食べられる花をエディブルフラワーと呼び、使われるのは主に「花びら」の部分
料理の彩りとして添えたり、香りを楽しんだりします
例えば刺身のツマに使われる食用菊などです
他にも「バラ」や「スミレ」など食べられる花は意外と多くあります
雑草の「たんぽぽ」、ハーブの「ラベンダー」なども食べられます
食べられる花の条件
まず食用にできる花の条件は二つあります
- 植物そのものに毒性がないもの
- 殺虫剤や農薬などを使わず栽培したもの
例えば「野菜」や「ハーブ」は毒性がない植物です
そして食用として出荷される場合には、使う農薬にも制限や基準が設けられています
ところが同じハーブでも、お花屋さんで買った「切り花」や「花壇用の苗」などは食べられません
なぜなら鑑賞用として出荷される場合には、農薬の制限や基準値がないからです
特にハーブ苗には、形よく育てるために「矮化剤」という農薬が使われています
そのため安全に食べるためには、以下の3点に注意が必要です
- 購入する時に、必ず「食用」であることを確認する
- 栽培する時には、殺虫剤や除草剤などを使わずに育てる
- 自生しているものを採取する時は、確実に見分けられること
例えば自然に生えている野草には、よく似たものがあるので、見分けられることが大事です
そして毒性さえなければ、味はともかく、食べることは可能です
市販の食べられる花
エディブルフラワーとして市販されている花なら安心して食べられます
【食べられる菊の花】
刺身のツマに使われている食用菊なら生でも食べられます
茹でておひたし、酢の物、和え物、てんぷら、吸い物などにも使えます
キク科アレルギーのある人は避けた方が良い花です
そして食べられるのは「花」の部分で、茎や葉は食べられません
茎や葉を食べられるよう改良したものが「春菊」です
【食べられるバラの花】
無農薬栽培した薔薇なら、花びらをサラダに散らして食べられます
実のローズヒップは、ハーブティにもジャムにもできます
バラの花びらを蒸留してローズウォーターなども作れます
花びらの「砂糖漬け」は、デザートのトッピングに使えます。バラの香りを移した「ハチミツ」や「砂糖」なら、紅茶などに入れて。「オイル」や「ビネガー」に香りを付けて、サラダドレッシングにも使えます。
【食べられるビオラの花】
エディブルフラワーとして販売されているビオラもあります
食べられるハーブの花
無農薬栽培されたハーブは、多くが花も食べられます
とはいえ部位によっては有毒の場合もあるので注意が必要です
そしてハーブや薬草でも、多量に食べると有害になることがあります
栽培する場合は、食べられる「品種」を選ぶ必要があり、園芸用ハーブは食べられません
【カモミール】
花を乾燥させてハーブティにするカモミールもエディブルフラワー
リンゴのような甘い香りがし、シロップ漬けなどにも使えます
ただしキク科アレルギーのある人、妊娠中の人は控えた方が安心です
【ナスタチウム】
キンレンカとも呼ばれるノウゼンハレン科の一年草
5~11月に咲くカラフルな花も、若葉も、サラダに入れて食べられます
例えば種子は、塩漬けにしてケッパーの代わりにできます
あるいは根を芋として食べられる品種もあります
ただし食用にする場合は「食用ナスタチウム」であることを確認したほうが安心です
【ボリジ】
ルリジサ、ルリジシャ、とも呼ばれるムラサキ科の一年草
花をスープやサラダに散らして食べられるエディブルフラワーです
例えば葉を乾燥させてハーブティにできますし、生葉はキュウリのような味がします
さらに種子からは植物油も採取できます
【チャイブ】
ヒガンバナ科の多年草で、ネギ類と同じように使えます
例えば4~10月の瑞々しい葉は、あさつきのように薬味にしたり、オムレツなどに最適
そしてピンクの丸い花は、サラダやスープに散らして食べられるエディブルフラワーです
【ラベンダー】
