酸性土壌~雑草の種類を指標にして土質を診断

酸性土壌とは、ミネラル分の少ない土質のこと

日本は雨が多いためにミネラル分が流出し、酸性土壌になりがちと言われます


反対にミネラル分が多い土質が、アルカリ土壌です

ミネラルには、カルシウム、リン、カリウムなどがあります

例えば、地中海地方に多い石灰岩はカルシウムなので、アルカリ土壌です


酸性土壌に生える雑草

クローバーのグランドカバー

地中には様々な雑草の種がありますが、発芽できるのは土質にあった種だけ

そして酸性土壌を好む雑草は、土質が酸性の場所で発芽しやすいということです

そのため自然に生えてくる雑草を見れば、土質を推測できます


  • クローバー
  • カタバミ
  • ギシギシ
  • スギナ
  • ハハコグサ
  • アザミ
  • スイバ
  • イヌタデ

こういった雑草が、酸性土壌を好みます

そして、これらの生えている場所は、土が酸性ということです


【クローバー(シロツメクサ)】

シロツメクサ

草丈5~10cmの多年草

5~9月ころに丸い花が咲きます

マメ科なので地中に窒素を残し、土を肥沃にします


背が低いのでグランドカバーにも最適です

【カタバミ】

カタバミの葉

草丈10cmくらいの多年草

5~10月に黄色い花が咲きます

ハート形の三つ葉が特徴です

カタバミ科なので地中に窒素は残しません

とはいえ背が低いので、グランドカバーには使えます


【ギシギシ】

ギシギシ

タデ科の多年草で、草丈40~130cmくらい

5~8月に薄緑色の小さな花が咲きます

やや湿った土地に群生します


若い芽は食用になり、薬用にも使われます

【スギナ】

ツクシ

トクサ科の多年草で、日当たりの良い場所に生えます

ツクシの草丈は10~15cmで、スギナの草丈は10~40cm


春先に出るツクシは胞子茎です

胞子を出した後は枯れ、栄養茎のスギナが生えます

スギナの葉は乾燥させてハーブティにでき、生葉を刻んでオムレツに入れるなどして食べられる草です


【ハハコグサ】

ハハコグサ

道端や畑に生えるキク科の越年草

草丈は15~40cmくらい

4~6月に小さな黄色い花が咲きます

春の七草のひとつです

若い茎と葉を七草粥や草餅にしたり、咳止め薬として使われます

【アザミ】

アザミ

草原や乾燥地に生えるキク科の多年草

草丈は30~120cm

4~8月にピンクや紫の花が咲きます

根はヤマゴボウと呼ばれ食べられます

春先の若い芽を味噌汁の具や天ぷらなどにもできます


【スイバ】

スイバ

道端でも見かけるタデ科の多年草

草丈は60~100cmくらい

5~8月に薄紫色の小さな花が咲きます

ヨーロッパではソレルと呼ばれるハーブ

薬用にも食用にもなります

やや湿った日当たりの良い場所を好みます

【イヌタデ】

イヌタデ

道端でも見かけるタデ科の多年草

草丈は20~40cmくらい

4~11月に赤紫色の花穂をつけます

花の後には真っ赤な実になります

藍染に使われるタデとは別の種類ですが、染色に使えます


酸性土壌を好む植物

ブルーベリーの木

植物の三大栄養素が「窒素」「リン酸」「カリウム」

さらにミネラル分の「カルシウム」「マグネシウム」を加えて五大栄養素です

そのためミネラル分が少ない酸性土壌は、養分が少ない痩せ地とも言えます


とはいえミネラル分の少ない酸性土壌を好む植物もあります

例えば「ブルーベリー」「シャクナゲ」「リンドウ」「スズラン」「カラー」「ハナミズキ」「ツツジ」


そして酸性土壌を好む植物なら、こういった雑草が生えている土地でよく育ちます


例えばギシギシはジャガイモのコンパニオンプランツで、ジャガイモも酸性土壌を好みます

ジャガイモは 連作障害を起こさず ネギは リフレッシュされる

【自然栽培】ジャガイモは長ネギと交互に栽培

ジャガイモは「長ネギ」と交互に栽培するとうまく育ちます。なぜならネギが土を消毒し、連作障害や病害虫を防げるからです。ネギには病害虫を防ぐ働きもあるので、ジャガイモの生育が良くなります。


