囲炉裏で夏も火を焚いているのは、家を長持ちさせるためです
なぜなら日本は雨が多いため、湿気で木造家屋が傷んでしまいます
そのため夏は窓を開けはなして風を通し、火を焚いて乾燥させます
夏の室内で火を焚いたら暑いのでは?
そんな疑問が湧いてきますが、むしろ涼しく、快適になるそうです
囲炉裏で夏の木造家屋を「乾燥」させる
囲炉裏で火を焚くことで、木造家屋を乾燥させることが最も大事な点です
特に梅雨時は湿気がこもるため、木材が腐りやすく、家が傷みます
そのため囲炉裏で夏も火を焚き、窓を開け放し、風を通して湿気を逃がしています
湿度が低くなるだけでも、夏を快適に過ごせるはずです
囲炉裏には煙突がありません
そのため設けられているのが、排煙窓です
閉め切っている冬期間でも、屋根の排煙窓だけは開いています
そのため室内に湿気がこもらず、カビや結露も防げます
煙で燻されるので、カビ菌が繁殖しにくくなる効果もあります
囲炉裏で夏の「虫除け」ができる
囲炉裏で夏も火を焚くことによって、煙で虫除けできることも大きなメリットです
煙が出ているところに虫は寄ってきません
さらに天井裏にネズミなどが入り込むことも防げます
排煙窓によって煙が出ていくので、室内には煙が充満しません
薪を燃やすと煙が出ますが、炎が上がっていると煙は減ります
そして炭を使えば煙は、ほとんど出ません
そのため調理する時などは炭を使います
囲炉裏で室内に「風を起こす」
囲炉裏で火を焚いていると、熱い空気は上昇し、冷たい空気が下に降りてきます
これが「対流」です
すると上昇した熱い空気は、屋根に設けられた「排煙窓」から、煙と共に外へ出ていきます
そして夏は、涼しい風を取り込むために「低い位置にある窓」を開けます
すると室内に「風」が吹き抜け、涼しく過ごせます
囲炉裏の「灰」で殺菌
囲炉裏は灰の上で火を焚くため、灰が床に舞い散ってしまいます
とはいえ灰は強いアルカリ性なので、殺菌力があります
そのため灰が落ちた床を「雑巾」で拭くだけでカビ予防になります
瓶に灰を入れて水を加えておくだけでも、掃除用洗剤として使えます
煙でヤニがついた窓ガラスなども、綺麗に拭きとれます
さらに、囲炉裏に溜まった「灰」は様々に活用できます
例えば、土壌改良剤として、畑にまくことです
木灰にはカリウムやミネラルが含まれ、病原菌を抑える働きがあります
灰が強いアルカリ性であることを利用して、こんにゃくの凝固剤として使われることもあります
もっと囲炉裏よく知るために
囲炉裏に魅力を感じ始めたのが、夏の「虫除け」と「涼しさ」の部分
なぜなら殺虫剤やエアコンを使う生活より、自然で心地よさそうだからです
冬の温かさや火を眺める楽しさなら、薪ストーブや暖炉でも味わえます
多くの人が感じる囲炉裏の魅力とは、炉端で調理しながら食べられる点かもしれません
囲炉裏での料理といえば、鍋での煮込みや灰に刺した串での炭火焼き。けれどゴトクを置いて炒め物なども可能です。炭火だけではなく、直火も使えます。
とはいえ囲炉裏には、煙によって匂いや汚れが付くなどのデメリットもあります
洋風の暮らしのほうが合理的で快適だと思っています。けれど囲炉裏だけは生活に取り入れてみたいと思うほど夢中。理由は「経済性」「機能性」「快適性」の3点です。
囲炉裏を設置する部屋は、煙や熱を逃がす構造であることも重要です
囲炉裏そのものは簡単ですが「囲炉裏部屋」の構造のほうが肝心です。囲炉裏は室内で焚き火しているようなもの。ですから「煙」や「炎」の管理と「換気」できる構造が必要です。
囲炉裏と田舎暮しの参考書
囲炉裏について詳しく書いてあるのが『囲炉裏と薪火暮らしの本』
イラストレーターの著者が、実際に体験したことを基に描いてあります
山で暮らす豊富な知見が非常に参考になります
とても分かりやすく、詳しく、豊富なイラストで解説してある本です