昔ながらの方法で作るアップルビネガーは、とてもシンプル
基本的には、リンゴから果汁を絞り、リンゴジュースを瓶に入れておくだけです
甘みのあるリンゴをベースにして、酸味のあるリンゴをブレンドすると美味しくなります
- 酸味の強いリンゴの品種は「紅玉」や「ジョナゴールド」
- 甘味の強いリンゴの品種は「王林」「星の金貨」
1リットルのリンゴから作れるリンゴ酢の量は、380mlほどです
リンゴを絞って酢にする方法
庭に植えたリンゴなら、傷のある実や地面に落ちた実でも使えます。
虫、カビ、腐敗のある果実だけ避ければOK
- リンゴを細かくする
- 果肉を絞る
- 果汁を温かい場所に置く
市販のリンゴを使う場合は、よく洗って農薬を落とし、軸の部分を取り除きます。
【リンゴを細かくする】
リンゴは皮付きのまま四等分に切り、軸だけ取り除きます。
芯や種は付いたままでもOKです。
ジューサーやミキサーにかけるか、すりおろします。
細かくするほど多くの果汁が絞れます。
【果肉を絞る】
ザルに薄手の布巾を敷き、ボウルを重ねて果汁ごと注いで果肉を濾します。
濾した果汁を入れるのに丁度いいのが、梅酒用の広口瓶です。
あらかじめ熱湯で消毒しておきます。
ザルに残った搾りかすは、布巾で包んで重石を乗せ、さらに絞ります。
果肉を絞るのに便利なのが、ジュース用の絞り器。
果肉を絞る時は、「急がない」ことがポイント。
根気よく絞ることで、透明感のある果汁になります。
果汁が出なくなるまで待ってから、さらに圧力を強めるのがコツです。
果汁が出なくなるまで絞ったら、果汁をガラス瓶に加えます。
搾りかすは、砂糖とレモン汁を加えて煮詰めると、リンゴジャムにできます。
【果汁を温かい場所に置く】
コバエなど入らないよう、瓶の口を薄い「ガーゼ」で覆って輪ゴムで止めます。
空気が入らないと酢酸菌が死滅してしまうので、蓋はしません。
35~40℃の温度を保ち、約5週間ほど置くと酢のできあがり。
5週間ずっと温かい温度を保つための「温度管理」がポイントです。
発泡スチロールの箱などに瓶を入れ、寒い時期なら毛布などで覆います。
瓶に入れた果汁に少量の酢を加えると、早く仕上がります。
もしシンナーのような匂いになってしまったら失敗です。
酢の香りがしていれば成功。
布で濾して瓶に入れ、蓋を閉めて保存し、使えます。
密閉して1年ほど熟成させると、さらに味がまろやかになります。
様々な材料で作れる酢
酢は様々な果物から作れます。
「梨」「ブドウ」「イチゴ」「いちじく」「プルーン」「みかん」「桃」「柿」など。
ブトウは皮ごとつぶし、ミカンは皮をむき、プルーンや桃は種を取り除きます。
酢を作る時は「糖度10~12」くらいが適度です。
糖度が高い場合は「水」を足し、糖度が足りない場合は「砂糖」を足します。
食品の糖度を簡単に測れるのが糖度計。
先端に測りたいものを乗せるだけです。
自然に発酵しにくい柿などを使う場合に加えるのが、パン用のドライイーストです。
果肉をつぶして水を加え、イーストを混ぜて25~28℃に保つと発酵します。
1週間ほどしたらザルで濾し、広口瓶に入れて酢になるまで温かくしておけばOK
果汁を酢に変える「酢酸菌」は空気中にいるので、蓋をせず、ガーゼで瓶の口を覆っておきます。
20~30日ほど置いて、液体の表面に膜が張ったら濾せばOK
鍋に入れて火にかけ、殺菌しておくと雑菌を防げます。
酢酸菌の膜は薄いけれど、ぶよぶよした厚い膜が張ったら雑菌です。
雑菌の膜が張ってしまった場合は、濾して取り除き、熱湯消毒しておきます。
水を入れた鍋に酢を入れた瓶を入れ、弱火にかけ、65~70℃で10分くらい加熱すればOKです。
薄く張った酢酸菌の膜は、保存して「種酢」として使えます。
