常緑の果樹は寒さに弱いものが多く、柑橘類やトロピカルフルーツも常緑果樹です
生育には、年間の平均気温「15~17℃」くらいが適しています
ですから暖地でなければ、庭に植えるのは無理です
けれど「鉢植え」や「温室」でなら、マイナス気温になる地域でも育てられます
真冬の最低気温が、果樹の耐寒温度より高ければ庭植えも可能です
暖地向きの常緑果樹
柑橘類は「庭の南側」で「暖かい場所」が最適。
多くがインド原産の常緑樹なので「日当たり良く」「温暖」な気候を好みます。
年間の平均気温「15℃」で、冬の最低気温が「-5℃以下にならない」環境が適します。
トロピカルフルーツは南国でなければ地植えできません。
熱帯地方が原産なら「冬の夜の気温10℃以上」は必要です。
亜熱帯地域が原産でも「最低気温5℃以上」ないと育ちません。
気温と日当たりが不十分なら、鉢植えで室内や温室のほうが確実です。
樹高3~4mの果樹
大きくならない果樹なら、庭に植えても手間がかかりません。
頻繁に剪定しなくても邪魔にならないからです。
とはいえ枝を整えたり、摘果して実を減らしたほうが美味しくなります。
【カボス(2~3m)】
ミカン科ミカン属
日本原産
耐寒温度-7℃
5~6月に開花
8~11月に収穫
大分県の特産品で温暖な気候が適しています。
【温州みかん(2~3m)】
ミカン科ミカン属
日本原産
耐寒温度-6℃
5~6月に開花
10~11月に収穫
柑橘類の中では、寒さに強い果樹です。
収穫できる時期によって「早生系」「中生系」「晩生系」の3系統があります。
寒い地域では温かい時期に収穫できる早生系が適しています。
【きんかん(1~2m)】
ミカン科キンカン属
中国原産
耐寒温度-5℃
7~8月に開花
2~5月に収穫
寒さに弱いので、気温が-3℃以下になる場合には必ず室内へ入れます。
【レモン(2~4m)】
ミカン科ミカン属
ヒマラヤ東部原産
耐寒温度-3℃
5~10月に開花
10~3月に収穫
柑橘類の中で最も「寒さに弱い」果樹です。
気温が-3℃以下になる場合には鉢植えにして、室内へ入れるほうが安心できます。
【ビワ(2~5m)】
バラ科ビワ属
原産地は日本、中国
耐寒温度-2℃
12~2月に開花
5~6月に収穫
温暖な気候を好み、年間の平均気温「15℃以上」が適しています。
11~2月に咲く花は特に寒さに弱く、気温が-3℃以下になると実が育ちません。
根が弱いので「支柱」を立てて固定しておくと安全です。
【パッションフルーツ(1~3m)】
トケイソウ科トケイソウ属
原産地はブラジル南部
耐寒温度-2℃
3~10月に開花
6~1月に収穫
寒さに弱いので冬の温度管理がポイント。
地面の温度が20℃以下になると生育が止まるので「秋以降は室内」へ。
「花と果実に雨を当てない」ことが大事です。
【アセロラ(1~3m)】
キントラノオ科ヒイラギトラノオ属
原産地は熱帯アメリカ、西インド諸島
耐寒温度5℃
5月~11月に開花
5~11月に収穫
1本だけ植えても実がなりますが、人工授粉すると確実です。
気温「25~35℃」なら年5~6回ほど花が咲いて実がなります。
苗を植え付けたら、しばらく日陰に置いて「直射日光に当てない」ように。
新しい芽が出始めてから「徐々に日に当てる」のがコツです。
樹高10m以上になる果樹
南国フルーツは特に大きくなる傾向があり、育ちすぎると手に負えません。
鉢植えでも庭植えでも、剪定して小さく育てることが大事です。
【アボカド(7~20m)】
クスノキ科ワニナシ属
中央アメリカ原産
耐寒温度-7℃
5~6月に開花
11~12月に収穫
低温に弱い果樹です。
食用に出回っているアボカドの多くは、熟すと皮が黒くなる「ハス種」。
ハス種は寒さに弱いので、日本で栽培するなら温室か鉢植えが適します。
