囲炉裏の作り方は、DIYで手作りできるほど簡単
なぜなら「床下収納庫」を「不燃材」で作るようなものだからです
そのため木造家屋なら、床板を四角く切り取れば、作ることができます
ただし、囲炉裏は室内での「焚火」なので、煙や火の粉への対策が必要です
例えば天井には「火棚」を下げ、屋根には「排煙窓」を開けてあります
囲炉裏の作り方
囲炉裏は非常にシンプルな構造なので、作り方は難しくありません
床下に穴を開け、耐火性のある素材で覆い、中に灰を入れたものです
既存の家に囲炉裏を作る場合は、床板をはがし、基礎部分に作れます
- 床板を外して根太を切る
- 地面から床まで不燃材を積む
- 床上に炉縁を付ける
あとは灰を入れるだけです
床板を切り取る前に、必要な材料を用意しておくと、スムーズに作業できます
【囲炉裏の材料】
囲炉裏に必要な材料は、大きく3つあります
- 灰を入れる部分の「燃えない」材料
- 室内に灰がこぼれないための「炉縁」の材料
- 囲炉裏に入れる「灰」
基礎部分に使う不燃材には「石」「耐火レンガ」「コンクリートブロック」などが使えます
囲炉裏を囲う炉縁には、熱が伝わりにくい「木材」が最適です
大量に必要な灰も、あらかじめ用意しておきます
【床板を外して根太を切る】
囲炉裏を設置する部屋は、使用目的によって決めると便利です
例えば台所から近いと、料理の食材や調理道具を楽に運べます
家庭菜園への出入り口の近くなら、すぐに野菜を収穫してくることができます
あるいは寒い玄関の土間に囲炉裏を設置する場合もあります
とはいえ囲炉裏は床下に作るので「床下の構造」によって位置や形が制限されます
そして真上に排煙できる位置で、切り取る根太の部分を決めます
床板を外すと、地面の上にコンクリートの基礎があるはずです
基礎の上には柱があり、柱の上には細い板を組んだ「根太」があります
まずは基礎の「柱と柱の間」で根太を切断し、囲炉裏の大きさを決めます
基礎の柱は90cmくらいの間隔なので、囲炉裏の大きさは90×90cmまたは90×180cmくらいです
【地面から床まで不燃材を積む】
まず床下の地面から床までの高さに、不燃材を積み上げて「箱」を作ります
地面から床までは高さがあるので、地面に「赤土」や「砂」を敷いて底上げします
その上に石やレンガを並べ、セメントやモルタルで固めながら積み上げます
昔ながらの囲炉裏に使われているのが「石」と「粘土」です
石垣を作る要領で石を積み上げ、隙間に粘土を押し付けるように入れ、乾かして固めます
粘土は、赤土に水を加え、土壁に使う「ワラ」や「スサ」を混ぜて練ると作れます
あるいは地面の土に水を加えて練り、小さく切った枯草などを混ぜてもOKです
土壁や陶芸用の粘土を使うこともできます
【床上に炉縁を付ける】
囲炉裏の床下部分ができたら、床面に「炉縁」を取り付けて囲います
炉縁は、高さ3~4cmの石や板で囲い、灰が室内に入り込まないようにするためのものです
木材は熱で反りやすいので、十分に乾燥した板を使います
太さ10cmくらいの角材を四角く組むだけでも作れます
熱で木材が伸縮するため、角の部分は「ほぞ」を作って組み、ゆとりをもたせると歪みません
あるいはビスなどの金具で固定してもOKです
炉縁の木材を保護するため、内側全体に「粘土」を塗って仕上げます
枠の広さは6~15cmくらい
暖房が目的なら枠の幅を狭くしたほうが温かいですが、幅を広くするとテーブル代わりになります
例えば角材の上に板を取り付けると、テーブル代わりに使えて便利です
あるいは細長いテーブルを作っておき、使う時だけ置くこともできます
囲炉裏部屋の排煙設備の作り方
煙を出すために必要な排煙口は「囲炉裏の真上」に設置する必要があります
なぜなら風のない室内では、煙は真っ直ぐ上に昇っていくからです
例えば「吹き抜け天井」や「天井板に開けた穴」などです
囲炉裏のある古民家では、最初から屋根に「煙窓」が設置されています
吹き抜け天井へと昇った煙が、ここから外へ出ていきます
そして煙窓は「東西」方向に「2か所」を開けることで煙が出やすくなります
【屋根裏の壁に設置する窓】
屋根工事をすると大掛かりで費用もかかります
そのため屋根裏の「壁」に換気窓を開けるほうが施工は簡単です
その場合も、煙窓と同じように、東西方向に2か所の窓を開けると風が通ります
木造家屋なら、壁の一部を切って窓を取り付けることが可能です
煙を出すための窓なので、小さくて構いません
虫や野生動物が入り込まないよう、丈夫な金網を取り付けます
開け閉めするわけではないので、枠にクギを打って固定しておきます
