庭で野菜を育てる場合、菜園と花壇を区分けする必要はありません
例えばフランスの「ポタジェ」は花と野菜を混植するスタイルです
そのため庭としての美しさを保ちつつ、野菜やハーブも収穫できます
そもそも野菜と花を区別しているのは、人間にとっての「用途」による違い
植物としては、同じ種類の中に野菜も花も含まれていることがほとんどです
さらにコンパニオンプランツの組み合わせで自然栽培をすることもできます
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庭で野菜を育てる家庭菜園
家庭菜園をフランス語で「jardan potager」といいます
イギリス式キッチンガーデンと違うのが、庭園内に造る「観賞用の菜園」という点です
例えばバラの足元にパセリを植えたり、ユリとミニトマトを混植したり
野菜とハーブだけでなく、花や果樹も組み合わせることで、美しい庭が作れます
そして野菜にも可愛らしい花が咲きますし、食べられる花も意外と多くあります
【庭で野菜を育てるなら無農薬で】
人やペットが過ごす庭では、花も野菜も「無農薬」で育てた方が安心です
商品として出荷するわけではないので、早く大量にと効率を優先する必要はありません
農薬や肥料は、個人の庭では必ずしも使わなくていいものです
なぜなら形よく花を咲かせたり、野菜の収量を増やしたりするのが農薬と肥料の目的
無農薬で花つきが悪くなっても、咲かないわけではありません
肥料を与えなければ野菜の収量は減りますが、収穫できないわけではありません
【庭で野菜を育てるなら少量ずつ多品種】
家庭菜園では、同じ野菜ばかり収穫できても食べきれません
むしろ「少しずつ色んな野菜」を植えた方が食卓は豊かになります
そのため家庭菜園は、整然と畝を作った「畑」にする必要はありません
例えば、農家の畑で畝を作るのは、一種類の野菜を大量に栽培するためです
農薬も肥料も使わない自然栽培では、植物の多様性も大事な要素になります
なぜなら様々な植物が共存することで、助け合える環境が作られるからです
【庭で野菜と草花を混植するメリット】
野菜を収穫した後は、土がむきだしの状態になります
そうすると土埃が舞って埃っぽくなり、地表は乾燥して硬くなってしまいます
そのため次の野菜を植えるたびに土を耕す必要も出てきます
ところが草花や果樹を混植してあれば、常に何か植わっている状態です
すると土は乾燥せず、柔らかな状態を保てるので、耕す必要もありません
特に家庭菜園なら、その日に使う分だけ、少しずつ色んな野菜を収穫するはずです
庭で野菜の花を観賞
庭で野菜を育てていると、綺麗な花を見ることもできます
そして花として楽しんだ後には、種が採れます
さらに自家採種した野菜は、その土地に適応しているので丈夫に育つことがメリットです
【菜の花などアブラナ科の野菜】
ラディッシュの花は白い菜の花のよう
特にアブラナ科には多くの野菜があり、菜の花みたいな花が咲きます
●アブラナ科 水菜、大根、ナズナ、クレソン、ルッコラ、ワサビ、キャベツ、白菜、カリフラワー、ブロッコリ、小松菜 |
【綺麗な花が咲くキク科の野菜】
サニーレタスの花は黄色く小さなタンポポのよう
●キク科 レタス、ゴボウ、マリーゴールド、カモミール、タンジー、ヒマワリ、アザミ、アスター、エーデルワイス、ガーベラ、コスモス、ダリア、百日草、デイジー、マーガレット、タンポポ |
【レースフラワーのようなセリ科の野菜】
ニンジンの白い花は、美しいレースフラワーのよう
●セリ科 セリ、パセリ、ニンジン、アシタバ、コリアンダー、チャービル、三つ葉、フェンネル、ディル、アニス、レースフラワー |
園芸品種として売られている花は、花が大きくなるよう品種改良されたものです
野菜は、食べる部分が大きくなるよう品種改良されました
ですから「花」は小さく地味ですが、他の花を引き立てる名脇役として使えます
庭のシンボルツリーにもできる果樹
多くの果樹は、美しい花を咲かせたり、秋の紅葉が楽しめたりします
例えば草花が少ない早春には、果樹の花が庭を華やかに彩ります
そして果樹の花が散った頃は、バラなどが咲き始める季節です
