アボカドは本来とても大きくなる果樹
葉が大きく根が浅いため、剪定で小さくしたり、茂りすぎないように管理します
実が付き始めたら「摘果」して数を減らし、養分を集中させるのも大切です
アボカドなど果樹を育てる時に大切なのが「剪定」と「誘引」
果樹は横へ伸びる枝に実をつけるという性質があるからです
アボカドが成長しやすい環境
アボカドを日本で育てるのは、なかなか大変。
原産地の南米と日本とでは、気候や土質が大きく異なるからです。
アボカドの根は地表に浅く張っているため、台風などで簡単に倒れてしまいます。
寒さや湿気にも弱いので、植える場所や鉢の置き場所、土の状態にも注意が必要です。
庭に植えると3メートル以上にもなり、温かい気候だと10メートル近くなることもあります。
鉢植えにして「観葉植物」として楽しむなら難しくありません。
実をつけるまで育てて収穫するには、2本以上を植える点に注意が必要です。
確実に実を付けるには、人工授粉を行います。
【アボカド栽培に適した気温】
アボカド栽培に最適な気温は20~25℃くらい。
日本の本州でも育てられる耐寒性があり、-2℃~-6℃くらいまでの低温に耐えます。
寒い地方では鉢植えにして、冬は日あたりの良い室内に入れておくほうが安全です。
【アボカドに適した土質】
アボカドを鉢植えで育てる場合、水はけ良く、水持ちも良い土が大事です。
土2:ピートモス1:パーライト1
パーライトは水はけを良くします。
ピートモスは「保水性」を良くします。
市販の用土を使うなら、野菜用の土7:小粒の鹿沼土3くらいの割合で。
原産地でのアボカドは、地表に積もった落ち葉などから養分を吸収しています。
それは根が浅く張っているため。
地面の表面に落ち葉などが堆積して腐植となり、それがアボカドの養分となります。
【アボカドを植える場所】
日当たりを好むので、春から秋は一日に3時間くらい直射日光が当たる場所が適しています。
寒風が当たらない場所を選ぶ必要があります。
北西から冬の寒風が吹くと、葉が落ちてしまいます。
根が浅く倒れやすいので、強風が当たらない場所であることも大事です。
●斜面の暖かい場所が最適
アボカドを地面に植えるなら、南東の傾斜地で、斜面の途中が最適。
南側なら寒風が当たらず、傾斜地だと寒さが停滞しないからです。
冷たい空気は下のほうへ降りていきます。
斜面では、地表から放射された「温かい空気」が帯状に溜まっている箇所があるものです。
上から「肥沃な土の養分」が雨で流れ落ちてくるというメリットもあります。
斜面の上だと、夏の乾燥で衰弱してしまうことがあります。
●強風が当たらない場所を選ぶ
海岸部の砂地であれば、平坦な土地に植えても大丈夫です。
ただし強風で倒れやすいため、風が当たらない場所を選ぶことが大事です。
アボカドの根は浅く張っているため、風が強いと根こそぎ倒れてしまいます。
アボカドは、剪定せず自然に育てると10メートル近くまで成長します。
大きく育てたほうが寒さに強くなり、実も着きやすいですが、収穫するのが大変。
新しい梢が出てきたら、先端を摘み取るようにしていくと小さく育てられます。
枝先を切り詰めることで、枝の数が増え、コンパクトで形よくできます。
錆びにくい剪定ばさみが一つあると重宝します。
鉢植えで育てるアボカド
アボカドの実を収穫するなら大きな鉢が適しています。
本来が大きくなる果樹ですし、根が浅い分だけ広さが必要だからです。
深さは「30cm」くらいで充分ですが、直径「120cm」くらいあると安定します。
最低でも10号(直径30cm)くらい。
苗木の栽培に最適なのが「スリット鉢」です。
鉢底のスリットが根の生育を助けます。
根が浅く地上部が大きくなるアボカドには、安定感のある形が適しています。
苗木を植えつけたら、新しく出てきた枝の先端を摘み取ることで小さく育てます。
新しく伸びた小さな枝は、葉を5~7枚だけ残し、その先を指で摘まみ取ります。
こうすると枝の数が増えて、こんもり形よく、小さくできます。
樹高2メートルくらいまでに抑えて育てると、定植した翌年くらいから実が成り始めます。
アボカドの品種
アボカドには主に5種類の品種があります。
日本に多く輸入されているのが「ハス」という品種です。
食べた後の種を植えると、簡単に芽が出ます。
苗を育てる時に最適なのが小さいスリット鉢です。
種から育てたアボカドが実を着けるまでには5~6年かかります。
市販のアボカドの種を植えても、実った果実はハスとは違う場合があります。
実を収穫して食べるなら接ぎ木した苗を購入すると確実です。
味が良いのは、ハス、フェルテ、ピンカートン。
関東より北の地域で育てるなら寒さに強い品種を。
例えば「ベーコン」「ズタノ」といった品種を選ぶと失敗しません。
寒さに強く、味も良いのが「ベーコン」で、ズタノは少し劣ります。
霜が降りない地域なら寒さに弱いハスやピンカートンでも実が成ることがあります。
アボカドの実を成らせる方法
アボカドの実を成らせるには、花を咲かせる必要があります。
アドカドの花は、枝の先端に房状になって咲きます。
花芽が付くのは、晩秋から初冬にかけて。
冬の間は花芽を形成している期間です。
【花の咲き方と実の付き方】
