【有毒植物】身近な植物にもある毒には注意!

庭や菜園を作る時には、有毒植物についても知っておくと安心

子供やペットが口にすると危険ですし、自分が間違って食べる可能性もあります

公園や野山など、意外と近くにも有毒植物は生えています

野菜やハーブであっても、部位によっては食べられません

薬草や生薬に使われている植物でも、食べすぎると中毒を起こすことがあります

植物を見分けられず、正しい知識を持たずに、野草を食べるのは非常に危険です

注意が必要な野菜と山菜の毒

意外にも、最も食中毒が多いのは「野菜」だといいます。

可食部や下ごしらえの知識がなかったことが原因です。

例えばジャガイモの芽には「ソラニン」という猛毒があることは知られています。

緑色に変色した部分や、未熟な芋も有毒です。

ジャガイモを主食とするドイツでも、毎年のように食中毒が発生するといいます。

山菜などはアク抜きをしないと有毒の場合があります。

「フキ」や「ワラビ」は水にさらし、加熱すれば大丈夫ですが、生食はできません。

「イタドリ」もシュウサンが多いため、アク抜きが欠かせません。

生薬に使われる「キキョウ」の根を食材にする場合も、茹でてサポニン成分を除去する必要があります。

「モロヘイヤ」は葉を食べますが、種は有毒です。

「ギンナン」も多量に食べると有毒で、イチョウの葉にもアレルギー成分が含まれます。

山菜として食べる「フジ」も、多量に食べると呼吸不全を起こすことがあるそうです。

健康食品、生薬に使われるからといって、食べ過ぎるとかえって逆効果。

民間療法を鵜呑みにして、素人判断で食べると中毒症状を起こすことがあります。

可食部アク抜きの仕方を知ったうえで、正しく調理することが大切です。

動物や子供が食べやすい有毒植物

子供やペットが遊ぶ庭に植えたくないのが有毒植物。

家畜が食べて中毒を起こしたり死亡したケースもあるそうです。

美味しそうに見える「実」や「花の蜜」に、毒が含まれていることもあります。

【ツツジ】



ツツジの花を摘んで蜜をなめることがあります。

少量なら中毒することは少ないですが、有毒です。

特に注意が必要なのが蜂蜜で、ツツジから集めた蜜で食中毒が起こっています。

ツツジ科の植物には有毒の物が多く、「アセビ」もツツジ科で有毒です。

家畜が食べて中毒を起こすことがあります。

【デルフィニウム】

デルフィニウムの青い花

美しい青い花を咲かせるデルフィニウムは花壇に植えると見栄えがします。

ところが全草が有毒なので、ペットや家畜の近くには植えないほうが安全です。

【スズラン】

スズランの真っ赤な果実を子どもが口にしがち。

苦いのですぐ吐きだし大事に至ることは少ないですが、根、花、葉、花粉が有毒です。

スズランを活けてあったコップの水を飲んで死亡した事故が起きています。

【ドクウツギ】



ドクウツギは、近畿以北から北海道に生える落葉低木。

1メートルほどの木に、美味しそうな赤い実がなります。

実際に食べると甘い実ですが、猛毒です。

山地や河川敷などに生えていることもあり、子供が食べる危険があります。

蜂蜜でも中毒するので、ドクウツギの近くでミツバチを育てるのも危険です。

薬草と間違えやすい有毒植物

民間療法に用いられる薬草には、よく似た毒草があることに注意が必要です。

また薬草であっても、部位によっては有毒のこともあります。

野山で摘む場合には、ちゃんと見分けられるものだけにしたほうが安全。

