庭に植える果樹は「気候」に適した種類を選ぶことが大事です。
土質などは変えられますが、「気温」や「湿度」は変えられません。
果樹苗を購入する前のチェックポイントは5つあります。
- 果樹を植える場所の環境
- 果樹の耐寒温度
- 果樹の樹高
- 果樹の受粉の仕方
- 果樹の苗木の種類
北国で南国果樹を育てるのは無理です。
果樹を植える場所の環境

まずは果樹を植える場所の「環境」をチェックすることが大事です。
- 真冬の最低気温
- 日当たりの良さ
- 風の強さ
- 植え場所の広さ
寒冷地なら「真冬の最低気温」に耐えられる果樹を選ぶ必要があります。
寒い地域でも育てやすいのが「落葉果樹」です。
常緑の「柑橘類」や「トロピカルフルーツ」は寒さに弱いので暖地向き。
日当たりが良ければ、多くの果樹が生育しやすい場所です。
けれど「ベリー類」などは、直射日光の当たらない半日蔭を好みます。
狭い庭で大きくなる果樹は育てられません。
2本以上を植えなければ受粉できない果樹もスペースが必要です。
雨や風に当たると花や果実が傷むことにも注意が必要。
梅雨時に開花する果樹なら「雨除け」をすることも大事です。
根が浅い果樹には「支柱」や「風よけ」がないと強風で倒れてしまいます。
果樹の耐寒温度をチェック

まずは果樹の耐寒温度をチェックします。
育てる場所の「真冬の最低気温」に耐えられる果樹でなければ育ちません。
寒さに強く、北国でも育てやすいのが落葉果樹です。
開花、紅葉、果実、と年間を通して楽しめ、庭の環境づくりにも役立ちます。
夏は葉を茂らせて「日陰」を作り、冬は葉を落として「日差し」を取り入れます。

花や紅葉が美しい落葉果樹は、庭のシンボルツリーにも最適です。
「梅」「桜」「桃」「リンゴ」など「バラ科」に果樹は花の美しさが魅力。
草花が少ない早春に果樹の花が庭を華やかに彩ります。
そして果樹の花が散った頃にバラなどが咲き始める季節になります。
常緑果樹は「やや寒さに弱い」傾向があるため、暖地向きです。
年間の平均気温「15~17℃」くらいが適しています。

柑橘果樹を植えるなら、日当たりの良い「庭の南側」が最適。
年間の平均気温「15℃」で、冬の「最低気温が-5℃以下にならない」環境が適します。
真夏の直射日光で葉が焼けないよう、「夏には日除け」も必要です。
トロピカルフルーツは南国でなければ地植えできません。
熱帯地方が原産なら「冬の夜の気温10℃以上」は必要だからです。
亜熱帯地域が原産でも「最低気温5℃以上」ないと育ちません。
蔓性の果樹を植えるなら「広いスペース」が必要です。
長く伸びる蔓を「支柱」「フェンス」「パーゴラ」などに固定する必要があるからです。
狭い場所では実付きが悪くなります。
果樹を鉢植えにした場合も、実が小さくなり、収量も減ります。
けれど限られたスペースで育てると、水分や養分が凝縮して甘みが増すのがメリット。
充分なスペースが取れない場合は「鉢植え」にすると管理が楽です。

鉢植えで育てた果樹には美味しい実がなります。限られたスペースで育つと、水分や養分が凝縮されるからです。ですから庭がなくても、ベランダでも、鉢植えなら果樹が育てられます
家庭で楽しむなら、小さくて少なくても、美味しい果実が収穫できるほうがいいはず。
耐寒温度を下回る気温の地域でも「鉢植え」にして冬は室内で管理すれば育てられます。
果樹の樹高をチェック

果樹が成長した後の「樹高」も要チェックです。
オリーブや栗など、本来は大木に育つ果樹があります。
剪定で小さく育てられますが、管理できなくなると邪魔になってしまいます。
放置すると家の土台や外壁を傷つけることにもなりかねません。
狭い庭や住宅密集地では特に注意が必要です。
北国でも育てやすい「落葉果樹」おすすめ20選は、樹高別に紹介しています。

寒さに強く、北国でも育てやすいのが落葉果樹。開花、紅葉、果実、と年間を通して楽しめます。また庭の環境づくりにも役立つのが落葉果樹です。
暖地向きの「常緑果樹」は特に大きくなるものが多いので要注意です。

寒さに弱いものが多い「常緑の果樹」。柑橘類やトロピカルフルーツも常緑果樹です。年間の平均気温「15~17℃」くらいが適しています。
おすすめ15選を樹高別に紹介しています。
果樹の受粉の仕方をチェック

