スイレンとハス違いと栽培方法・育て方のコツ

スイレンとハスは、よく似ていますが全く別の植物です

睡蓮は「スイレン科」、蓮は「ハス科」と、植物学上の分類でも別の科に属します


例えばハスには食用と観賞用があり、レンコンとして食べているのが食用ハスの根です

ところがスイレンの根は、レンコンのように大きくなりません

さらにスイレンとハスでは「花」「茎」「葉」も異なります


スイレンとハス「花」の違い

スイレンの茎

スイレンは花びらが細く、大きく開いています

それに対してハスは、花びらが丸く、おわん型に上向きになり、良い香りがします

ハスの花

熱帯性スイレンは朝から夕方まで咲いていますが、温帯性スイレンは昼ごろには花を閉じます

ハスの花は、温帯性スイレンと同じく、朝だけ開いて日中は閉じています

早朝に花が開き、お昼頃には閉じて、日中は蕾の状態です

そしてスイレンは花が終わると水の中に沈む点がハスとの大きな違いです

それに対してハスは、花が終わると花びらだけが散り、水面に残っています

ハスの花托

ハスの花びらが開いて散り始めると現れるのが「花托」です

中央にある大きな円錐形の部分で、ここに種ができます


そして花びらが全て散ると中心の花托だけになります

花托

花托には蜂の巣のような穴が開いていて、この穴の中に実がなり、種ができます


ハスの実は中国お菓子の月餅や最中に使われているものです

生でも食べられ、トウモロコシのような食感で、甘みと苦みがあります

スイレンとハス「茎」の違い

睡蓮 紫

スイレンには熱帯性と温帯性があり、温帯性スイレンは茎が伸びずに水中にあります

そのため花も葉も水面に浮かんでいます

それに対してハスは、茎が水面の上まで伸びるため、高い位置に花が咲きます

ハスのつぼみ

茎が伸びるので、葉も水面に浮かびません

ハスの鉢植え

とはいえ熱帯性スイレンは、ハスのように茎が水上まで伸びます


スイレンの茎は、表面に細い毛があっても滑らかです

それに対してハスは、茎に小さなトゲがあり、ザラザラしているのが特徴です


スイレンとハス「葉」の違い

スイレンの葉

スイレンの葉には「切れ込み」があり、光沢があって水をはじきます

ところがハスの葉には切れ込みがなく、光沢もなく、水をはじきません

ハスの葉

そしてスイレンより大きく丸くなります


スイレンとハス「根」の違い

ハスの根

ハスは、花が終わり、秋になると地下茎の先端が大きく肥大して「レンコン」になります

丸い形で非常に早く成長します

それに対して睡蓮の根はワサビのように細長く、少しずつ伸びて新芽を出しますが、大きくなりません

熱帯性スイレンは、根が丸い形をしていますが、ハスほど大きくなりません



スイレンとハスの種類

ヒツジグサの池

スイレンは世界の温帯から熱帯にかけて約40種類があり、熱帯性と温帯性に分けられます

熱帯性スイレンは花の色が鮮やかなものが多く、7月から10月まで長く咲きます

温帯性スイレンは原産地によって「ヒツジグサ」「ロータス」と呼ばれています


例えば日本に自生しているスイレンは「ヒツジグサ」と呼ばれる温帯性スイレンです

  • 東南アジアから東アジアに自生する睡蓮(ヒツジグサ)
  • アメリカ大陸に自生する蓮(ロータス)

