土作りの目的は、植物と土壌生物の共生関係を作ることです
なぜなら土壌生物が、植物にとって理想的な土作りをしてくれるからです
例えば微生物の種類が増えると、病原菌の繁殖を抑えることができます
ミミズなど土壌生物は、土を耕し、排泄物が植物の養分となります
そういった微生物や土壌成分のエサとなるのが「有機物」です
土作りで大切な微生物の役割
土作りでは、まず「堆肥」を入れることが推奨されます
それは有機物の堆肥が、土壌生物たちのエサとなるからです
堆肥とは、動物や植物などの「有機物」が微生物によって分解されたものです
ところが植物は、堆肥そのものを直接は吸収できません
土壌生物たちが食べて分解されることで、植物が吸収できる養分に変わります
植物は、地上の葉で光合成することで、自ら養分を作り出すことができます
それと同時に、地下の根によって水分や足りない養分を吸収しています
【土作りに使う有機物とは?】
有機物とは、食物連鎖の過程で分解される「動植物」です
それが微生物によって分解されて「腐葉土」や「堆肥」に変わります
例えばピートモスは、水辺に生えた植物が腐って泥炭になった有機物のひとつです
これらの有機物は、微生物や土壌生物のエサとなり、その排泄物が植物の養分となります
【無機物とは?】
無機物とは、生物のエサとはならない、砂、石、粘土といった「鉱物」です
例えば「砂」や「パーライト」は、排水性を高めるために加えます
保水性があるのは「粘土」や「バーミキュライト」です
これらの無機物が混じることで、水分を蓄えつつ、水はけの良い土になります
土作りの方法
菜園や庭を作る時には、まず土作りをすることが大事です
なぜなら人間の手で植えられる野菜や草花は、そこの土質に適応できるとは限らないからです
【ペーハー調整】
例えば原産地の土質とは異なる場合には、ペーハーを調整することなども必要になります
土のペーハーは、植物の生育に大きな影響を与えます。なぜなら土に含まれるミネラルの分量が関係しているからです。例えば、ミネラルが多いほど「アルカリ」度が高く、少ないと「酸性」度が高い土になります。カルシウム、カリウム、リン、といったミネラルは、植物の大切な養分です。
【土質診断】
自然と生えてくる雑草によって、土質を判断できます
酸性土壌とはミネラル分の少ない土質のこと。日本は雨が多いためにミネラル分が流出し、酸性土壌になりがちと言われます。反対にミネラル分が多い土質が、アルカリ土壌です。ミネラルには、カルシウム、リン、カリウムなどがあります。例えば、地中海地方に多い石灰岩はカルシウムなので、アルカリ土壌です。
【理想的な土作り】
どんな植物にとっても理想的なのは、保水性がありながら、水はけも良い土です
それは「団粒構造」と呼ばれ、水や養分を蓄えた粒が集まって、隙間の多い団子状になっています
まずは土に「堆肥」を入れ、土作りを始めるのに適しているのが「秋」です
秋の土作りは、春までに微生物を増やして土壌を改良することが目的です。なぜなら微生物が増えることで、病原菌の繁殖を抑えるからです。例えば土に入れる堆肥が、微生物や土壌生物たちのエサになります。宿根草や木々は休眠中なので、土を掘り返しても大きなダメージをあたえません。
【堆肥】
土作りで使う堆肥には、土壌改良と肥料効果の二つの目的があります
堆肥の効果は、大別すると「土壌改良」と「肥料効果」の2つです。そのため目的に応じて堆肥の種類は異なります。例えば、植物を植える前には土壌改良、植物が成長する時期には肥料として。そして土壌改良と肥料とでは、堆肥に使う材料も違います。
例えば多くの養分を必要とするバラに効果的なのが「牛糞堆肥」です
牛糞堆肥は「バラの寒肥」に適しています。なぜなら牛糞堆肥に含まれる「アンモニア」はバラが好んで吸収する成分だからです。例えば、バラが休眠している冬に土を掘って混ぜておくと、ゆっくり長く効果が続きます。そして繊維質が豊富な牛糞堆肥は、土を柔らかくする効果もあります。
【肥料】
痩せ地の場合は、肥料を加えることも必要です
肥料成分は、植物の生育過程に応じて変える必要があります。なぜなら植物の根、葉、花、実に必要な養分が異なるからです。例えば小さな苗の時期には「根」を発達させる成分を多く使います。大きく成長するには「葉」を増やして光合成をします。とはいえ成熟期に葉ばかり茂ると「花」や「実」は育ちません。
最初にしっかり土作りをしておくと、農薬や肥料を使わない自然栽培が可能になります
自然栽培や自然農法は、農薬や肥料を使わず自然に委ねる栽培方法。どちらも自然の生態系を活かすという考え方が基本にあります。例えば植物と動物との共生関係や、食物連鎖です。ただ放置するだけでは「農法」でも「栽培」でもありません。基本的な考え方と自然を理解したうえで、最低限の手入れは必要です。
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