植物油の作り方は、材料によって2パターンに分かれます
まず材料が果肉なら、つぶしてから濾す方法
そして種子が材料の場合は、硬い「核」に圧力をかけて絞り出します
例えば、オリーブやアボカドは果肉に、なたねやゴマは種子に油を含んでいます
植物油の作り方~果肉を使う場合
植物油の作り方が比較的楽なのは、柔らかい果実を使う場合です
例えば果肉から作る植物油の代表が「オリーブ油」「パーム油」「アボカド油」
柔らかい果実は潰すだけで油が出てくるので、濾せば油が採れます
まず種を取り除いた果肉に水を加えてミキサーにかけます
次にザルなどで果肉を濾して取り除き、さらにペーパーフィルターで濾します
すると油が水面に浮いてくるので、それをすくい取ればOK
【オリーブ油】
油を取り出すには、完全に熟して赤紫色になった実を使います
1㎏の果実から採れるオリーブオイルの量は、50~100mlほどです
- オリーブの実を洗い、水気を切っておく
- 二重に重ねたフリーザーバックに実を入れて口をふさぎ、もみつぶす
- じょうごに油をしみこませたキッチンペーパーを敷き、コップなどの上に置く
- 潰した実を入れてオイルが滴り落ちてくるのを待つ
油が全て滴り落ちてくるまでには1~2日ほどかかりますが、純粋なオイルが採れます
濾過する時に、オリーブ油に浸したキッチンペーパーを敷くと油だけ滴り落ちます
最後の方は油に果汁が混じってしまうので、水を加えて油を浮かせると、すくい取れます
【アボカド】
アボカドを使った植物油の作り方も、オリーブ油と同様です
やはり完熟して柔らかくなった実を使用します
【ココナツ】
ココナツなら、実に水を加えてミキサーにかけ、ザルで濾してから布で絞ります
これがココナツミルクで、冷やすと油が上に浮いて取り出すことができます
- カカオ豆 → カカオバター
- パーム核(アブラヤシ)→ パーム核油
- ココヤシ → やし油
これらは種の外側にある硬い核の部分に油分が多く含まれています
パーム油の原料はアブラヤシの実で、ココヤシの実「ココナツ」とは別品種です
植物油の作り方~種を使う場合
様々な種子から油を採ることがことができます
- 大豆 → 大豆油
- 米 → こめ油
- とうもろこし → とうもろこし油
- 紅花 → サフラワー油
- ひまわり → ひまわり油
- ゴマ → ゴマ油
- 落花生 → 落花生油
- 綿 → 綿実油
- 葡萄 → ぶどう油
- えごま → えごま油
【なたね油】
菜種、ゴマ、エゴマの種を使う場合は、炒ってから砕き、水を加えて加熱します
水を加えて加熱することで、種の中のタンパク質が固まって油が出てきやすくなるからです
さらに熱を加えると、種の中の酵素が働かなくなり、酸化しにくくなります
ただし温度が高すぎると酸化が進みます
そのため温度設定ができるホットプレートを使い、120℃で5分ほど煎ると失敗しません
- 菜種(100g)を5分間ほど煎る
- 少し冷ましてから1/3くらいずつ3秒ずつ10回くらいミルで細かくする
- 砕いた菜種の10%くらいの水を加えて混ぜる
- 電子レンジの強で1分ほど加熱する
- 絞り器に入れて圧力をかけ、油を搾り出す
ヒマワリの種を使った植物油の作り方も同様です
ただし外側の殻を割って、中身だけ取り出してから煎る必要があります
【ツバキ油】
椿の種は硬い殻に覆われているので、それを取り除く必要があります
水を加えたり、加熱する必要はありません
- プライヤーなどで硬い殻を割り、殻を取り除く
- 中身を細かく砕き、5分間ほど煎る
- 数回ミルにかけて細かくする
- 絞り器に入れて圧力をかけ、油を搾り出す
プライヤーは針金を曲げたりする時に使う道具です
種を挟んで硬い殻を割ることができます
【種から植物油を作る道具】
植物油の作り方が難しいのは、ゴマなど種を使う場合