フライ返しなどで、そっとすくい、密閉容器に入れて冷蔵庫で1週間くらい保存可能です。
別の酢を作る時に種酢を加えると、早く作れます。
保存瓶に入れてから熟成させると、旨みが増し、色も濃くなっていきます。
酢を使った料理いろいろ
アップルビネガーに塩コショウとオイルを混ぜるだけで、美味しいサラダドレッシングになります。
季節の野菜を漬けこんだピクルスにも使えますし、サッと和えた酢の物も美味しい。
フルーツを漬けこんだサワードリンクは、夏の飲み物にピッタリです。
疲労回復効果のある酢は、東南アジアなど暑い国の料理に多く使われます。
寿司飯を米酢の代わりにアップルビネガーで作ると甘い香りです。
【二杯酢と三杯酢の使い分け】
酢の物の基本は「二杯酢」「三杯酢」「甘酢」です。
- 二杯酢は「酢1:醤油1」
- 三杯酢は「酢1:醤油:煮切りみりん1」
- 甘酢は「酢2:砂糖1」
煮切りみりんとは、みりんを鍋に入れて火にかけ、アルコール分を飛ばしたものです。
二杯酢に向くのは、ワカメ、イカ、タコなどの魚介類。
三杯酢は、野菜にも魚介類にも合わせやすい一般的な酢の物です。
甘酢は、ラッキョウや新生姜を漬けたり、野菜のピクルスに使ったり、酢豚など甘酢あんにも使います。
寿司飯の場合なら、酢60mlに対して砂糖大さじ1~3と塩小さじ1くらい。
魚介類を使った握り寿司や散らし寿司には、砂糖を少なめにします。
【サワードリンクの作り方】
すっぱいものが苦手な人でも飲めるのがサワードリンク。
氷を入れたグラスで、水や炭酸で割って飲むのが美味しい。
暑い夏の日にピッタリのドリンクです。
材料は果物500g、氷砂糖500g、酢500ml。
青梅、リンゴ、パイナップル、レモン、イチゴ、色んなフルーツが使えます。
- 果物を洗い、瓶に入れやすい大きさに切る
- ガラス瓶に果物と氷砂糖を交互に入れて酢を注ぐ
- 時々かき混ぜながら冷暗所に置き、氷砂糖が溶けたら出来上がり
青梅やイチゴなら、ヘタを取って丸ごと。
リンゴやパイナップルは芯を取って2~3cm大にざく切り。
レモンは薄切り。
1週間から1カ月ほどで氷砂糖が溶けて飲み頃になります。
漬けてあった果物は取り出して、ジャムなどにしてもOK
【アドボの作り方】
アドボとはフィリピンの肉料理で、夏バテ解消にぴったり。
ボリュームがあって、さっぱりしています。
材料
- 豚バラ肉の塊(500g)
- 鶏の骨付き肉(500g)
- 酢(1/2カップ)
- 醤油(1/3カップ)
- にんにく(2片)
- ローリエ(2枚)
- 黒こしょう(小さじ1/2)
作り方
- 豚肉は4~5cmくらいの大きさに切る
- ニンニクは皮をむいて包丁を平らに乗せ、上から叩いてつぶす
- 材料を全て鍋に入れ、1~2時間ほど浸け込む
- 鍋を火にかけて沸騰させ、弱火にして肉が柔らかくなるまで煮込む
- ニンニクと肉を取り出し、フライパンに油を敷いて炒めてから鍋に戻す
【酸辣湯(スーラータン)の作り方】
酸辣湯は、とろみのついた中国のスープ。
辛みと酸味が食欲をそそり、身体が温まります。
材料
- ニンジン(1/2本)
- たけのこ(1/2本)
- 干し椎茸(3~4枚)
- 豚肉(100g)
- 豆腐(1/2丁)
- 卵(1個)
- 片栗粉、塩、こしょう、酢、酒、鶏がらスープ
作り方
- 干し椎茸は水で戻して千切り
- ニンジン、タケノコも千切り
- 豚肉は細切りして酒と醤油で下味をつけておく
- 鶏がらスープを鍋に入れて火にかけ、沸騰したら野菜と肉を入れて煮る
- 酢、酒、塩、こしょうで味を調え、水溶き片栗粉でとろみをつける
- 豆腐を加え、溶き卵を回し入れ、火を止めて蒸らしたら出来上がり
食べる時にラー油を加えても美味しいです。