精油やポプリに使われるラベンダーは、花をハーブティにもできます
さらに葉も花も食べられ、お菓子の風味付けなどに使えるエディブルフラワーです
あるいは花を砂糖漬けにしたり、ジャムにしたり、砂糖に混ぜて香りを移したりもします
【ウスベニアオイ/マロウ】
アオイ科の多年草で、花をハーブティにします
お湯を注ぐとブルーになり、レモンを加えるとピンク色に変化して綺麗
若葉と花をサラダに使うこともでき、葉と根は茹でて食べられます
食べられる野草の花
植物そのものに毒性がなければ、味はともかくとして食べることはできます
とはいえ雑草の中には薬草として使われるものも多く存在しています
【たんぽぽ】
たんぽぽは全草が食べられる安心のエディブルフラワーです
さらには薬草として使われるほど薬効もあります
例えば、花をサラダに散らしたり、アルコールに浸けたりして食べられます
たんぽぽは「蒲公英(ほこうえい)」と呼ばれ、生薬として使われる薬草。根、葉、茎、花、全草が利用できます。薬効には「美肌」「健胃」「胆汁分泌」などがあります。
ただしキク科アレルギーのある人は、中毒を起こすことがあるので注意が必要です
【ゲンノショウコ】
ゲンノショウコも全草が食べられる日本の三大薬草のひとつ
フウロソウ科の多年草で、日本全国に自生しています
例えば根、茎、葉、花を乾燥させて、お茶にできるエディブルフラワーです
ただし若葉の頃はトリカブトなどの毒草と似ているので、開花期に摘んだ方が安心
さらに薬効も、7~8月の開花時期が最も高くなります
【スミレ】
スミレ科スミレ属の野草で、深い紫色をした花びらは食べられます
ただし根、茎、種子は有毒なので注意が必要です
花の部分だけ切り取って、色どりに飾る程度なら安心して使えます
【デイリリー】
花は1日しか咲かないので、英語では「デイリリー」と呼びます
ユリのように見えますが、ユリ科ではなく、ススキノキ科
ワスレグサ属に分類される「ノカンゾウ」「ヤブカンゾウ」で、「ワスレグサ」とも呼ばれます
若葉をおひたしや酢味噌和えにし、花のつぼみも食べられます
つぼみを乾燥させて保存でき、水で戻してスープの具などに使います
食べられる花木
花を咲かせる樹木にも、食べられるものがあります
例えば香りのよい「ライラック」の花びらは、ジャムなどにすることができます
もちろん無農薬で育った場合に限ります
【くちなし】
栗きんとんなどの色付けに使われるのが、くちなしの実
香りのよい常緑低木で、樹高1~3メートルと大きくならず、鉢植えや庭木として楽しめます
6~7月に咲く白い花の花びらも食用にできます
ガクの部分は取り除き、花びらだけ軽く茹で、酢の物にしたり砂糖で甘く煮たり
花のサイズは5~8cmと大きめなのでスイーツの飾りにもピッタリです
【ニセアカシア】
マメ科の落葉高木で、「ハリエンジュ」とも呼ばれます
花穂を天ぷらにしたり、新芽を和え物や油炒めにして食べられます
花をホワイトリカーに漬けると、香りのよいお酒になります
黄色い花のフサアカシアは「ミモザ」とも呼ばれ、花を食べられます
小さく丸い花を1個ずつバラして砂糖漬けすると可愛いお菓子に
花をお湯に通してから砂糖を溶かしたホワイトリカーなどに浸し、グラニュー糖をまぶします
シロップに浸してグラニュー糖をまぶすのを何度か繰り返してカリカリに
野草を摘んだり、自分で育てる場合には図鑑を参考に
花を料理に使うのは楽しいですが、観賞用の花の多くは食べられません
中には死に至るほどの猛毒を持つ植物もあるので注意が必要です
野菜やハーブであっても、部位によっては食べられません。薬草や生薬に使われている植物でも、食べすぎると中毒を起こすことがあります。植物を見分けられず、正しい知識を持たずに、野草を食べるのは非常に危険です。
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