雨水タンクの設置には、自治体の補助金を受けられることがあります。
理由は、各家庭に雨水タンクがあれば「防災」にも役立つからです。
大雨で下水の容量を超えてしまうと、道路が冠水してしまいます。
けれど各家庭で貯水すれば、集中豪雨の雨水が流出せずに済みます。
断水の時など非常用の水としても備えられます。
雨樋を伝って流れ落ちる雨水を「集水器」で集め、「雨水タンク」に貯水する。
設置しておくだけで「節約」と「防災」に役立ちます。
集水器と雨水タンク

集水器のしくみは非常にシンプル。
雨樋の先端に取り付けて、ホースなどで雨水をタンクに流し込みます。
枯葉やゴミを取り除けるよう「フィルター」が付いているものが一般的です。
定期的にフィルター掃除できるよう、取り外しできるようになっています。
ホースの先に「雨水タンク」を繋げれば設置完了です。
雨水を溜めるタンクは「パナソニック」や「タキロン」が人気。
国産メーカーなので部品など取り寄せる時にも便利です。
【ベランダにおけるミニサイズの雨水タンク】
ベランダにも置ける80リットルの雨水タンク。
鉢植えの水やりに便利です。
【花壇の水やりに使える雨水タンク】
小さくて邪魔にならない110リットルの雨水タンク。
スクエア型なら上にジョーロなど置けます。
150リットルでも場所を取らずに設置できます。

花壇の水やりに丁度いいサイズです。
【大容量の雨水タンク】
大容量の雨水タンクなら、広い庭の水やり、洗車、外掃除、たっぷり使えます。
防災の観点から雨水タンクの設置を奨励している自治体があります。
助成金を受けられると安く設置できるので要チェックです。
雨水タンク設置の助成金

自治体によって助成金の制度があるところのないところがあります。
補助金の金額や条件もまちまち。
住んでいる市町村の役場に問い合わせてみると教えてくれます。
助成金の申請をする時に「見積書」を提出するので、購入はその後で。
通販で購入する場合でも見積書は出してもらえます。
購入金額の2/3まで補助金が出るとしても、上限が決められています。
それでも3万円の雨水タンクが1万円くらいで設置できるのですから断然お得。
助成金についての情報を載せている通販ショップもあります。
水を浄化する方法

溜めた雨水を浄化すれば、一時的な飲み水にすることも可能です。
携帯できる浄水器は1本あると便利。
キャンプ場などのアウトドアでも使えます。
飲み水が心配な外国へ行く時にも持っていくと安心。
フィルター交換が不要の浄水器がオススメです。
簡単に洗浄するだけで半永久的に使えます。
携帯浄水ボトルは災害時やアウトドアでも使えて便利。

【手作り簡易浄水器】
濁った雨水は「砂」「シュロの皮」「炭」の層を通して浄化できます。
飲み水とする場合なら、さらに煮沸消毒したほうが安全です。
ペットボトルやポリバケツを利用して、簡単な浄水器が作れます。
細菌など完全には取り除けないので洗い物などに。
飲み水にするなら必ず「煮沸」消毒が必要です。
- ペットボトルの底を切り取る
- キャップを閉めて逆さまにし「小石」を入れる
- 小石の上に「砂」を入れる
- 砂の上に「炭」を入れる
- 炭の上に「小石」を入れる
- 小石の上に布を敷く
- キャップを開けたペットボトルをコップなどに入れる
- 切り取った底から濁った水を入れる
- 濾過された水をコップに貯める
ポリバケツの底のほうに穴を開けて蛇口を取り付けると、たくさん濾過できます。
【緩速ろ過】
浄水場で使われているのが「緩速ろ過」という方法。
砂の層で水をろ過し、飲み水にも使えます。
設備が大掛かりなため個人宅に設置するのは難しいですが、仕組みが興味深い。
砂の表面に発生する「微生物」によって細菌や濁りを分解させる仕組みです。
重要なのは「一定の速度で水が流れ続ける」という点。
微生物の働きを利用するため、ゆっくり水を流し続けます。
緩速ろ過には、4つの濾過槽が必要です。
- 「水」を溜める水槽
- 「小石」を入れた水槽
- 「砂」を入れた水槽
- 濾過した「水」を溜める水槽
最後の「貯水槽」に溜めた水を水道管に流せば飲料水として使えます。
信州大学の名誉教授、中本信忠先生のブログに詳しい解説があります。
手作り集水システム
緩速ろ過のような装置を手作りした例もあります。
中村好文さんの著書『食う寝る遊ぶ小屋暮らし』。
手作り集水器で家の屋根に落ちてくる雨水を集め、浄化して生活用水に使っています。
- 屋根に落ちてくる雨水を「雨樋」を通して集める
- 集めた雨水を地中に埋めた「貯水タンク」に貯める
- 貯水タンクに溜まった水を「手押しポンプ」で汲み上げる
- 汲み上げた水を「高架水槽」に移す
- 高架水槽に貯めた水を、室内の蛇口へと給水する
詳細が図入りで描かれているので、つい真似して作ってみたくなります。
とてもシンプルな仕組みなのですが、なかなか大掛かり。
けれど各工程に満載のアイディアが面白い体験談です。
【集水システム】
雨水を集めるために、小屋の屋根は「片流れ」に。
流れ落ちてくる雨水は、庇についている「雨どい」を伝って集められます。
雨樋から垂直のパイプを通り、地中に埋めた「タンク」へ。
集水器はドイツ製で、中にステンレス製のフィルターが付いたもの。
集水器の下の部分から水を出す管を繫げ、地下の貯水タンクへと水を流し入れます。
【貯水システム】
地中の貯水タンクに溜まった水には「浮き球」が入れてあります。
水洗トイレのタンクに入っているようなものです。
これは「水面下15cm」の水を汲み上げられるようにするためです。
水面には浮遊物があって汚れています。
ですから浮き球の「下」に水の取り入れ口があります。
そこから「ホース」を「ポンプ」へと繫げて綺麗な水を汲み上げる仕組みです。
【給水システム】
地下に貯めた水は「手押しポンプ」で汲み上げています。
屋根より高い位置に「樽」を置き、そこからパイプで蛇口へと水を送ります。
この高架水槽に「ソーラーパネル」を設置するというアイディアが秀逸。
パネルが屋根のようになり、中の水に直射日光が当たらなくなります。
この他にも面白いアイディア満載の中村好文さんの小屋。
電気、ガス、水道を引かず、一切の「線」と「管」が繋がっていない暮らし。
そういった仕組みを考えて、作ってみること自体を楽しんでいる様子で、非常に面白そうです。