アボカドは開花型が違う2品種を植えるのがコツ。
そうすると実付きが良くなるからです。
アボカドの花は両性花。
両性花は、同じ花が一日に2度咲きます。
午前中と午後でオスメスが変わる点に注意が必要です。
午前中か午後、同じ時間帯に、雄花と雌花が咲いていると受粉しやすくなります。
- 午前に雌花が咲くのが「ハス」「ピンカートン」
- 午前に雄花が咲くのが「ベーコン」「フェルテ」「ズタノ」
花の咲く時間帯が違う組み合わせで植えると実付きが良くなります。
人工授粉をすると、より確実に実を成らせることができます。
雄花を房ごと切り取って、雌花に付けるだけです。
【花芽を切り落とさないこと】
冬の間に枝先を切り落とさないことが大切です。
冬の寒さで先端部の花芽が枯れたとしても、その下の腋芽から花芽が出るので大丈夫。
4月頃の気温が高くなり始める時期に房状の花芽が出てきます。
花が咲くのは5~6月ころ。
花は枝の先端に付くので、大切に育てることがポイントです。
【土を乾燥させない】
春先から実が成るまでは、土が乾燥しないよう注意が必要です。
花芽が発育している時期、開花時期、実が成る頃には特に水分や養分を必要とします。
梅雨明けの頃になると、強い日射によって水分が不足しがち。
葉から水分が蒸発してしまうので、根からの水分供給が追い付かなくなります。
葉から水分が蒸発するのを防ぐには、葉に水をかけてやるのが効果的です。
シャワーホースを使って、葉の裏側から水をかけてやると、水滴が表面に残りません。
上から水をかけるなら、日の出くらいの早朝か、夕方になってから。
水滴が葉の表面に残ったまま強い日差しを受けないように注意が必要です。
水滴がレンズになって葉が焼けてしまいます。
【花が付き始めたら枝を水平に誘引】
花が付き始めたら、枝を水平にして支柱などに固定します。
花が房状に咲くため、花の重みで枝が垂れ下がり、折れてしまうこともあります。
枝を誘引して風通しよくすることで、病害虫を防ぐ効果もあります。
アボカドは、房状に咲く花の中心部から新しい梢が伸びてきます。
この新しい梢と果実が水分や養分を奪い合うため、実が落ちてしまうことがあります。
開花期に伸びてくる新梢は、葉を伸ばして光合成するため、果実へ養分を送ります。
果実がウズラの卵くらいの大きさになってきたら、実が落下しやすくなります。
ですから実が大きくなり始めたら、伸びてくる新梢は手で摘み取り実の落下を防ぎます。
開花中は「害虫」がつきやすく、「炭疽病」などにも感染しやすい時期です。
【アボカド栽培で気を付けるべき病気】
アボカドに付きやすいのが「炭疽病」。
葉や枝に褐色の斑点ができる病気です。
- 早く熟して皮がくぼむ
- 果実が薄黒くなって腐る
こんな症状なら炭疽病です。
「カビ菌」が原因で起こり、雨や風で菌が運ばれて伝染します。
「高温多湿」で発生しやすい病気なので、風通しよくすることが予防策です。
- 土にパーライトなどを混ぜて水はけを良くする
- 混みあった枝や葉を整理する
農薬を散布する以外に炭疽病の対応策はありません。
侵された葉は切り取って処分します。
成木になって果実が成り始めた頃に突然、枯れてしまうことがあります。
アボカドが枯れる原因として多いのが、長雨です。
梅雨時や雨が続く季節には、鉢植えを軒下などに置いて病気を防ぎます。
土が水浸しになると、根が呼吸困難になって衰弱します。
さらに根から病原菌が入ると根腐れを起こして枯れてしまいます。
土が常に湿った状態にならないよう、水やりの加減が大切です。
【摘果して実を少なくする】
実がたくさん付き始めたら、大きな実を優先させて、小さなものは摘み取ります。
放置しておくと、自然と実が落ちて、結局ひと房に1つの実しか残りません。
養分や水分を取りあう前に、小さな実を取り除いたほうが、残った実が立派に育ちます。
目安としては、葉100枚に対して実1個です。
収穫が終わってから、鉢植えを室内へ移動する前に、剪定をしておきます。
同じ場所から3本以上の枝が出ている部分は、1本を付け根から切り取って2本に間引きます。
横へ広がっている枝や、上に伸びすぎている枝を切り落とすと小さくできます。
【果実の収穫】
アボカドの実は、熟してくると自然と落下するものと枝に残るものがあります。
西インド諸島の品種は、熟すと落下します。
メキシコ系やグアテマラ系は、実が長く枝に残り、大きくなって油分も増えていきます。
実が熟しているかどうかの判断は難しいもの。
「ハス」という品種であれば、皮が黒くなれば熟したと分かります。
他の品種は緑色のまま柔らかくなります。
皮のつやがなくなり、色が黒っぽくなってきたら食べごろ。
実が付いていた部分の枝ごと切り取り、この枝が外れるようになったら食べごろです。
あとは指で押さえた時の感覚で判断するしかありません。
枝から取った実を、温かい場所に置いておけば熟して柔らかくなっていきます。
気温が高いほど早く熟します。
さらにエチレンを発生させるリンゴなどと一緒に置いておくと追熟が早くなります。
アボカドが収穫できたら、ぜひメキシコ料理でホームパーティを!
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