【自家製】植物油の作り方と油を採取する植物

植物油は、多くが「種」から採ったものです

種子を保護している硬い部分の「核」から採れる油もあります

オリーブやアボカドなどは、果実に油が含まれている植物です

種から油を取る場合には、圧力をかけて絞り出します

果実の場合は、つぶしてから濾して果肉を取り除くだけなので比較的かんたんです

自家製オイルは酸化しやすく、ほんの少ししか採れません

時間も労力もかかるので実用的ではありませんが、楽しめる実験のようなもの

庭で育てた植物から油を取ってみるのも面白いと思います

油を搾るための道具

アボカドの実など、柔らかい果実は潰すだけで油が出てくるので、濾せば油が採れます。

ゴマなど種から油を搾るには、強い圧力をかける必要があります。

家庭用のオイルプレス機を使うと簡単です。

搾油器は自作することもできます。

竹筒のような容器の底に網を張り、下の方に油が出てくる穴をあけます。

筒の中に入る大きさの木蓋を2~3個ほど用意しておきます。

この筒の中に細かく砕いた種を入れ、ジャッキで圧力をかけて油を絞り出します。

ジャッキは、しっかりした木枠に取り付ければOK

材料を入れた筒ごとビニール袋に入れ、蓋をしてジャッキで圧力をかけます。

すると筒の下に開けた穴から油が出てきて、ビニール袋に溜まってきます。

【油を搾った後の処理】


油は酸化しやすいので、絞ったらガラスの容器に入れて密閉し、冷暗所で保管します。

1カ月ほどで油は酸化してしまうので、早めに使い切ることが大事です。

搾油器についた油も、きれいに拭き取っておかないと酸化して悪臭が出ます。

たくさんの絞りかすが酸化すると自然発火することがあります。

搾りかすと同量の土を混ぜておけば堆肥にでき、発火する危険もなくなります。

【油かすは堆肥にする】



油かすをそのまま土に混ぜるとガスなど発生して植物に悪影響が出ます。

ですから土に混ぜて完全に分解した「堆肥」にしてから使うことが大事です。

庭土に浅く穴を掘り、油かすを入れた上に落ち葉や枯草を入れて埋めておきます。

3~6カ月ほどで分解され、発酵して堆肥になります。

コンポスターに入れると匂いが出るので、土に埋めた方が良いようです。

種から油が採れる植物

  • 大豆 → 大豆油
  • 米 → こめ油
  • とうもろこし → とうもろこし油
  • 紅花 → サフラワー油
  • ひまわり → ひまわり油
  • ゴマ → ゴマ油
  • 落花生 → 落花生油
  • 綿 → 綿実油
  • 葡萄 → ぶどう油
  • えごま → えごま油

【なたね油】



菜種、ゴマ、エゴマの種から油を取る時は、炒ってから砕き、水を加えて加熱します。

水を加えて加熱することで、種の中のタンパク質が固まって油が出てきやすくなるからです。

熱を加えると、種の中の酵素が働かなくなり、酸化しにくくなります。

ただし温度が高すぎると酸化が進みます。

温度設定ができるホットプレートを使い、120℃で5分ほど煎ると失敗しません。

  1. 菜種(100g)を5分間ほど煎る
  2. 少し冷ましてから1/3くらいずつ3秒ずつ10回くらいミルで細かくする
  3. 砕いた菜種の10%くらいの水を加えて混ぜる
  4. 電子レンジの強で1分ほど加熱する
  5. 絞り器に入れて圧力をかけ、油を搾り出す

同じ方法でヒマワリの種からも油を取れます。

ヒマワリの場合は、外側の殻を割って中身だけ取り出してから煎って粉砕します。

【ツバキ油】



椿の種は硬い殻に覆われているので、それを取り除く必要があります。

  1. プライヤーなどで硬い殻を割り、殻を取り除く
  2. 中身を細かく砕き、5分間ほど煎る
  3. 数回ミルにかけて細かくする
  4. 絞り器に入れて圧力をかけ、油を搾り出す

