囲炉裏の魅力とメリット・デメリットとは?

古民家などを見て、囲炉裏に魅力を感じる人は多いと思います

その多くは、囲炉裏端で料理を食べながら、お酒を飲むというシーン

一人でも、家族や仲間と一緒でも、温かなひとときを過ごせそうなイメージです


都会では灯油ストーブすら使えないこともあり、火を使える生活への憧れもあります

キャンプやバーベキューでの楽しさが、きっかけになることが多いようです


確かに囲炉裏には多くのメリットがあり、魅力的

囲炉裏と火鉢を混同している場合もあります

本来の囲炉裏にはデメリットもありますが、本当の良さが理解できるはずです


囲炉裏の魅力

囲炉裏で串焼き

囲炉裏の良さは「経済性」「機能性」「快適性」の3点

薪代が少なくて済み、調理器具としても使え、木造家屋を湿気から守ります


似たような暖房器具に「火鉢」「薪ストーブ」「暖炉」「ペチカ」などがあります

薪や炭を使うという点では共通していますが、違いは構造です

囲炉裏を設置するには、家の構造そのものを変える必要があります


【囲炉裏と火鉢の違い】

市販されている「囲炉裏テーブル」は、本来「長火鉢」と呼ばれるもの

部屋に置くだけなので、簡単に設置できます


ところが囲炉裏は、床下に作り付けられた家の設備です

暖炉やペチカのように、固定されたもので、持ち運びはできません

薪ストーブのように煙突があるわけでもないので、排煙できる家の構造が必要です


【囲炉裏と薪ストーブの違い】

薪ストーブは、火鉢ほど簡単ではありませんが、既存の住宅に設置ができます

壁に穴を開けて煙突を付け、周囲を防火材で保護するだけ


薪ストーブより囲炉裏が優れているのは、少ない薪で済むという点

地面に落ちている枯れ枝や、庭木の剪定枝なども薪として使えます

薪でも炭でも使え、燃え尽きた薪は自然と炭になります


周囲だけ温まる薪ストーブとの違いが温かさです

囲炉裏は床下に灰を入れて火を燃やすため、足元から温まります


【囲炉裏と暖炉の違い】

暖炉は薪ストーブより大きな設備なので、より温かさを得られます

ところが真上に煙突があるため、どんどん薪が燃え尽きます

直火を眺められるという魅力はありますが、経済性は良くありません


薪ストーブ同様、前面だけ温まり、室内全体が温まるまでに時間がかかります


【囲炉裏とペチカの違い】

ペチカは壁の中に煙突を組み込んだ構造です

そのため室内が全体的に温まります

囲炉裏と同様に細い枝なども薪として使えるため、経済性も高いものです


ペチカを設置するには、大規模な工事が必要になります

北欧で発展した暖炉と、ロシアで進化したペチカ

【ペチカ】暖炉との違いは構造と熱効率の良さ

北欧で発展した暖炉がロシアで進化したのがペチカ。長く厳しいロシアの冬に適した暖房設備です。熱効率が良く、経済的で、家全体を温めることができます。細い枯れ枝も燃料として使え、少ない量の薪で済むことがメリットです。


囲炉裏のデメリット

囲炉裏の火と薪

囲炉裏は、室内で焚き火をしているようなもの

直火なので火傷や火災に十分な注意が必要です


煙突はないので、屋根に設置した排煙窓から煙を外に出す仕組みです

そのため既存の家に、すぐ設置するというわけにはいきません

囲炉裏そのものはシンプルなので手作りもできますが、家の構造が大事です

囲炉裏は室内での焚き火~囲炉裏部屋には換気設備が必要

【囲炉裏】作り方は簡単でも部屋の構造が大事

木造家屋であれば、囲炉裏は手作りできるほどシンプルな構造です。例えるなら床板を四角く切り取って「床下収納庫」を作るイメージ。囲炉裏そのものは簡単ですが「囲炉裏部屋」の構造のほうが肝心です。


