囲炉裏の作り方と排煙窓や火棚を設置する方法

囲炉裏の作り方は、DIYで手作りできるほど簡単

なぜなら床板を四角く切り取って、「不燃材」で「床下収納庫」を作るだけだからです

そのため木造家屋なら、床の一部を切れば作ることができます


その前に設置しなければいけないのが「排煙窓」と「火棚」

炭による一酸化炭素中毒や、火災を防ぐうえで重要な設備です

まずは囲炉裏を設置する場所を決め、灰を準備しておきます


囲炉裏を設置する場所

囲炉裏のある部屋

囲炉裏を設置する部屋は、使用目的によって決めると便利です


例えば台所から近いと、料理の食材や調理道具を楽に運べます

家庭菜園への出入り口の近くなら、すぐに野菜を収穫してくることができます

あるいは寒い玄関の土間に囲炉裏を設置する場合もあります


とはいえ囲炉裏は床下に作るので「床下の構造」によって位置や形が制限されます


まず床板を取り除いてみると、基礎の部分に根太が縦横に置かれているはずです

大引きと呼ばれる太い柱は、家全体を支えている部分なので取り除けません

その上の細い根太の一部を切って、囲炉裏を作ります


そして真上に排煙できる位置で、切り取る根太の部分を決めます


囲炉裏に入れる灰の準備

焚き火の後の白い木灰

灰の量は、囲炉裏の縁から「10cm」くらい下まで

囲炉裏の大きさにもよりますが、大量の「灰」が必要なことは確かです

かといって囲炉裏ができてから、室内で大量の薪を燃やすのは非常に危険


そのため薪ストーブや屋外の焚き火で、あらかじめ灰を集めておくと、すぐに使えます

囲炉裏の底に、砂や小石を厚めに敷くことで、入れる灰の量を減らすことも可能です


囲炉裏の排煙窓の作り方

夏の囲炉裏部屋

煙を出すために必要な設備は「囲炉裏の真上」に設置する必要があります

なぜなら風のない室内では、煙は真っ直ぐ上に昇っていくからです

例えば「吹き抜け天井」や「天井板に開けた穴」などです


囲炉裏のある古民家では、最初から屋根に「煙窓」が設置されています

囲炉裏部屋の煙窓

吹き抜け天井へと昇った煙が、ここから外へ出ていきます

そして煙窓は「東西」方向に「2か所」を開けることで煙が出やすくなります

【屋根裏の壁に設置する窓】

屋根工事をすると大掛かりで費用もかかります

そのため屋根裏の「壁」に換気窓を開けるほうが施工は簡単です

その場合も、煙窓と同じように、東西方向に2か所の窓を開けると風が通ります


木造家屋なら、壁の一部を切って窓を取り付けることが可能です

煙を出すための窓なので、小さくて構いません


虫や野生動物が入り込まないよう、丈夫な金網を取り付けます

開け閉めするわけではないので、枠にクギを打って固定しておきます

さらに雨が吹き込まないよう、ひさしを付けておく必要もあります


【天井板に設ける煙窓】

吹き抜け天井ではない場合は、天井板に穴を開ける必要があります

煙を天井裏へ誘導するため、囲炉裏の真上に設けます


天井板を外してみて、細い根太の部分を切ります

大きすぎると寒いし、小さすぎても煙が出ていきません

開口部の大きさは50~60cmほど


開口部に合わせて天井板を切って貼りなおします


二階建ての場合なら、部屋の一部に煙突状の囲いを設ける必要もあります

そうしなければ二階に煙が充満して、使えなくなってしまいます


【囲炉裏部屋の換気窓】

効率よく空気を循環させるために開けるのが、室内の低い場所に設ける喚起窓です

古民家では床の部分に細い窓が設けられています

これによって喚起をするとともに、室内のゴミを外へ掃き出すこともできます


囲炉裏部屋の窓を開けるのは、主に夏です

なぜなら囲炉裏部屋では、夏でも火を絶やさず、空気を入れて風を通すからです

【古民家】 囲炉裏では 夏も火を絶やさない 理由とは?

囲炉裏で夏も火を絶やさないのには理由がある

囲炉裏では夏も火を絶やさず焚いているといいます。夏の室内で火を焚いたら、暑いのでは?そんな疑問が湧いてきますが、むしろ涼しく過ごせるそうです。それは「湿気が取り除かれ」「風が通り抜ける」から。

