食用花と普通の花の違いは、毒性のあるなし、栽培法、品種の3点
どんな花でも、無農薬で栽培すれば食べられるというわけではありません
例えばスイセンやアジサイなど、有毒成分を含む花も多くあります
そのため食べられる花かどうかの知識が非常に大事です
さらには、同じ花でも品種によっては有毒の場合があります
食用花と普通の花の違い①毒性
食用花は、毒性がないことが第一条件です
それに対して普通の花は、装飾用なので、見た目の美しさが最優先されています
触れる程度なら問題ない花でも、口に入ると有毒の場合があるので注意が必要です
【食用花の食べられる部位】
食用花の多くが、ガク部分は切り取って、花びらのみを使用します
花びらは無毒でも、茎、葉、根に毒性がある場合があるからです
例えば食用スミレでも、種子や根には毒性があります
そのため、食べられるのは「花」と「葉」のみです
自宅で栽培して食べる場合には、誤って種が混入しないよう注意が必要です
【食べられない有毒の花】
有毒の花は非常に多くあります
花壇や切り花に使うことが多い花でも要注意です
中には触れるだけでも皮膚炎などを起こす植物もあります
触れる程度なら問題がなくとも、食べると有毒な成分を含んでいる花も多くあります
●キジカクシ科の有毒植物
特に注意が必要なのがスズランで、花、花粉、根、葉、果実が有毒です
スズランを活けたコップの水を飲んで死亡した事故が起きています
アスパラと同じキジカクシ科ですが、スズラン属は食べられません
同じキジカクシ科のヒヤシンスも、球根、花、茎、葉、汁液、全てが有毒です
触れただけでも皮膚炎を起こすことがあります
●有毒植物が多いキンポウゲ科
キンポウゲ科には、トリカブトなど有毒な植物が多いので、特に注意が必要です
食用にできるものはほとんどありません
アネモネ、クリスマスローズ、クレマチス、デルフィニウム、フクジュソウ、ラークスパー、ラナンキュラスがキンポウゲ科で有毒です
茎を切った時に出る汁で皮膚がかぶれるため、手入れする時には手袋が必要です
肌が弱い人なら、水膨れになったり、腫れ上がって化膿したりすることがあります
口に入ると中毒を起こすことがあるので、手洗いも欠かせません
●キョウチクトウ科の有毒植物
キョウチクトウ科の植物は、多くの葉や樹皮が有毒です
ハワイでレイに使われるプルメリア、ニチニチソウなどがキョウチクトウ科
枝や葉から出る液が皮膚に付くとかぶれることがあります
●ツツジ科の有毒植物
ツツジは葉、茎、根、蜜が有毒なので、子供が蜜を吸ったりしないよう注意が必要です
またサツキの蜜から採取したハチミツで食中毒が起こっています
シャクナゲも葉、花、蜜が有毒です
●ヒガンバナ科の有毒植物
ヒガンバナ科にはネギ類などが含まれますが、有毒植物も多くあります
例えばスイセンは全草が有毒で、特に球根に強い毒性があります
葉がニラやノビルなどと似ているため、間違えて食べないよう注意が必要です
ヒガンバナは花、茎、葉、根、全草が有毒で、特に球根に強い毒性があります
●その他の有毒植物
アサガオ、アジサイ、シクラメン、ジンチョウゲ、ナンテン、ヒナゲシ、ランタナ
観葉植物や身近な野草にも有毒植物があることにも注意が必要です
毒のある植物は、意外と身近にもあるので注意が必要です。例えば、家庭菜園に生えてきた有毒植物を、野菜と間違えたという事故も起こっています。野菜や山菜も、可食部や下ごしらえの知識がないと、中毒を起こすことがあります。子供やペットが口にすると危険ですし、自分が間違って食べる可能性もあります。
食用花と普通の花の違い②栽培方法
普通の花は主に観賞用、庭園やフラワーアレンジメントのために栽培されています
そのため、色や形の美しさが重視され、食べることは想定されていません
虫や病気が付かないよう、様々な農薬が使われています
【使用される農薬の違い】
観賞用の草花と、食用の野菜やハーブでは、農薬の使用基準が異なります
たとえハーブであっても、花壇や鉢植え用なら農薬が使われています
特に成長が早く、旺盛に伸びて形が崩れやすいハーブに使われるのが矮化剤という薬剤です
生育を抑えるための薬剤で、形よく育てるために使われます
切り花用であれば、延命剤も使われます
延命剤は花瓶の水が腐敗するのを防ぐ目的で使うものです
抗菌・殺菌のため、硝酸銀、酢酸銀といった銀が主成分となっています
食用花やハーブティに使用するハーブなどは、野菜と同様の農薬基準を守っていることが大事です
【栽培される場所の違い】
野菜なら、露地栽培のほうが美味しくなるといわれます