水を加えたり、加熱する必要はありません。

プライヤーは針金を曲げたりする時に使う道具です。

種を挟んで硬い殻を割ることができます。



【種の核から油が採れる植物】



種の外側にある硬い核の部分に油分が多く含まれている植物もあります。

  • カカオ豆 → カカオバター
  • パーム核(アブラヤシ)→ パーム核油
  • ココヤシ → やし油

パーム油の原料はアブラヤシの実で、ココヤシの実「ココナツ」とは別品種です。

果肉から油が採れる植物

果肉から作る植物油の代表が「オリーブ油」「パーム油」「アボカド」。

柔らかな果肉の場合は、種子類よりも簡単に油を取り出すことができます。

種を取り除いた果肉をつぶし、濾して果肉を取り除くだけです。

【オリーブ油の作り方】



油を取り出すには、完全に熟して赤紫色になった実を使います。

1㎏の果実から採れるオリーブオイルの量は、50~100mlほどです。

  1. オリーブの実を洗い、水気を切っておく
  2. 二重に重ねたフリーザーバックに実を入れて口をふさぎ、もみつぶす
  3. じょうごに油をしみこませたキッチンペーパーを敷き、コップなどの上に置く
  4. 潰した実を入れてオイルが滴り落ちてくるのを待つ

濾過する時に、オリーブ油に浸したキッチンペーパーを敷くと油だけ滴り落ちます。

ジューサーにかけると楽に実を潰せるはずです。

それをキッチンペーパーを敷いたジョウゴに入れて油が落ちるのを待ちます。

油が全て滴り落ちてくるまでには1~2日ほどかかります。

最後の方は油に果汁が混じってしまうので、水を加えて油を浮かせ、すくい取ります。

絞った後の油かすは肥料として使えます。

こうして取れるオリーブオイルは、ほんの少し。

酸化しやすく日持ちしないので、数日で使い切ります。

【ドレッシングとマヨネーズの作り方】



採れたてのオリーブオイルはサラダドレッシングにピッタリ。

フレンチドレッシングやマヨネーズを手作りできます。

●フレンチドレッシング

油2:酢1に塩コショウを加えただけのシンプルなドレッシング。

ハーブやニンニクを加えて風味をつけるなどアレンジできます。

●マヨネーズ

マヨネーズを作る時は「小さいボウル」を使い、「混ぜる順番」がコツです。

  1. 酢に塩コショウを混ぜておく
  2. 別のボウルに卵黄を入れて溶きほぐす
  3. 卵黄に油を少しずつ加えて混ぜる
  4. 粘りが出てきたら酢を少し加え、油を少し加えて混ぜる

酢と油を一度に入れると分離してしまうので、少しずつ加えることが大事です。

手作りマヨネーズも日持ちしないので、その日に使う分だけ作ります。

【オリーブの実を取るための育て方】



オリーブは1本では受粉しないので、違った品種2本以上を植える必要があります。

苗を植えてから実がなるまでに3年以上はかかります。

温暖な気候を好むので、年間の平均気温15~22℃くらい必要です。

ジメジメした環境を嫌うので、風通しの良い場所、水はけの良い土に植えます。

苗の植え付けは、温かくなった3~5月ころ。

5~6月に白い花が咲き、9月ころに実が生り始めます。

オイルが取れるほど実が熟すのは11~12月になってからです。

鉢植えで育てる場合は、3年に1度くらい植え替えをして土を替えてやります。

本来は大木になる木なので、剪定で小さく育てることが大事です。

生の実が手に入りやすい「アボカド」でも同じ方法で油を搾れます。

果樹を育てるコツ~植える場所の気温と土質・枝の付け方が大事

【果樹】アボカドの実をつける育て方ポイント

アボカドは本来とても大きくなる果樹。葉が大きく根が浅いため、剪定で小さくしたり、茂りすぎないように管理します。実が付き始めたら「摘果」して数を減らし、養分を集中させるのも大切です。

アボカドも大きくなる木なので、広い場所が必要です。

植物油でキャンドル作り

植物油は固まりにくいので、容器に入れたキャンドル向きです。

耐熱性のあるガラスや、空き缶などに燈心を入れてオイルを注ぎます。

市販のキャンドル芯を使うと簡単。

和蝋燭に使われる燈心は、長く安定して燃えることがメリット。

竹串に和紙を巻き、その外側に「燈心草」とも呼ばれる「いぐさ」を巻いて作られます。

和蝋燭に使われるのが「ハゼの実」です。

ソイキャンドルは、大豆から採れた油「ソイワックス」を使ったキャンドルです。

アメリカでは「ベイベリー」という木の実から作ったキャンドルも市販されています。

ワックスが採れる ベイベリーやハゼ 庭木としても魅力的♪

【手作りキャンドル】植物から採るワックス

キャンドル作りのワックスは、石油由来のパラフィンだけではありません。植物由来のワックスからもキャンドルが作れます。

当ブログ記事を整理して、電子書籍と紙の本で出版しています。

Unlimited会員なら無料でダウンロードできますので、よろしかったら覗いてみてください。



Facebooktwitterlinkedinrssyoutube
Facebooktwitterredditpinterestlinkedinmail