ハスは「東南アジア~東アジア」に自生しており、食用と観賞用の2種類があります

食用レンコンはあまり花が咲きませんが、観賞用の花ハスは美しい花を咲かせます

とはいえ観賞用のハスは、レンコンほど根が大きくなりません

スーパーで売られているレンコンは、食用として特に根が肥大化するよう改良されたものです


スイレンの栽培方法

睡蓮鉢

スイレンの苗は、5月ころから出回ります

メダカを入れる場合は、先にスイレンを植え付けし、土が落ち着いてからです

スイレンを鉢植えで育てる場合、定期的に「植え替え」をしないと花付きが悪くなってきます

そのため小さな鉢ごと水に沈めておくと、植え替えする時に取り出しやすくて便利です

苗が入っている鉢ごと大きな睡蓮鉢などに入れ、静かに水を注ぎます

【スイレンを育てる鉢】

専用の睡蓮鉢が市販されていますが、水を入れられる容器なら何でも使えます

例えばガラスの器に色付きのガラス玉など入れると綺麗です

金魚などを飼育する水槽、大きめの花瓶、発泡スチロールの箱、ガラスや陶器の食器なども使えます

小型のスイレンなら「直径20~30cm」くらいの容器でも栽培が可能です

ただし鉢が大きいほど花付きは良くなります


スイレンは「日当たりの良い場所」を好みます

鉢植えなら置き場所を変えられますが、水を入れると重くなります

そのためキャスター付きの台に乗せておくと移動が楽です


【スイレンを育てる土】

スイレンやハスなど水生植物を育てる際は「粘土質の土」に植えます

例えば水田や沼から採った土が「荒木田土」です

そしてメダカを入れる場合は肥料などを加えません

【スイレンの植え付け】

スイレンやハスの苗は園芸店や通販で購入できますが、出回る時期が限られています

  • スイレンの苗は「5月」ころから
  • ハスの苗は「3月」ころから

土の量の目安は、植える容器の2/3くらい

大きい方の容器に1/3くらいの高さまで土を入れ、ポット苗を鉢ごと置きます

隙間に土を埋めてから、水位が10cm以上になるよう水を静かに注ぎます

日本で育てるなら寒さに強い温帯スイレンが向いています

土で埋める代わりにビー玉や石を敷き詰めても綺麗です

【スイレンの植え替え】

植え替えは花が咲き終わった秋に行います

水の中から鉢ごと取り出してスイレンを土から出し、枯れた葉や茎を切り落とします

根も整理してから新しい土に植え付けます

整理した根は株分けして増やすことができます


ハスの育て方

ハスの鉢植え

ハスもスイレンと同様の育て方ができます

違いは、スイレンが水に浮かぶのに対して、ハスは水の上に伸びる点です

そのためハスはメダカなどの飼育には向いていません

葉が大きく伸びるため水面が日陰になり、メダカの隠れ場所にもならないからです

そしてハスを育てるポイントは「器」「日当たり」「養分」の3点です

【ハスを育てるための鉢】

ハスは根が大きくなるため、深く大きな鉢に植える必要があります

さらには水上に茎が伸び、葉が大きいので「口の広い容器」が適しています

例えば大型のハスを栽培するなら「直径30~40cm」以上の容器が必要です

土の部分だけでも15~20cmの深さが必要で、「丸い形の容器」にすると根の成長が妨げられません

十分に日光が当たらないとハスは咲きません

例えばハスの花を咲かせるには、朝から夕方まで日が当たる場所が理想的です

そして大きな鉢が必要なので、最初から日当たり良い場所に置きます

【ハスを育てるための土】

土質は「粘土質」であることに加えて「養分」も必要です

例えば「荒木田土8:腐葉土2」を混ぜた土に肥料も加えます

直径50cmの容器に対して「油粕」10粒くらいが目安です


庭に池を作って魚を飼育するのは、害虫対策にもなります

メダカは肉食で、ボウフラなどを食べるので、蚊の発生を抑えるからです

多様な生物が集まることで、自然な生態系が作られます

庭のパトロールは小鳥・爬虫類・肉食昆虫たちにおまかせ!

【病害虫】害虫駆除を天敵に任せて薬剤は不要

庭や家庭菜園を無農薬で栽培するなら、天敵を利用すると楽。小鳥などが、セッセと虫を食べてくれます。肉食の昆虫や爬虫類も、植物を食害せず虫を食べてくれます。



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