきます

ところが辺材は白っぽい黄色で、心材とはっきり色が異なります

強度は高いですが、幹が曲がりやすいため大きな木材は取りにくい木です

とはいえ耐久性が高いので造船、フェンスの支柱、枕木、家具など様々に活用されます

さらには無垢材の抗菌性を活かして、食器類などに加工されることもあります

ニセアカシアはマメ科ハリエンジュ属の落葉広葉樹で、北米が原産地です

【キリの無垢材】

キリの無垢材

キリの無垢材は、心材も辺材も淡色で、年輪ははっきりしません

軽くて柔らかく、加工しやすい木材です

そのうえ寸法が狂いにくいため、密閉度の高い家具を作ることができます

成長が早いため、娘が生まれたら植樹し、婚礼家具として箪笥にするという習慣がありました

キリはキリ科キリ属の落葉広葉樹で、北海道南部から南の地域で植林されています


【クリの無垢材】

クリの無垢材

心材は褐色で、辺材は白っぽく、年輪がはっきりしています

重くて硬く、水に強いので耐久性がありますが、加工しにくく、道管が大きいため肌合いの粗い木材です

とはいえ無垢材は丈夫なため、建築の土台や柱、枕木などに適しています

クリは、北海道南部から九州に分布している、ブナ科クリ属の落葉高木です


【ケヤキの無垢材】

ケヤキの無垢材

無垢材は木目がはっきりしており、複雑な曲線を描きます

そして育った場所により、白っぽいものから赤褐色まで色は様々に変化します

重く、硬いですが、湿気に強く、耐久性のある木材です

ケヤキは、ニレ科ケヤキ属の落葉広葉樹で、本州から九州に自生しています

【クルミの無垢材】

クルミの無垢材

心材は褐色で、辺材は白っぽく、年輪ははっきりしません

無垢材の木肌は粗いですが、加工しやすく、粘りがあり、狂いが少ない木材です

そのため家具、彫刻、建材のほか、衝撃に強いため銃床にも使われます

クルミは、クルミ科クルミ属の落葉高木で、北海道から九州の山中で湿地に自生します

英語でウォールナットと呼ばれる木材です

【イチョウの無垢材】

イチョウの木

やや黄色味を帯びた白い木材で、年輪がはっきりせず均質です

無垢材の硬さは中くらいですが、加工しやすく美しい木材です

そのため、建築、彫刻、漆器、家具、まな板などに使われます

イチョウは、イチョウ科イチョウ属の落葉高木で、針葉樹にも広葉樹にも分類されません

幹に道管がないことから、木材は針葉樹に近いといわれます


中国原産ですが、北海道から九州まで、古くから日本の街路樹や庭園に植えられています

【ヤナギの無垢材】

柳の木

心材は淡い褐色で、辺材は白っぽく、色に違いがあります

無垢材は木目が密でまっすぐ通り、軽くて柔らかいため、加工しやすい木です

例えば昔は柳の茎を編んだ柳行李が、旅行用のスーツケースとして普及していました

ヤナギは、ヤナギ科ヤナギ属の落葉樹で、水辺や湿地に生えています


曲木にできる無垢材の種類

曲木の椅子

水分の多い木は熱すると柔らかくなるため、曲木に適しています

ですから無垢材に蒸気を当てて曲線に加工すると、優美な家具などが作れます

さらにはクギやネジで繋ぐより強度が高くなり、耐久性が良いことが曲木のメリットです


【ブナの無垢材】

ブナの無垢材

心材も辺材も桃色がかった淡色で、ところどころに丸く濃い色の部分があります

無垢材は変色しやすく、腐りやすいため、耐久性は高くありません

とはいえ曲木しやすいため、脚付きの家具などに多く使われます


加工しやすさは中くらいで、乾燥によって狂いが出にくい木材です

他には靴の木型、台所用品、玩具などに使われることもあります

ブナは、ブナ科ブナ属の落葉広葉樹で、北海道南部から九州に分布しています

ナラやコナラは、ブナ科コナラ属の落葉広葉樹で、英語でオークと呼ばれる木です

【ヒッコリーの無垢材】

ヒッコリーの無垢材

心材は淡い褐色で、辺材は白っぽく、境界がはっきりしています

重く、硬く、割れやすいため、加工しにくいですが、丈夫で弾力性があります

そのため工具のハンドルやスポーツ用品に最適で、蒸気曲げも可能です

ヒッコリーはクルミ科ペカン属の落葉広葉樹で、アメリカ東部が産地です

【カエデの無垢材】

カエデの無垢材

カエデは、ムクロジ科カエデ属の落葉広葉樹です

中でも日本に自生するのはイタヤカエデで、北海道から九州まで分布しています

重くて硬く、加工しにくいですが、粘りが強いため曲木に適しています

メープルシロップが採れるサトウカエデは北米が産地

硬く丈夫で、加工しやすく、衝撃に非常に強い木材です

そのためオイルステインで美しい木目を活かした家具、床、木製品に最適です

【ニレの無垢材】

ニレの無垢材

木目がはっきりして美しく、心材は淡い褐色、辺材は黄色っぽく白い木材

重く、硬く、加工しにくいですが、粘りがあるので曲木に適しています

ニレは、ニレ科ニレ属の落葉広葉樹で、北海道に多い木です

無垢材の良さ

無垢材の良さは、経年劣化も味わいがあり、美しいことです

さらにヤニの多い針葉樹の木材は、防腐剤が不要で、塗装しなくとも自然な艶が出てきます

独特の木目や香りを活かした使い方もできます


加工しやすいため、後から解体して別のものに作り変えることも可能です

たとえ廃材が出ても、薪として使ったり、地面に埋めて簡単に廃棄できます

道具と加工法を知ると、家具なども手作りできます

DIYの幅が広がる!どんな電動工具で、どんなことができるか

【木材】自分で家具を作るDIYの道具と加工法

家具は基本的に「箱」のバリエーションです。ですから板を切って繋げるだけで様々な家具が作れます。ローボードなどの収納家具は、横長の箱に仕切りや棚板、扉などを付けたもの。まずは作りたい物の形と大きさを決めて、簡単でいいので図面を描いておくと作業がスムーズ。


敷地内にある木を伐採すれば、無垢材が手に入ります

自分で木を切る 庭木の整理・薪の調達 板や角材に加工する

【DIY】木を切る道具と伐採する時のポイント

冬は木を切るのに適した季節です。地面の雑草も、木の葉も少なく、作業がしやすいからです。樹液が少なく、木が乾燥していることで、切りやすくもなっています。伐採は重労働なので、汗だくにならずに済みますし、虫刺されの心配もありません。地面に雪が積もっていれば、丸太を滑らせて運ぶことも可能です。


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