ビオトープ(Biotope)とは小さな生態系のことで、ドイツで生まれた概念。
語源はギリシャ語の「命(bio)」と「場所(topos)」です。
2語を組み合わせた言葉で「生態系の最小単位を表す空間」を表します。
睡蓮とメダカで作る小さなビオトープはインテリアにもピッタリです。
睡蓮を栽培する方法

葉が浮いて水面に広がる睡蓮はメダカの隠れ場所になります。
メダカがボウフラなど食べて蚊の発生を防ぐこともメリットです。
睡蓮の苗が出回るのは5月ころから。
先に睡蓮を植え付けし、土が落ち着いてからメダカを入れます。
睡蓮を鉢植えで育てる場合、定期的に「植え替え」をしないと花付きが悪くなってきます。
そのため小さな鉢ごと水に沈めておくと、植え替えする時に取り出しやすくて便利です。
苗が入っている鉢ごと大きな睡蓮鉢などに入れ、静かに水を注ぎます。
【睡蓮を育てる鉢】
専用の睡蓮鉢が市販されていますが、水を入れられる容器なら何でも使えます。
ガラスの器に色付きのガラス玉など入れると綺麗です。
金魚などを飼育する水槽、大きめの花瓶、発泡スチロールの箱、ガラスや陶器の食器なども使えます。

小型の睡蓮なら「直径20~30cm」くらいの容器でも栽培が可能です。
ただし鉢が大きいほど花付きは良くなります。
【睡蓮を育てる土】
睡蓮や蓮など水生植物を育てる際は「粘土質の土」に植えます。
水田や沼から採った土が「荒木田土」です。
メダカを入れる場合は肥料などを加えません。
【睡蓮の植え付け】
睡蓮や蓮の苗は園芸店や通販で購入できますが、出回る時期は限られています。
- 睡蓮の苗は「5月」ころから
- ハスの苗は「3月」ころから
土の量の目安は、植える容器の2/3くらい。
大きい方の容器に1/3くらいの高さまで土を入れ、ポット苗を鉢ごと置きます。
隙間に土を埋めてから、水位が10cm以上になるよう水を静かに注ぎます。
日本で育てるなら寒さに強い温帯スイレンが向いています。
土で埋める代わりにビー玉や石を敷き詰めても綺麗です。
【睡蓮鉢の置き場所】
睡蓮は「日当たりの良い場所」を好みます。
鉢植えなら置き場所を変えられますが、水を入れると重くなります。
ですからキャスター付きの台に乗せておくと移動が楽です。
【睡蓮の植え替え】
植え替えは花が咲き終わった秋に行います。
水の中から鉢ごと取り出してスイレンを土から出し、枯れた葉や茎を切り落とします。
根も整理してから新しい土に植え付けます。
整理した根は株分けして増やすことができます。
睡蓮鉢でメダカを飼育する方法

メダカには熱帯魚のような暖房設備や海水は必要なく、真水で飼育できます。
水道水を使う場合は、汲んでから半日くらい置いて塩素分を飛ばす必要があります。
雨水を溜めておいて使っても構いません。
メダカの排せつ物は睡蓮の肥料になります。
藻などを食べるエビや巻貝なども一緒に入れておくと水が濁りません。
【メダカの飼育容器に敷く砂】
容器の底に、熱帯魚やメダカ用の砂(ソイル)やビー玉、小石などを敷きます。
肥料が含まれた園芸用土はメダカに良くありません。
【メダカの飼育容器に入れる水草】
根が付いた水草は、水を入れる前に植えておきます。
ポットから出して、長すぎる根をハサミで切ってから土に埋めて固定します。