見分けられないなら市販されているものを使う方が安心です。

【アヤメ】

薬湯に使われるショウブと間違えやすいのがアヤメ。

ショウブは香りが強いことが特徴で、5~7月に咲く花は楕円形で淡い黄緑色です。

葉に艶があり、基部が淡い紅色で、池や沼など水辺に群生します。

漢字では「菖蒲」と書いて「あやめ」とも「しょうぶ」とも読みます。

アヤメはアヤメ科で、ショウブはサトイモ科、全く別の植物です。

アヤメ科の植物は、樹液に触れると皮膚炎を起こすことがあります。

ハナショウブやカキツバタもアヤメ科です。


【イヌサフラン】

サフランの花

サフランとよく似たイヌサフランは、花、葉、球根が有毒。

イヌサフランはユリ科で、サフランはアヤメ科の別の植物です。

サフランと間違えたり、根を玉ねぎと間違えた事故が起こっています。

葉がギョウジャニンニクと似ているために、間違って食べて死亡した例もあります。

イヌサフランにはギョウジャニンニクのような強い臭いがありません。

【カロライナジャスミン】

お茶に使われるジャスミンはモクセイ科で、カロライナジャスミンはマチン科の別の植物。

植物全体、特に花の蜜と根が有毒です。

ジャスミンだと思ってハーブティにする事故が起きています。

観賞用として植える場合も、手入れする時には手袋が必要です。

山菜と間違えやすい有毒植物

セリの花

野山で山菜取りをして中毒を起こす事例が毎年のように起こります。

野草に詳しい中高年者でも間違えることがあるので、しっかり見分けられることが大事です。

薬草と同じ場所に生えていることもあります。

庭に自然と生えている場合も、しっかり確認したうえで使うほうが安心です。

多くは「香り」「花」「根」「葉」で見分けられます。

【ドクゼリ】



食用のセリと似ているので間違えやすいのがドクゼリです。

同じセリ科の植物ですが、セリより大きく、全草が有毒。

見分け方のポイントは4つあります。

  • ドクゼリのは中が空洞になっている
  • ドクゼリを切ると黄色い汁が出る
  • ドクゼリにはセリのような香りがない
  • ドクゼリのはタケノコのように太い

まず香りをかいでみれば、セリとは違うことが分かるはずです。

パセリやニンジンもセリのような強い香りがします。

ドクゼリの根はワサビと似ていますが、葉の形がワサビとは全く違います。

【シキミ】

香辛料として使われるハッカクと間違えやすいのがシキミです。

ハッカクもシキミもマツブサ科の植物で、果実の形も似ています。

シキミは日本にも自生していますが、ハッカクは中国南部が原産です。

ハッカクは「トウシキミ」「ダイシキョウ」「スターアニス」とも呼ばれます。

シキミは植物全体が有毒で、特に花と果実に多く毒素を含みます。

獣害を避けるため、寺や墓に植えられることもある木です。

シイの実と間違えて中毒を起こした例もあります。

【トリカブト】

有名な毒草ですが、山菜の「モミジガサ」「ニリンソウ」と似ているので注意が必要です。

生薬に使われる「ゲンノショウコ」とも葉が似ています。

特に根が猛毒ですが、全草に毒があるので触れたら手洗いが欠かせません。

  • ニリンソウ、モミジガサの若葉には表面にうぶ毛があり、トリカブトには産毛はない
  • ニリンソウの葉には白い斑点があり、トリカブトには斑点がない
  • ゲンノショウコの若葉には産毛はないが、赤褐色の斑点がある