なぜなら硬い種子を潰すために、強い圧力をかける必要があるからです
その場合は、家庭用のオイルプレス機があると楽に搾れます
まず本体をテーブルなどに固定します
次にオイルランプで7分ほど加熱
そして上から種子を入れて、ハンドルを回すと油が搾れます
電動式のオイルプレスなら、自動的に加熱するので簡単です
あるいは搾油器を自作することも可能です
筒状の容器の底に網を張って穴を開け、材料を入れて落し蓋の上から圧力をかけて絞り出します
ちょうどコーヒープレスのようなイメージ
クランプのようなもので圧力をかけると、油が搾り出されます
昔のオイルプレスが、こんな形です
コーヒープレスほどの大きさだと、ほんの少ししか油は採れないはずですが
植物油の作り方~自家製オイルの保存法
油は酸化しやすいので、絞ったらガラスの容器に入れて密閉し、冷暗所で保管します
保存瓶は、透明の物よりも、濃い緑色のもののほうが光を通さず酸化を防ぎます
とはいえ1カ月ほどで油は酸化してしまうので、早めに使い切ることが大事です
搾油器についた油も、きれいに拭き取っておかないと酸化して悪臭が出ます
お湯に浸けて絞った布巾を使うと、油分が拭き取りやすくなります
植物油の作り方~油かすの処理に注意!
たくさんの絞りかすが酸化すると自然発火することがあることには注意が必要です
搾りかすと同量の土を混ぜておけば堆肥にでき、発火する危険もなくなります
とはいえ油かすをそのまま土に混ぜると、ガスなど発生して植物に悪影響が出ます
そのため土に混ぜて完全に分解した「堆肥」にしてから使うことが大事です
まず庭土に浅く穴を掘り、油かすを入れた上に落ち葉や枯草を入れて埋めておきます
すると3~6カ月ほどで分解され、発酵して堆肥になります
コンポスターに入れると匂いが出るので、土に埋めた方が良いようです
植物油の作り方からの応用
あらゆる種子から植物油が採れます
例えば、クルミ、どんぐり、落花生などのナッツ類
庭で育てた果樹の実や種から、植物油を採取してみるのも面白い試みです
【植物油が採れる果樹の栽培】
庭でオリーブやアボカドを育てたら、自家製オイルが作れます
オリーブは1本では受粉しないので、違った品種2本以上を植える必要があります
温暖な気候を好むので、年間の平均気温15~22℃くらい必要です
そのため苗の植え付けは、温かくなった3~5月ころが適しています
ジメジメした環境を嫌うので、風通しの良い場所、水はけの良い土に植えます
苗を植えてから実がなるまでに3年以上はかかります
5~6月に白い花が咲き、9月ころに実が生り始めます
そしてオイルが取れるほど実が熟すのは11~12月になってからです
庭で育てたアボカドがたくさん収穫できたら、油を搾ってみてはいかがでしょうか
アボカドは本来とても大きくなる果樹。葉が大きく根が浅いため、剪定で小さくしたり、茂りすぎないように管理します。実が付き始めたら「摘果」して数を減らし、養分を集中させるのも大切です。
【植物オイルのキャンドル作り】
ソイキャンドルは、大豆から採れた油「ソイワックス」を使ったキャンドルです
和蝋燭に使われるのが「ハゼの実」です
アメリカでは「ベイベリー」という木の実から作ったキャンドルも市販されています
キャンドル作りのワックスは、石油由来のパラフィンだけではありません。植物由来のワックスからもキャンドルが作れます。
植物油は固まりにくいので、容器に入れたキャンドル向きです
耐熱性のあるガラスや、空き缶などに燈心を入れてオイルを注ぎます
キャンドル原料のワックスには「石油」「動物性油」「植物性油」と数種類あります。石油から作られるワックスが最も安価で、取り扱いも簡単です。動物性油を使ったワックスが「蜜蝋」。植物油を使ったワックスが「ソイワックス」。
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