とはいえ特に香りが良い花には虫が付きやすいため、室内で栽培したほうが安全です
例えば岡山県の「EatHana:イトハナ」さんでは、ビル内の植物工場で食用花を栽培しています
屋外で栽培するには、やはり野菜と同程度の農薬散布も仕方のないことです
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食用花と普通の花の違い③品種
普通の花は観賞用のため、様々な品種が作られています
例えば、花が大きくなる品種、八重咲き品種、豊富な花色などです
それに対して食用花は、色や花の大きさよりも、苦みがないことなどが重視されます
そして食用花であっても、品種によっては有毒の場合があります
【食べられる花の品種】
パンジー、ナスタチウム、カレンデュラなどが食用花の一例です
カレンデュラは食用菊の一種で、キク科には食べられる植物が多く含まれます
とはいえ菊は、観賞用として様々な品種が作られてもいます
そのためキク科なら何でも食べられるというわけではありません
●食用菊の品種
栽培する場合には、学名までチェックして食用であることを確認すると安心です
例えば「クリサンセマム」というのは、キク科の総称なので様々な品種が含まれます
以下がキク科の食用花と学名です
- 食用菊(Chrysanthemum morifolium)
- 食用ベニバナ(Carthamus tinctorius)
- 食用ヤグルマギク(Centarurea cyanus)
- 食用コスモス(Cosmos bipinnatus)
- 食用アスター(Callistephus chinensis)はエゾギクとも呼ばれる品種
- 食用キンセンカ(Calendula officinalis)はカレンデュラとも呼ばれる品種
野菜の「レタス」「春菊」「ゴボウ」もキク科です
食べられる野草として知られるのが「タンポポ」「アザミ」「ヒナギク」
キク科のハーブ「カモミール」「マリーゴールド」の他、「ヒマワリ」「ダリア」なども食べられます
ところが同じキク科でも、ガーベラやヒャクニチソウには有害成分を含み、食用には使われません
ヒナギクとよく似たマーガレットは、葉が有毒です
防虫効果が高いタンジーは、全草に毒性があります
●様々な食用花の品種
例えば「食用サクラソウ」にはイギリス原産の品種が使われます
ところが日本の在来種であるニホンサクラソウは、猫には有毒で、食用には適しません
ユリ根の品種が「ヤマユリ(Lilium auratum)」「オニユリ、コオニユリ(Lilium lancifolium)」
特にコオニユリから育成された「白銀」という品種が商品として流通しています
とはいえユリの球根や花も、猫にとっては有毒といわれます
食用チューリップは「トリウムフ」「ピエロ」「エスキモーキス」「ハッピーイエロー」「ラブマジック」
主に球根部分を利用しますが、大量に食べることは避けるべきです
なぜなら球根や花びらに含まれるチューリピンという成分は、一定量を超えると毒性があるからです
食用ベゴニアには「ワックスベゴニア」や「チュベローサベゴニア」といった品種があります
とはいえシュウ酸を含むため、アク抜きが必要で、大量に食べないほうが安全です
【食用花と普通の花の違いまとめ】
食用花とは違い、普通の花には食べられないものが多く含まれます
そのため、お花屋さんやガーデニングコーナーに売られている花を食べることは危険です
やはり信頼できる生産者さんの作った市販の食用花を購入するほうが安心して食べられます
食用花は飾りとして使うものなので、大量に食べるものではありません
特に美味しいというほどではないこともあります
それでも、野菜にはない色合いや見た目で料理を彩ることができるという点がメリットです
エディブルフラワーを加えると、料理の楽しさが広がります。なぜなら彩りとして飾ったり、お茶にして飲んだり、色と香りを楽しめるからです。例えばサラダに花びらを加えたり、酢の物や砂糖菓子などにもできます。さらに乾燥や酢漬けなど、保存食にしておくと季節を問わず花の料理を楽しめます。
無農薬で育てれば、食べられる花は意外なほど多くあります
食べられる花をエディブルフラワーと呼び、使われるのは主に「花びら」の部分。料理の彩りとして添えたり、香りを楽しんだりします。例えば刺身のツマに使われる食用菊などです。他にも「バラ」や「スミレ」など食べられる花は意外と多くあります。
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