果樹苗を購入する前に「受粉の仕方」も要チェックです。
「2本以上の苗を植えないと実がならない」果樹があります。
例えば、「雄木」と「雌木」がある果樹や、人工授粉が必要な果樹。
狭いベランダなどで小さく育てるなら、1本だけでも実がなる果樹が適しています。
【1本だけでも実を付ける果樹】
狭い庭に適しているのが、1本だけでも実がなる果樹です。
「ブドウ」「柿」「イチジク」「西洋ナシ」「プルーン」「ユスラウメ」「梅」「ブラックベリー」「ラズベリー」「温州みかん」「レモン」「キンカン」「ライム」「黄桃」「桃」「ネクタリン」「アルプス乙女リンゴ」
人工授粉する必要がないので、初心者でも簡単に果実を楽しめます。
【雄木と雌木がある果樹】
雄木と雌木がある果樹は、雄雌の両方を植えないと実がなりません。
例えば「ギンナン」や「キウイフルーツ」。
ギンナンは落葉果樹で、キウイフルーツは蔓性果樹です。
どちらも大きくなるので広いスペースが必要です。
【人工授粉が必要な果樹】
「受粉しにくい果樹」は、2本以上を植えて人工授粉する必要があります。
「ブルーベリー」「日本ナシ」「白桃」「栗」「リンゴ」「豊後ウメ」「南高ウメ」「白加賀ウメ」「フェイジョア」など。
人工授粉の方法は簡単です。
花粉が付いている花を摘み取り、他の花に花粉をこすりつけるだけ。
綿棒や筆に花粉を取り、雌しべに付けてやると確実です。
人工授粉のタイミングは二つあります。
- 花が咲いた直後から3日くらいの期間
- 風がなく天気のいい日の午前中
果樹の苗木の種類をチェック

早く収穫したいなら、ある程度まで育った苗を購入する必要があります。
まだ小さな苗は安く購入できますが、果樹は成長に時間がかかります。
若い苗ほど病害虫に弱いので管理も大変です。
市販されている果樹苗は主に3種類。
- 鉢植え苗
- 素掘り苗
- ポット苗
早く収穫できるのが「鉢植え苗」です。
【早く収穫できる「鉢植え苗」】

最も手間がかからず早く収穫できるのが鉢植え苗。
購入した時の鉢のまま育てられ、購入した年から実が付きます。
1本だけで実が付く果樹を選べば、水やりなどして育てるだけで収穫できます。
鉢植え苗とは、素掘り苗やポット苗を植え替えた後1~2年ほど育ててから出荷されます。
病害虫に対する抵抗力も付いているので、初心者にも育てやすい苗です。
【じっくり育てる「素掘り苗(根巻き苗)」】

素掘り苗とは、春に接ぎ木や挿し木をして1年目か2年目の秋に掘り上げた幼木。
根をピートモスやミズゴケなどで包んだ状態で売られています。
まず根を包んでいるミズゴケなどは取り外します。
伸びすぎた根と枝葉を切って整理してから鉢に植え付けます。
それから数年じっくり育てる必要があります。
2年目に掘り上げた苗でも収穫まで2~3年。
1年目に掘り上げた苗なら、収穫まで、さらに時間がかかります。
【安く購入できる「ポット苗」】

ポット苗が最も安く購入できますが、収穫まで時間をかけて育てる必要があります。
春に温室で挿し木した、最も若い苗です。
ポット苗は小さなプラスチックの鉢に植えられた状態で、6月ころから出荷されます。
買ってきたポット苗は、鉢から出して直径20~25cmくらいの小さめの鉢に植え替えます。
鉢底から根が出てくるくらい育ってきてから一回り大きな鉢に植え替えします。
【丈夫な苗を選ぶポイント】
果樹苗を購入する時には「芽」や「幹」の状態で判断します。
チェックポイントは5つ。
- 芽と芽の間隔や節の間隔が狭く詰まっている
- 芽がふくらんでいる
- 病気や傷がない
- 幹が太くしっかりしている
- ラベルなどで品種を確認できる
丈夫な苗は「根」が元気です。
鉢植えなら「鉢底から根が出る」ほど育っているなら丈夫に育っている苗です。
購入して植え替えする時にも、根の状態を確かめられます。
- 根が乾燥していない
- 細い根がたくさん出ている
- しっかり根が張っている
ただし「根」は確認してから購入できるわけではありません。
購入した苗の根が乾燥していたり貧弱だったりしても大丈夫です。
「植え付け方」と「管理の仕方」で丈夫に育てることができます。
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