ウィローモスは流木や石に糸で縛り付けておくと根づいて、表面を覆うように成長します。
光が弱い環境でもよく育つので、水底に使える水草です。
マツモや金魚藻は水中に浮かべておくだけなので管理も簡単です。
成長が早く、環境がよいと、どんどん増えていきます。
【メダカを飼育容器に入れる】
静かに水を注ぎ、土が沈んで濁りがなくなったらメダカを入れます。
直径20~30cmの器なら、メダカは4~5匹くらい。
たくさん入れすぎると酸素や栄養が足りなくなってしまいます。
メダカはビニール袋ごと1時間くらい水に浮かべておき、水の温度に慣れさせます。
メダカが水温に慣れて落ち着いたら、袋の口をそっと開けて移動させます。
【メダカのエサ】
メダカは水中の「藻」や「バクテリア」を食べているので、エサは不要です。
肉食なので蚊の幼虫ボウフラなども食べますし、産んだ卵や稚魚を食べることもあります。
【飼育容器の水換え】
うっすら緑色になった水はメダカにとって良い環境です。
ですが緑色が濃くなり、水が濁ってきたら、コケなどを取り除いて水を交換します。
一度に全ての水を変える必要はありません。
コップ1杯くらい汲みだして、きれいな水を注ぎ足すほうがメダカへの影響も少なくできます。
水の濁り防止

水の濁りを防いでくれるのが、水中のプランクトンやコケ類を食べる水生動物です。
メダカと一緒に育てられるのは「ドジョウ」「巻貝」「エビ」など。
肉食のカニ類やナマズを入れるとメダカが食べられてしまいます。
●エビ
ミナミヌマエビは2cmくらいの小さなエビです。
オスとメスを入れておくと水槽の中で繁殖もします。
ヤマトヌマエビは4cmくらいのエビ。
体が大きいので、大きめの水槽向きです。
コケもよく食べて掃除してくれます。
水槽の中で繁殖はしません。
●巻貝
「タニシ」や「イシマキガイ」など小さな巻貝もコケや藻、腐敗物やメダカの残餌も食べてくれます。
小さな「姫タニシ」なら狭い水槽にもピッタリ。
タニシが数匹いると増えることがありますが、ヒメタニシなら極端に増えすぎることがありません。
●ドジョウ
ドジョウは大きくなっても10cmくらい。
水底の土を口に入れて中のバクテリアなどを食べ、メダカが食べ残した餌なども食べてくれます。
ドジョウは水底の土にもぐる習性があるので、大きな鉢や水槽に適しています。
底に厚めの砂を敷いておきます。
「シマドジョウ」は白と黒の縞模様が綺麗なドジョウです。

「ホトケドジョウ」は6cmくらいの小さなドジョウ。
ずんぐりした体で水中を活発に泳ぎます。
蓮の育て方

蓮も睡蓮と似た水生植物なので同様の育て方ができます。
違いは、睡蓮が水に浮かぶのに対して、蓮は水の上に伸びる点です。
そのため蓮はメダカなどの飼育には向いていません。
葉が大きく伸びるため水面が日陰になり、メダカの隠れ場所にもならないからです。
蓮を育てるポイントは「器」「日当たり」「養分」の3点です。
蓮は根が大きくなるため、深く大きな鉢に植える必要があります。
水上に茎が伸び、葉が大きいので「口の広い容器」が適しています。
大型の蓮を栽培するなら「直径30~40cm」以上の容器が必要です。
土の部分だけでも15~20cmの深さが必要で、「丸い形の容器」にすると根の成長が妨げられません。
ハスの花を咲かせるには朝から夕方まで日が当たる場所が理想的です。
十分に日光が当たらないと蓮は咲きません。
大きな鉢が必要なので、最初から日当たり良い場所に置きます。
土質は「粘土質」であることに加えて「養分」も必要です。
荒木田土8:腐葉土2を混ぜた土に肥料も加えます。
直径50cmの容器に対して「油粕」10粒くらいが目安です。

メダカは丈夫ですが、病気にかからないよう予防することが大切です。体が小さいため、なかなか病気を発見できません。目で見て分かるほど症状が現れた時には手遅れです。メダカは肉食なので、水槽に入れすぎると共食いすることがあります。寿命が1年くらいなので、産卵させないと居なくなってしまいます。
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