茎にも葉にも産毛がなく、つるっとしているのがトリカブトの特徴です。

【バイケイソウ】

山菜の「ウルイ(ギボウシ)」とよく似ているのがバイケイソウです。

全草が有毒で、一口かじっただけでも強い中毒症状が出ます。

ウルイもバイケイソウも、同じような湿気の多い場所に生えていることも多いため、注意が必要です。

中部以北から北海道に自生する草で、飲食店で天ぷらにして提供した中毒事故も起きています。

【ハシリドコロ】

薬草のベラドンナと似ているのがハシリドコロ。

若芽がフキノトウやタラノメとも似ているため間違えることもあります。

ほろ苦くて美味しいため、すぐに吐き出すこともなく、重症化します。

本州、四国、九州の水辺などに生えている草です。

野菜と間違えやすい有毒植物

皿に乗せたアザミ

名前が紛らわしい有毒植物もあります。

例えばアザミの根は「ヤマゴボウ」と呼ばれ、ゴボウと同じようにして食べられます。

ところがヤマゴボウ科の植物は多くが有毒で、アザミはキク科の植物です。

「葉」や「根」の形が野菜と似ている植物は、菜園の近くに植えていると間違えることがあります。

【ヨウシュヤマゴボウ】

ヨウシュヤマゴボウ

ヤマゴボウ科の植物は根が太く瑞々しいですが、全草が有毒。

特に果実と根に毒成分が多いので、決して口にしてはいけません。

紫色の実も猛毒なので、子供が口にしないよう注意が必要です。

染料として使われることもありますが、手袋で保護しないと皮膚炎を起こします。

口に入らないよう、触れた後には手洗いすることも大事です。

一般にヤマゴボウとして食用にするのは、キク科のアザミです。

食用のヤマゴボウを味噌漬けにする場合でも、葉や葉をよく茹でる必要があります。

【スイセン】

スイセン

が玉ねぎに似ており、はニラと似ているのがスイセン。

菜園の近くに植えてあると、間違える可能性があります。

球根が増えて拡がるため、畑のニラや玉ねぎと混生していることもあります。

全草が有毒で、特に鱗茎は猛毒なので注意が必要です。

スイセンにはニラや玉ねぎの様な臭いが全くありません。

【ダチュラ/チョウセンアサガオ】

根をゴボウと間違えて中毒を起こしたことがあるのがチョウセンアサガオです。

ゴボウを栽培する畑の近くには植えないほうが安全。

こぼれ種でも増えるので、思いがけない場所で育っていることがあります。

ナス科の植物で、葉にも毒性があるため、触れたら手洗いが欠かせません。

【ジキタリス/フォックスグローブ】

健康野菜と言われる「コンフリー」と似ているのがジキタリス。

ですがコンフリーはムラサキ科、ジキタリスはオオバコ科で全く別の植物。

茎と葉は特に毒性が強く、花や根も有毒です。

かつては生薬として使われたこともありますが、現在では使われません。


料理の彩りに使われがちな有毒植物

季節感を出すために料理に添えられる植物にも注意が必要です。

食べられるエディブルフラワーなどもありますが、有毒のものもあります。

飲食店の調理人でも知らずに使っていることがあり、中毒事故が起こっています。

【ナンテン】



真っ赤な実が料理の彩りに使われがちなナンテン。

防腐効果があるので料理に添えることがありますが、食用ではありません。

咳止めの生薬で喉あめにも使われていますが、正しく処理されたものでなければ有毒です。

【アジサイ】



季節感を出すために、アジサイの葉が料理の盛り付けに使われることがあります。

ですがアジサイは花、葉、茎、根が有毒です。

飲食店で料理に添えられて中毒事故が起きた事例があります。

抗菌作用があるため食品の下に敷くことがありますが、食べることはできません。


樹液に毒性がある植物

テーブルに置かれた
真っ赤なポインセチアの鉢植え

茎を折った時などに出てくる樹液に毒性がある植物があります。

表面にそっと触れる程度なら問題ありませんが、切り花にする時には注意が必要です。

手袋で肌を保護し、触れた場合には手を洗っておくと安心。

観葉植物の中にも有毒の植物がありますので、子供やペットがいる場合は注意が必要です。

  • ポトス
  • モンステラ
  • シクラメン
  • ポインセチア



「キンポウゲ科」の植物には有毒のものが多いので、手入れする時には手袋が必要です。

口に入ると中毒を起こすことがあるので、手洗いも欠かせません。

  • アネモネ
  • クリスマスローズ
  • クレマチス
  • シュウメイギク
  • ラナンキュラス
  • フクジュソウ(全草)

茎を切った時に出る汁で皮膚がかぶれます。

肌が弱い人なら、水膨れになったり、腫れ上がって化膿することがあります。

ですから切り花にして飾るより、花壇で咲かせておくのに向いています。

葉や樹皮が有毒で、キョウチクトウの枝に肉を刺して焼き、中毒を起こした例があるそうです。

マシュマロやソーセージを刺して焼いた事故も発生しています。

加熱によって毒が肉にしみこんだものと思われます。

「キョウチクトウ科」の植物も多くが有毒です。

  • キョウチクトウ
  • プルメリア
  • ニチニチソウ

15世紀の化学者であり医師のパラケルスの言葉があります。

「この世の中に薬というものはない。すべてが毒なのであり、それを薬とするのは、ただ量の問題なのである」

船山信次著『毒草・薬草事典』



生薬に使われる植物、民間療法として伝わる薬草も、量や使い方によっては毒になり得ます。

ですから、しっかりした知識を持ったうえで、正しい使い方をすることが大事です。

山野草を摘む時には、図鑑を見ながら確かめると安心。

開花期、若芽の時期の写真もあると見比べることができます。

文庫サイズの本なら持ち運びしやすく便利です。

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食用として使われるエディブルフラワーも、彩り程度にしたほうがよさそうです。

皿に盛りつけたエディブルフラワー

【エディブルフラワー】食べても安心の花とは

パーティ料理にピッタリなのがエディブルフラワーを使った料理。花びらの色や香りが食卓を華やかに演出してくれます。例えば「バラ」は代表的なエディブルフラワーです。


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