果樹の葉が生い茂る夏は、庭に木陰を作ってくれます
そして秋には果実を収穫し、紅葉を楽しみ、落ち葉を集めて堆肥にできます
落葉果樹が葉を落とすと、日照時間が少なくなる冬の庭にも日光が差し込みます
食べられる花
観賞用として育てられている花の中には、食べられるものが意外とあります
例えば、香りの良い「金木犀」の花を砂糖漬けしたものが「桂花糖」です
お菓子の香りづけにしたり、お粥に入れたりします
金木犀の花びらを緑茶に入れた「桂花茶」、白ワインに浸けた「桂花酒」もあります
料理に使う野菜やハーブは、人体に悪影響を及ぼす毒性がない植物です。食用として出荷される場合には、使う農薬にも制限や基準が設けられています。
農薬を散布していない庭のバラなら「花びらの砂糖漬け」や「サラダ」にできます
あるいは「ローズヒップ」と呼ばれる実はハーブティとして使えます
バラの切り花を飾った後は、「香り」を保存すると長く楽しめます。「リラックス」と「リフレッシュ」二種類の効果があるのがバラの香り特性です。ですから朝と夜で香りを使い分けることができます。
ただし園芸用として売られている花やハーブは、食用とは農薬の基準値が違うので食べられません
園芸用の花やハーブには形よく育てるために「矮化剤」という農薬が多く使われています
特に成長が早いハーブは、形が乱れやすいため矮化剤が使われます
ハーブティや料理に使う場合は、食用と明記されている苗や種を選ぶ方が安心です
コンパニオンプランツで作るポタジェ
ポタジェガーデンに似合うのが「バラ科」と「ユリ科」の植物
なぜならバラもユリも華やかな花が咲き、野菜や果樹にもバラ科やユリ科のものが多くあるからです
さらにコンパニオンとして組み合わせられる野菜やハーブも豊富にあります
可憐な花が咲くハーブや野菜は、バラなど大輪の花を引き立ててくれます
まずはメインに育てる花を決めて、相性のいいハーブや野菜を組み合わせると管理が楽です
草丈や開花時期などを考慮して植えると、花が咲いていない時期も庭が寂しくなりません
【バラ科のポタジェ】
バラ科の植物は、花が美しく、香りが良いものが多いのが魅力です
特に美しいのが桜、梅、桃、リンゴ、ナシ、イチゴといった「バラ科」の果樹や果物
バラが咲くのは主に5月と10月ですが、果樹はバラの花が少ない時期に庭を彩ります
「バラ科」と相性の良いのが「セリ科」や「キク科」の植物
ハーブや野菜にも多いので、コンパニオンとして組み合わせられます
<バラ科と相性がいい「セリ科」植物>
例えばセリ科の「パセリ」は強い日差しを嫌うハーブなので、バラ科の果樹が作る木陰でうまく育ちます
白い花が咲くのはイタリアンパセリです
背が低いチャービルなら、地面の乾燥を防ぐグラウンドカバーの役割も果たします
<バラ科と相性がいい「キク科」植物>
キク科の「カモミール」や「タンポポ」もバラとの相性が良い組み合わせです
一緒に植えるバラに応じて「花色」や「開花時期」を考慮して組み合わせると綺麗です
●バラのコンパニオン
キク科以外でも、バラのコンパニオンと言われている植物があります
- ムラサキ科の「ボリジ」
- ユリ科の「チャイブ」
- キンポウゲ科の「クレマチス」
ブルーの花が涼し気なボリジは、花は砂糖漬けにしたり、アイスキューブに入れても綺麗です
葉はキュウリのような味がしますが、大きくなると美味しくありません
●バラ科と相性が悪い植物
逆に「ナス科」はバラ科と相性が悪い組み合わせです
例えば「トマト」「ピーマン」「ジャガイモ」「ペチュニア」「朝顔」「ホオズキ」などがナス科
そのためナス科はバラやイチゴとは混植しないほうが無難です
コンパニオンプランツで、バラの無農薬栽培も可能になります。相性の良い植物を混植すると、バラの病害虫が減るからです。野菜や雑草にも、コンパニオンとなるものがあります。
【ユリ科のポタジェ】
代表的なユリ科の花が、早春に咲くチューリップと、真夏に咲くユリです
そしてユリ科と相性が良い「アブラナ科」「ウリ科」「ナス科」には多くの野菜や草花があります
ただしナス科はバラ科と相性が悪いので、混植する場合は離したほうがよさそうです
●ユリ科と相性のいい「アブラナ科」植物
