自家採種とは、育った植物から種を採っておくことです。
育った場所の気候や土質に適応しているため丈夫に育ちます。
野菜は若い葉や実を収穫したものですが、育て続けると花が咲いて種が採れます。
近くに別の品種を育てていると交雑してしまうことがあることには注意が必要です。
多くの場合、自然に交配した種は、親品種より品質が劣ります。
野菜の種を採る方法
親と同じ種が実りやすいのは、トマト、ピーマン、ナスなど自家受粉する野菜です。
エンドウ豆やインゲン豆なども簡単に種の保存ができます。
さやを蔓につけたまま乾燥させ、殻をむくだけです。
【種取りに適した株】
種を採る際には、健康な株を選ぶことが大事です。
- 病気にならなかった株
- 暑さ寒さに強かった株
- 収量が多かった株
- 形や味が良い株
最初の3~4年は、上位3株くらいを選んで種を採っておきます。
3年以上育てていくと、同じ形や質の「固定種」に変わってきます。
【トマトの種取り】
枝に実を付けたまま完熟させ、果実をつぶして種を取り出します。
取り出した種は1~2日ほど水に浸しておき、浮いてきた種は捨てます。
底に沈んだ種をザルなどで濾し、紙の上に広げて乾かします。
【ピーマン類の種取り】
種取り用の花は多めに、太い枝1本につき「2~4輪」くらい残しておきます。
種が充実していなかったり、果実に入っていないこともあるからです。
太い枝に付いた花を選ぶのがコツです。
トウガラシの種には辛み成分があるので「手袋」をして作業します。
【根菜の種取り】
根菜類の場合、最初は「10本以上」を植えておきます。
そして掘り返して形の良いものを選んで植え直しをします。
良質なものだけ小さい順に並べてみて、真ん中あたりの10本を選びます。
植え直す時には、葉を付けたまま、斜めにして土に埋めておきます。
秋に植え直しをして冬越しさせると、翌春に花が咲きます。
咲き始めの2本は、トウ立ちしやすいため抜き取ります。
そして残りの花から種を採って保存します。
種の保存方法
採取した種は、湿気のない涼しい場所で保管します。
湿った温かい場所に置くと、発芽しなくとも種子の養分を使い果たしてしまうからです。
封筒などに入れ、採取した日付と種類を忘れないよう記入しておきます。
種の保存は、乾燥剤と一緒に密閉容器に入れ、「冷蔵庫」に入れておけばOK
冷やすことで休眠し、発芽率が良くなります。
種の寿命
種には寿命があり、2年目以降になると発芽率が悪くなってきます。
特に大豆、人参、ネギ類は種の寿命が1~2年しかありません。
- 人参、玉ねぎ、エンドウマメ 1年
- とうもろこし、ピーマン 2年
- 豆類、ビーツ、ケール、ラディッシュ、ホウレンソウ、トマト 3年
- キャベツ、カリフラワー、ナス、レタス、メロン、カボチャ、ウリ、スイスチャード 4年
- キュウリ、カブ 5年
採取した種は、1年以内にまくのが理想的です。

食べたフルーツの種をまいてみるのも楽しいものです。実はつかないかもしれませんが、観葉植物としては楽しめます。ただし樹木や多年草は発芽にも、成長にも、とても時間がかかります。慣れないうちは、丈夫な一年草から始めると失敗しません。種から育てる場合、発芽させるまでと、発芽した後の管理が重要です。
たくさん種が採れたら、発芽させてスプラウトとして食べることもできます。

スプラウトとは「もやし」「かいわれ」のような発芽野菜のことです。もやしは緑豆や大豆、かいわれは大根を人為的に発芽させて作られています。アメリカでよく知られているスプラウトが「アルファルファ」はです。マメ科のムラサキウマゴヤシを発芽させたもので、サラダやサンドイッチに使われます。
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