反対に、アルカリ土壌を好む植物は、石灰などを入れないと育ちません

例えば「ライラック」「ゼラニウム」「ラベンダー」「ガーベラ」「ダリア」「エンドウマメ」「ナス」


酸時計があれば土の酸性度を正確に調べられます

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土質によって変化する雑草の種類

地面のコケ

酸性土壌に足りないのは、カルシウムやカリウムなどのミネラル分

植物にとって最も大切な「窒素」は足りている場合もあります


ですが三大栄養素の窒素、リン酸、カリウムが少ない土は、植物が育ちにくい裸地です

そんな裸地に生えてくる最初の植物が「パイオニアプランツ」と呼ばれます

例えば大気中の水分光合成だけで生育できる「コケ類」などです


過酷な環境でも育ち、他の植物が生育できる土壌へと改良していく開拓者です

コケ類によって土に養分や水分が蓄えられると、丈夫な一年草が育ちます

次に多年草も生えてきて、最後に木々が育って森林へと変わります

土地や気候に適応した植物だけ生き残ったのが、安定した「極相」という状態です

ですが人が手を加えている庭や畑の場合は、極相に至ることはありません

現在では、コケしか生えてこないような裸地も、ほとんどありません

裸地になるのは、火山の噴火で溶岩が流れ出したような場合くらいです

日本は降水量が多く温暖な気候のため、雑草が生えない土地はないといっていいほど

そんな人の手が入らず、雑草が生い茂っている土地が「荒地」です

手つかずの荒地に生える草

荒野

養分の少ない荒地に生えるのは、丈夫な一年草や多年草です

  • ヒメジョオン
  • セイタカアワダチソウ
  • ヨモギ
  • ススキ
  • クズ

こういった雑草が庭にはびこっていたら、野菜や草木を育てるのは難しい土

土壌改良する必要があります

堆肥や腐葉土をすき込んで、養分を補い、保水力を高めます

けれど痩せ地でも育つ草花があります

例えば「菜の花」「コスモス」「矢車草」「スズラン」「シバザクラ」など

荒野に生える雑草にも、可愛らしい花を咲かせるものがあります

「ヨモギ」や「クズ」などは、ハーブとして活用できる草です

ですから雑草を活かして使い、土質に合った植物を植えると、手がかかりません


【ヒメジョオン】

ヒメジョオン

道端でも見かけるキク科の越年草

草丈は30~150cmくらい

種子の寿命が35年もあるそうです

北アメリカ原産で、明治時代に観賞用として導入されました

5~8月ころに白い花が咲き、綺麗な空気で育つと薄紫の花が咲くと言います


【セイタカアワダチソウ】

セイタカアワダチソウ

河原や空き地に群生するキク科の多年草

草丈100~250cm

秋から11月ころまで黄色い花が咲きます

北アメリカ原産で、切り花として導入されました

種子と地下茎の両方で増えます

【ヨモギ】

ヨモギ

日当たりの良い場所に生えるキク科の多年草

草丈は100cm前後くらい

秋の初めに白っぽい小さな花が咲きます

春に生える地表の若芽は食べられます

草餅などに入れることが多い草で、お灸の、もぐさとしても使われます

【ススキ】

ススキ

野原に生えるイネ科の多年草

草丈は100~200cm

秋の七草のひとつ

十五夜に萩とススキを飾ります

茅葺き屋根の材料です

【クズ】

クズ

日本各地に生えるマメ科つる性の多年草

8~9月に紫色の花が咲きます

根は葛粉や葛根湯の原料

秋の七草のひとつで、食用、薬用に使われます

天然繊維の原料にもなります

ほどほどの養分がある土に生える草

ツユクサ

土の中の養分が増えてくると生えてくる雑草もあります

  • ツユクサ
  • スベリヒユ
  • カラスノエンドウ
  • アオビユ
  • シロザ・アカザ
  • スズメノカタビラ
  • ノボロギク

こういった土地なら、肥料を加えなくとも多くの野菜や草花を育てられます

【ツユクサ】

ツユクサ

日本全土に生えるツユクサ科の一年草

草丈は15~50cmくらいで、茎は直立せず地面を這います

6~9月に青い花が咲きます

花は朝だけ咲いて昼にはしぼみます

花が咲いている時期は食用にも薬用にもなります

【スベリヒユ】

スベリヒユの葉

スベリヒユ科の一年草

草丈は5cmくらいで、光沢のある多肉植物

6~9月に黄色い小さな花が咲きます

赤紫色の茎が地面を這うように伸びます

寒さには弱く、気温が低いと発芽しません


【カラスノエンドウ】

カラスノエンドウ

本州から南に生えるマメ科の越年草

草丈は60~150cmくらい

3~6月に赤紫色の花が咲きます

さやが黒くなり、豆を遠くまで飛ばします

秋に発芽して春に伸びた若芽や豆は食べられます

【アオビユ/ホナガイヌビユ】

アオビユ

温かい場所に生えるヒユ科の一年草

草丈は40~90cm

7~10月に穂状の花を付けます

熱帯アメリカ原産の帰化植物

葉はジャマイカやモルディブ料理に使われる食用で、インドではハーブとしても使われます

【シロザ】

シロザ

古くから日本に生えているアカザ科の一年草

草丈は高さ100cmくらい

8~10月に緑色の穂状の花が付きます

若葉や葉の裏が白い粉に覆われ白っぽく見えます