そのため掃き出し窓を開け放つと、室内の湿気も取り除かれ、涼しく過ごせます



囲炉裏の火棚の作り方

囲炉裏部屋の天井

囲炉裏を作る前に設置しておきたいのが、真上に付ける「火棚」です

火の粉が天井裏に飛ぶのを防ぐものなので、燃えにくい厚い板が使われます


格子状に組んだものでも、一枚板でも構いません

竹を組んで作ることもできます

一枚板のほうが熱を逃がさず部屋が温まりますが、格子状のほうが煙が上りやすくなります

囲炉裏と火棚


4隅にチェーンや麻縄などを取り付け、天井や梁から吊り下げればOK

火や熱が当たる部分なので、プラスチックのロープなどは使えません


この火棚に「自在鉤」を付け、鍋やヤカンを吊るす場合は、強度がないと落ちてしまいます

天井板に穴を開けた場合なら、角材などを渡しておけば自在鉤を吊るすことができます

その場合も、重みに耐えられるよう、天井板を補強しておくと安心です


囲炉裏の自在鉤の作り方

囲炉裏の自在鉤と鍋

自在鉤を自作することも可能です

丈夫な「麻縄」の先端に「木の枝」の二股部分を取り付けるだけでも代用できます

とはいえ火に当たる部分ですし、重たい鍋を掛けるには、素材や強度には注意が必要です


一般的な自在鉤は、太い筒の中に棒を通し、その先端に引っ掛けカギが付いています

斜めに渡した棒で、高さを調節します

ちょうどいい高さで斜め棒を止めると、そこで固定できる仕組みです


骨董店や古道具店などでも見つかるかもしれませんが高価

古いものだと傷んでいて修繕が必要な場合もあります

通販で新品も見つけられます

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火棚と自在鉤まで設置できたら、水の入ったヤカンなど下げてみて、強度を確認しておくと安全です


囲炉裏の作り方

高さのある囲炉裏

囲炉裏は非常にシンプルなので、その作り方は難しくありません

  1. 設置場所の「床板」を切り取る
  2. 石やレンガで囲った「基礎」を作る
  3. 角材などで囲炉裏の「縁」を作る

基礎と縁が出来上がって灰を入れれば使えるようになります

囲炉裏に必要な材料は、大きく3つあります

  • 灰を入れる部分の「燃えない」材料
  • 室内に灰がこぼれないための「炉縁」の材料
  • 囲炉裏に入れる「灰」

囲炉裏を設置する部分の床を切り取る前に用意しておくとスムーズです


【囲炉裏を設置する床の準備】

床板を外してみると、地面の上にコンクリートの基礎があるはずです

そしてコンクリート基礎の上に太い柱が立てられ、家全体を支えています

この太い柱を動かすと家が傾いてしまうので取り外すわけにはいきません

囲炉裏を設置できるのは「基礎に立てられている柱と柱の間」です

コンクリートの基礎部分には、90cm間隔くらいで太い柱が立てられています

その太い柱の上に渡してある細い板を切り取って、囲炉裏にします

ですから囲炉裏の大きさは、90×90cmまたは90×180cmくらいになります


【床下部分の作り方】

床に穴を開けたら、次は床下部分を不燃材で囲います

燃えない材料であれば何でも使えます

  • 耐火レンガ
  • コンクリートブロック
  • 金属板

これらの材料で床下の地面から床までを囲い、「粘土」や「セメント」で固めます


簡単なのは「コンクリートブロック」や「レンガ」を積んで作る基礎です

それらを地面に並べて積み上げ「モルタル」や「コンクリート」で固めます

昔ながらの囲炉裏に使われているのが「石」と「粘土」です

石垣を作る要領で「石」を積み上げ、隙間に粘土を押し付けるように入れ、乾かして固めます

最後に、炉縁の木材を保護するため、内側全体に「粘土」を塗って仕上げます

粘度は「土壁用」や「陶芸用」のものが使えます

あるいは地面の土に水を加えて練り、小さく切った枯草などを混ぜて作ることもできます


【炉縁の作り方】

囲炉裏の床下部分ができたら、床面の周囲に「炉縁」を取り付けます

金属や石だと熱くなってしまうので、熱を伝えにくい木材が適しています


炉縁の高さは10cmくらいあれば良いので、角材を四角く組むだけでも作れます

熱で木材が伸縮するため、角の部分は「ほぞ」を作って組み、ゆとりをもたせると歪みません

角材の上に板を取り付けてテーブル代わりに使うのも便利です


あるいは細長いテーブルを、使う時だけ置くこともできます

囲炉裏端のテーブル


囲炉裏の作り方が分かる参考書

囲炉裏のある家に住んでみたいと思うようになったのは1冊の本がきっかけです

イラストレーターの大内正伸さんの『囲炉裏と薪火暮らしの本』

実際に囲炉裏を自作し、生活で使っている体験がもとになっています

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囲炉裏の作り方もイラストで詳しく解説されているので、私でも作れそうだと思いました

山で暮らし、林業に携わった経験による知見も豊富です

安易な懐古趣味とは違った、生活に根付いた囲炉裏の使い方が紹介されています

地域の資源を無駄なく使う、生活環境を清潔にする、といった考え方にも共感します

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さらに煙で虫除けになり、家を乾燥させるというメリットもあります

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囲炉裏で夏も火を絶やさないのには理由がある

夏の室内で火を焚いても暑くないのでしょうか? そんな疑問が湧いてきますが、むしろ涼しく過ごせるそうです。それは「湿気が取り除かれ」「風が通り抜ける」から。

とはいえ室内が汚れるなどのデメリットもあります

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囲炉裏の良さとは?メリット・デメリットまとめ

暮らしは洋風のほうが合理的で快適だと思っています。けれど囲炉裏だけは生活に取り入れてみたいと思うほど夢中。理由は「経済性」「機能性」「快適性」の3点です。

私は、煙で虫除けでき、室内の湿気を取り除ける、という部分で囲炉裏に魅力を感じています

さらには、アメリカのように室内でも靴を履いた生活をしたいと思っています

ですから囲炉裏も、椅子で使えるよう、炉縁を高くしたら良いのではと考えています


囲炉裏テーブルなら置くだけなので、作り方も設置も簡単です

とはいえ床暖房効果を考えると、やはり床下に設置したほうが良いように感じます


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