●ブロッコリの花
カリフラワーやブロッコリは、花のつぼみを収穫して食べている野菜
ですが収穫せずに育てれば、黄色く可愛らしい花が咲きます
収穫後に咲くことがありますが、花も食べられ、黄色くなったブロッコリも食べられます
そして花としても楽しんだら、種を採ることができます
●大根の花
大根は冬に収穫する野菜ですが、そのまま育てると春に白や薄紫の花が咲きます
花の後には種が採れますが、花が咲いた大根はスカスカになり、美味しくありません
食用にならないので、収穫用とは別に育てます
●ルッコラの花
サラダやスープに使えるルッコラは、「ロケット」とも呼ばれるハーブです
ゴマ風味の柔らかな葉が美味しいですが、花も蕾も食べられます
●ナズナの花
ぺんぺん草とも呼ばれる「ナズナ」は春の七草で、葉も根も食べられます
白く繊細な花が可愛い草で、開花後にはハート型の種が付きます
●観賞用アブラナ科の花
花として市販されている「ストック」「イベリス」「アリッサム」などもアブラナ科
観賞用として花が大きくなるよう改良されたものです
バラ科とも相性が良いので、コンパニオンプランツとして混植できます
よく切り花で売られているストックは、香りが良い春の花です
種からでも育てられ、発芽適温は20℃くらい
8月に種まきすれば年内に開花します
イベリスは春に咲き、寒さにも暑さにも強い花です
多年草や一年草など品種も多くあります
草丈60cmくらいのイベリスは切り花に
草丈10cmくらいのイベリスはグランドカバーにも使えます
アリッサムは秋に咲き、寒さに強い花です
草丈10~15cmと小さいので、グランドカバーに最適
花壇の縁取りにも使えます
●「ウリ科」植物はユリ科と相性が良い
●「ナス科」植物はユリ科と相性が良い
●ユリ科と相性が悪い「マメ科」
マメ科はユリ科と相性が悪いので、近くに植えないほうがいい組み合わせ
「インゲン」「枝豆」「大豆」「スイートピー」「萩」「葛」「シロツメクサ」「レンゲ」「カラスノエンドウ」「藤」「アカシア」「ネムノキ」「ミモザ」などがマメ科の植物です
コンパニオンプランツとは、植物同士の助け合い。「共栄作物」とも呼ばれ、共に栄える組み合わせです。相性の悪い組み合わせもあります。
【コンテナで作る小さなポタジェ】
マンションのベランダでも作れるのがコンテナポタジェ
「葉物野菜」と「花」を寄せ植えすれば観賞用としても楽しめます
例えばホウレンソウだけ植えても地味なので、パンジーなどを寄せ植え
するとホウレンソウが観葉植物のように見えます
パンジーの花がらを摘みながらホウレンソウを収穫
食用にできるパンジーなら一緒にサラダに使えます
ただし香りの良いニオイスミレは有毒で食べられないので注意が必要です
園芸用のパンジーなども食べられません
葉色に様々な種類があるレタスも様々な花と混植できます
レタスはキク科の野菜で、良い相性はアブラナ科、ウリ科、バラ科です
アブラナ科のストックは背が高くなるので、背の低いレタスとバランス良く植えられます
レタスが土の乾燥を防ぎ、アブラナ科の植物がレタスの害虫を防ぎます
ポタジェガーデンがよく分かる本
ポタジェのことが知りたくて初めて手にしたのが『花咲くポタジェの庭』という本
著者が実際に庭で野菜と花を育てているポタジェが、美しいカラー写真で紹介されています
例えば、バラとミニトマトを組み合わせて植えたり
チューリップの足元にレタスとか小松菜を植えたり
春のサラダガーデン、ゴーヤと朝顔のグリーンカーテン、真似したいアイデアが満載です
庭で野菜を栽培する時には、有毒植物についても知っておく必要があります
花が美しい植物にも、毒性のあるものが少なくないからです
知らずに植えて野菜と間違えたり、子供やペットが口にする危険性もあります
庭や菜園を作る時には、有毒植物についても知っておくと安心。子供やペットが口にすると危険ですし、自分が間違って食べる可能性もあります。公園や野山など、意外と近くにも有毒植物は生えています。
その点、エディブルフラワーなら安心して植えられます
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