若葉や種子は食べられます

【アカザ】

アカザ

日本各地に生えるアカザ科の一年草

草丈は150cmくらい

9~10月に薄緑色の小さな花が咲きます

直立する茎は、秋に木質化します

新芽が赤いのをアカザ、白いのをシロザと呼び、どちらも葉を食用にできます

【スズメノカタビラ】

スズメノカタビラ

湿った場所を好むイネ科の一年草または越年草

草丈は5~20cmくらい

季節を問わず小さな円錐形の花をつけます

全体的に黄緑色で柔らかい草です

地下茎はなく、数本が株立ちになります

【ノボロギク】

ノボロギク

日本各地に生えるキク科の一年草または越年草

高さ20~40cmくらい

5~8月に黄色い花が咲きます

タンポポに似たギザギザの葉

種は白い綿毛に乗って繁殖します

肥沃な土に生える草

ホトケノザの群生

土が肥沃な場所に生えてくる雑草もあります

  • オオイヌノフグリ
  • ハコベ
  • ナズナ
  • ホトケノザ
  • ヒメオドリコソウ
  • ハキダメギク

こういった雑草が生えている土地なら、養分が必要な花や野菜も、そのまま育てられます

【オオイヌノフグリ】

オオイヌノフグリ花

日本各地に生えるオオバコ科の越年草

草丈は10~20cmくらい

早春に青い花が咲きます

ヨーロッパ原産の帰化植物です

秋に発芽して冬に育ち、春の終わりには枯れて夏は種子で過ごします

【ハコベ】

ハコベ

日本各地に生えるナデシコ科の越年草

草丈は10~30cm

4~8月に白い花が咲きます

春の七草のひとつで、若い茎や葉を茹でてお浸しなどにします

花が咲いている時期の茎と葉は生薬に使われます

乾燥させて歯磨き粉にすると歯槽膿漏を予防すると言われます

【ナズナ】

ナズナ

日本各地に生えるアブラナ科の越年草

草丈は10~50cmくらい

春から夏に白い小さな花が咲きます

春の七草のひとつ

ペンペン草とも呼ばれます

【ホトケノザ】

ホトケノザ

日本各地に生えるシソ科の一年草または越年草

高さ10~30cmくらい

3月から6月に薄紫色の花が咲きます

春の七草とは別の植物

食用にはできません

【ヒメオドリコソウ

ヒメオドリコソウ

日本各地に生えるシソ科の越年草

草丈は10~30cmくらい

3月~5月に赤紫色の花が咲きます

ヨーロッパ原産の帰化植物

茎には短い毛が生えています

【ハキダメギク】

ハキダメギク

日本各地に生えるキク科の一年草

高さ15~60cmくらい

6月~11月に黄色い花が咲きます

北アメリカ原産の帰化植物

茎も葉も柔らかく、白い毛が生えています

雑草を活かす庭づくり

雑草だらけの庭

雑草を活用しながら、刈り取ったら堆肥にしていくと、次第に土は肥沃になっていきます

ですから除草剤をまいたりせず、土質に合った植物を育てていくのが自然栽培です

ただ放置するのではなく、取捨選択しながら、ゆっくり土壌改良をしていきます

自然が育てる 菜園の作り方 植物の特徴を理解して 計画的に

【自然栽培】自然農法の土作りと基本の考え方

自然農法や自然栽培は「農薬や肥料を使わない」「自然に委ねる」栽培方法です。どちらも自然の「生態系」を活かすという考え方が基本にあります。ですから「植物」と「動物」との共生関係や食物連鎖がポイントです。


【雑草の活かし方】

雑草の中には、意外と食べられるものが多くあります

カゴ編み材料にするなど、日用品を作ることもできます

庭の雑草の活かし方 土質を改良する草 暮らしに使える草

【雑草】草取りが楽しい「収穫」になる活用法

庭に生えてくる雑草の中には、捨ててしまうのが惜しいものがあります。野菜やハーブのように活用できる草があるからです。どんどん摘み取って利用すれば、草取りが楽しい収穫に変わります。


可愛らしい花が咲く草なら、そのまま活かしても良いかもしれません

可愛い雑草の花♪ その土地に適応している 手間のかからない草花

【雑草】花が美しい草は抜かずに庭に活かす

花が綺麗な雑草は庭に活かすと手間がかかりません。自然と生えてくる草なら、その場所の土質や気候に適応しているからです。

背の低い雑草なら、グランドカバーとしても活用できます

背が低い草・可愛い花が咲く草~そのまま活かせば手間いらず♪

【雑草】グランドカバーとしてそのまま活用♪

背の低い雑草は、抜かずに残すとグランドカバーとして活かせます。背が高くなる草だけ抜いていけばいいので簡単。地面を覆うように草が生えていれば、他の雑草は生えなくなっていきます。

芝刈り機で綺麗に刈り揃えると、芝生の様にも使えます


【土壌改良の方法】

肥沃な土を好む花や果樹を育てるなら「堆肥」を入れて養分を増やす必要があります

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自分で堆肥を作ることもできます

家庭で作れるコンポスト

【土作り】堆肥の作り方・材料・道具・注意点

堆肥を作る時に大事なのは、有機物を十分に「発酵」させることです。完熟していない堆肥を土に混ぜると植物の根を傷めることがあるからです。



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