【囲炉裏の煙】

煙突がないので、煙が室内に充満します

囲炉裏の「煙」によって目を傷めた人も多かったと言います

炭を燃やせば煙は減りますが、換気をしなければ一酸化炭素中毒の恐れがあります


煙を出すための排煙窓が屋根に付いていますが、室内の煙がゼロにはなりません


【囲炉裏のヤニ汚れ】

煙が出るので、部屋はヤニで汚れます

ですから都会のマンションのような白い壁を保つことは無理

窓ガラスやカーテンも「ヤニ」で汚れます


【囲炉裏の匂い】

煙が出ることで、室内には臭いが付きます

調理をした臭いも、室内のカーテンなどに残ります

魚を焼いたりすると、衣類にも臭いが付いて取れないことがあります


【囲炉裏の灰】

灰の上で薪や炭を燃やすので、灰も熱くなっています

1000円札の肖像になった野口英世さんは、囲炉裏の「灰」で手に大やけどをしました

床には灰が落ち、室内は常にホコリっぽい状態になりがちです

煙、臭い、灰による汚れが囲炉裏のデメリット

ですから神経質な人、潔癖な人、掃除嫌いな人にはストレスが多いはずです

  • 少しくらい汚れてても平気
  • 古びた色合いのインテリアが好き
  • 掃除はエクササイズと考えている

こんな人なら囲炉裏も楽しめると思います


囲炉裏のメリット

火を焚く囲炉裏

囲炉裏が暖炉や薪ストーブより優れているのは次の5点


  • 囲炉裏は経済的で省エネ
  • 囲炉裏で調理ができる
  • 囲炉裏は温かい
  • 囲炉裏部屋は夏も快適
  • 囲炉裏は自作も可能

【囲炉裏は経済的で省エネ】

囲炉裏のメリットは「経済的」という点です

灰の上で薪や炭を燃やすので、火が長持ちし、少ない薪で済みます

薪割り頻度が減ったと『囲炉裏と薪火暮らしの本』には書いてありました

薄く灰を掛けておくと炭になり、熾火として翌朝すぐに使えます

灰の中で炭になったものを保存しておき、火鉢などで使うこともできます


暖房しながら「調理」ができるという点でも省エネで経済的です

【囲炉裏で調理ができる】

多くの人が感じる囲炉裏の魅力は「調理」できることだと思います

民宿や料理店で体験した、囲炉裏端での料理がイメージされるからです

囲炉裏端で、火を見ながら、家族や仲間と一緒に食事する時間

それは何ともリラックスでき、心地よく、楽しいひとときです

お酒を飲みながら語り合うにもピッタリなのが囲炉裏端

暖房しながら調理もできるという点では、薪ストーブも同様

けれど調理のレパートリーという点では囲炉裏のほうが優れています

直火・炭火・燻製・蒸し焼き~じっくり煮込んだシチュー

囲炉裏でできる料理方法とあると便利な道具

暖房設備でありながら、調理場でもあるのが囲炉裏。炭火だけでなく、薪を燃やすことで調理の幅も広がります。灰に串を刺したり、蒸し焼きにしたりもできます。

キャンプの時にするような料理が可能です

【囲炉裏は暖かい】

囲炉裏の炎

囲炉裏と暖炉の共通点は「直火」で、この点では薪ストーブより暖かく感じます

さらに囲炉裏は「床」からの暖かさが加わる点が優れています

囲炉裏は床下に作った石などの基礎に蓄熱されるからです

囲炉裏も暖炉も薪ストーブも、離れるほど暖かさが届かなくなるのは同じ

ただし囲炉裏の上に吊るした「火棚」が上昇した熱を循環させます


【囲炉裏部屋は夏も快適】

囲炉裏部屋の夏

囲炉裏は室内で火を焚くことによって木造家屋を「乾燥」させます

ですから室内の湿気を取り除くため、夏も囲炉裏の火を絶やしません

夏の室内で焚き火をしたら暑くなりそうですが、実は快適

湿気を取り除き、対流で風を起こすからです

【古民家】 囲炉裏では 夏も火を絶やさない 理由とは?

囲炉裏で夏も火を絶やさないのには理由がある

囲炉裏では夏も火を絶やさず焚いているといいます。夏の室内で火を焚いたら、暑いのでは? そんな疑問が湧いてきますが、むしろ涼しく過ごせるそうです。それは「湿気が取り除かれ」「風が通り抜ける」から。

煙突のない囲炉裏では、煙が上昇して天井裏に溜まります

そして天井裏へと昇った煙によって虫や小動物が寄りつかない効果があります

炎をながめ 炭火で調理し 木灰を活かす 温かな生活

【囲炉裏】使い方~暖房・調理・乾燥・虫除けも

囲炉裏の使い方を知れば知るほど、その豊かさに魅了されます。実用的な面はもちろん、暮らしを彩る様々な楽しみ方があるからです。囲炉裏の楽しみ方には「薪」「炭」「灰」の3つあります。

天井裏にネズミなどが棲みつく心配がありません


【囲炉裏は自作も可能】

囲炉裏と鍋

囲炉裏そのものは原始的な作り

床下に石を積んで粘土で固め、灰を入れてあるだけです

ですから木造家屋ならDIYで自作することだって可能です

囲炉裏の構造・基礎と縁の素材・火棚・自在鉤の目的とは?

囲炉裏の構造はdiyで自作できるほどシンプル

囲炉裏の構造は、実に原始的でシンプル。縄文時代の竪穴式住居で使われていたものが原型です。喩えるなら「不燃材」で作られた「床下収納庫」のような形。


囲炉裏の良さを知ったのは『囲炉裏と薪火暮らしの本』という本

著者の体験をイラストで詳しく解説しています

囲炉裏の作り方、使い方、楽しみ方は、これ1冊で分かります

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私が囲炉裏に魅力を感じるのは、煙で虫除けができるという点

木造家屋の湿気を取るという点にも良さを感じます


もちろん調理ができる、経済的、細い枝が使えるので薪割りしなくて済むのも大きな魅力


囲炉裏のある家だからといって和風の暮らしをしなくてもいい、とも思っています

むしろ洋風の、靴を履いたままの暮らしのほうが囲炉裏を使いやすいはず

これはアメリカで暖炉と薪ストーブの暮らしをした経験からの実感です


靴を履いたまま生活していれば、災害時など素早く避難できます

段差のない玄関 車椅子もペットも人も 出入りしやすい土足

【玄関】靴を履いたまま生活するメリットとは

住宅も家具も洋風なのに、頑として変わらないのが日本の玄関。段差を設け、靴を脱いで上がる習慣は、要らないと感じています。靴を履いたまま生活するメリットは、災害時、素早く安全に非難できることです。玄関の段差がなく、室内でも土足なら、車椅子もペットも、そのままで出入りできます。


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