さらに雨が吹き込まないよう、ひさしを付けておく必要もあります
【天井板に設ける煙窓】
吹き抜け天井ではない場合は、天井板に穴を開ける必要があります
煙を天井裏へ誘導するため、囲炉裏の真上に設けます
天井板を外してみて、細い根太の部分を切ります
大きすぎると寒いし、小さすぎても煙が出ていきません
開口部の大きさは50~60cmほど
開口部に合わせて天井板を切って貼りなおします
二階建ての場合なら、部屋の一部に煙突状の囲いを設ける必要もあります
そうしなければ二階に煙が充満して、使えなくなってしまいます
【囲炉裏部屋の換気窓】
効率よく空気を循環させるために開けるのが、室内の低い場所に設ける喚起窓です
古民家では床の部分に細い窓が設けられています
これによって喚起をするとともに、室内のゴミを外へ掃き出すこともできます
囲炉裏部屋の窓を開けるのは、主に夏です
なぜなら囲炉裏部屋では、夏でも火を絶やさず、空気を入れて風を通すからです
囲炉裏では夏も火を絶やさず焚いているといいます。夏の室内で火を焚いたら、暑いのでは?そんな疑問が湧いてきますが、むしろ涼しく過ごせるそうです。それは「湿気が取り除かれ」「風が通り抜ける」から。
そのため掃き出し窓を開け放つと、室内の湿気も取り除かれ、涼しく過ごせます
囲炉裏部屋の火棚の作り方
囲炉裏を作ったら、真上に「火棚」を吊り下げます
火棚は、火の粉が天井裏に飛ぶのを防ぐものです
そのため燃えにくい、厚い板が適しています
板や竹を格子状に組んだり、一枚板でも構いません
火や熱が当たる部分なので、プラスチックのロープなどは使えません
一枚板のほうが熱を逃がさず部屋が温まりますが、格子状のほうが煙が上りやすくなります
4隅に金属の鎖や麻縄などを付け、天井や梁から吊り下げるだけです
この火棚に「自在鉤」を下げて鍋やヤカンを吊るします
そのため強度がないと落ちてしまいます
天井板に穴を開けた場合なら、角材などを渡しておけば自在鉤を吊るすことができます
その場合も、重みに耐えられるよう、天井板を補強しておくと安心です
囲炉裏の自在鉤の作り方
自在鉤を自作することも可能です
丈夫な「麻縄」の先端に「木の枝」の二股部分を取り付けるだけでも代用できます
とはいえ火に当たる部分ですし、重たい鍋を掛けるには、素材や強度には注意が必要です
一般的な自在鉤は、太い筒の中に棒を通し、その先端に引っ掛けカギが付いています
斜めに渡した棒で、高さを調節します
ちょうどいい高さで斜め棒を止めると、そこで固定できる仕組みです
骨董店や古道具店などでも見つかるかもしれませんが高価
古いものだと傷んでいて修繕が必要な場合もあります
通販で新品も見つけられます
火棚と自在鉤まで設置できたら、水の入ったヤカンなど下げてみて、強度を確認しておくと安全です
囲炉裏に入れる灰の準備
粘土が乾いて、しっかり穴が固まったら「灰」を入れます
中に入れる灰は、薪ストーブから出た灰などが使えます
大量に必要なので、屋外の焚火で集めておくと便利です
集めた灰は、ザルでふるって、ゴミや大きな塊を取り除いておきます
囲炉裏の底に、砂や小石を厚めに敷くことで、入れる灰の量を減らすことも可能です
囲炉裏に入れる灰の量は、枠より10~15cmくらい低い位置までです
そして中心部ほど低くなるようにします
灰が湿っていると煙が出ます
そのため囲炉裏では、夏でも燃やし続けて火を絶やしません
夏の室内で火を焚いても暑くないのでしょうか? そんな疑問が湧いてきますが、むしろ涼しく過ごせるそうです。それは「湿気が取り除かれ」「風が通り抜ける」から。
煙によって虫除けする効果もあります
囲炉裏は効率的な暖房であると同時に、楽しい調理器具
とはいえ灰や煙で室内が汚れる、などのデメリットもあります
>囲炉裏の良さとは?メリット・デメリットまとめ
暮らしは洋風のほうが合理的で快適だと思っています。けれど囲炉裏だけは生活に取り入れてみたいと思うほど夢中。理由は「経済性」「機能性」「快適性」の3点です。
囲炉裏の作り方が分かる参考書
囲炉裏のある家に住んでみたいと思うようになったのは1冊の本がきっかけです
イラストレーターの大内正伸さんの『囲炉裏と薪火暮らしの本』
実際に囲炉裏を自作し、生活で使っている体験がもとになっています
囲炉裏の作り方もイラストで詳しく解説されているので、私でも作れそうだと思いました
山で暮らし、林業に携わった経験による知見も豊富です
安易な懐古趣味とは違った、生活に根付いた囲炉裏の使い方が紹介されています
地域の資源を無駄なく使う、生活環境を清潔にする、といった考え方にも共感します
独自の煙突を付けた「囲炉裏暖炉」も開発されています