【柚子(3~10m)】
ミカン科ミカン属
中国原産
耐寒温度-7℃
5月~6月に開花
8~9月に収穫
大木に育つ果樹ですが、成長が遅く、種から育てると実がなるまで10年ほどかかります。
柑橘類の中で最も寒さに強く、東北でも栽培が可能です。
【オリーブ(10~15m)】
モクセイ科オレア属
アジア原産
耐寒温度-3℃
5~6月に開花
10~11月に収穫
暑さには強いですが、やや寒さに弱い果樹。
「たっぷり日差しが当たる」温暖な環境が適しています。
本来は大木になる木なので剪定が欠かせません。
鉢植えで小さく育てて、冬は室内へ入れるほうが管理しやすい果樹です。
【グアバ(8~10メートル)】
フトモモ科バンジロウ属
南アメリカ、ブラジル原産
耐寒温度0℃
4~5月に開花
9~10月に収穫
グアバの中でも「ストロベリーグアバ」は寒さに強いほうです。
-5℃くらいまでなら屋外で育てられます
「気温20~25℃」くらいあれば果実が育ちます。
【ドラゴンフルーツ(~10m)】
サボテン科ヒロケレウス属
中央アメリカ、メキシコ原産
耐寒温度3℃
7月~9月に開花
6~11月に収穫
「温度管理」が大切です
最低気温が8℃以下になると茎に黄色い斑点ができ、霜に当たると茎が腐ります。
気温20℃以上の日が長く続くと花が咲き実がなります。
サボテン科ですが花が咲き始めてから実を収穫するまで「十分な水」が必要です。
【ライチ(10~20m)】
ムクロジ科イシ属
原産地は中国南部
耐寒温度3℃
2月~4月に開花
5~7月に収穫
やや寒さにも耐えられ、「気温0℃以上」あれば育ちます。
「夜の最低気温5℃以上」の環境が最適です。
【マンゴー(~40m)】
ウルシ科マンゴー属
熱帯アジア、インド、メキシコ原産
耐寒温度5℃
4~6月に開花
4~7月に収穫
気温が0℃以下になると育ちにくいので「冬は室内」での管理が必要です。
花が咲き、実がなる時期は「雨に当たらないよう」軒下などへ移動します。
【キウイフルーツ】
つる性の果樹は、棚やフェンスに絡めて育てます。
マタタビ科マタタビ属
原産地は中国南部
耐寒温度-7℃
5~6月に開花
10~11月に収穫
暑さに強いけれど「やや寒さに弱い」果樹
オスとメスがあるので2本を植えないと実がなりません。
マタタビ科なので「猫にかじられない場所」が適しています。
柑橘類を育てるポイント
常緑果樹の中でも人気の「柑橘類」
多くがインド原産のため、冬の温度管理がポイントです。
冬の気温が-5℃以下になると育ちません。
柑橘類に適した気候は「年間の平均気温15℃」。
温かく日当たりが良ければ柑橘類はどんどん成長します。
【柑橘類の植え付け時期】
柑橘類の植え付けは「時期」が重要です。
理由は主に2つ
- 真冬に植え付けすると根づきにくい
- 真夏に植え付けすると病害虫が発生しやすい
ですから柑橘類の植え付け適期は秋か春。
- 10月初旬~11月中旬
- 2月中旬~3月下旬
【柑橘類を植える時の注意点】
植えつける時に「地上部に近い根を切らない」ことがポイントです。
柑橘類は下へ伸びる根が多く、上のほうに根が少ないことがあります。
けれど養分を吸収するのは「上のほうの根」です。
【柑橘類は剪定して勢いを抑える】
柑橘類は幹や枝葉が伸びすぎないよう「剪定」することも大事です。
枝が上に伸びていく性質があり、勢いよく伸びていると実が付きにくいからです。
植え付けた1年目は、剪定せずに根と地上部を十分に成長させます。
2年目の6月中旬~7月ころ、主要な枝2~3本だけ残して整枝します。
そして枝が「水平」になるよう横へと誘引しておきます。
枝が水平になるほど花芽が付きやすく、実がなります。
2年目の11~2月ころ、中心となる幹を決めます。
下の方から「3方向へ伸びる枝3本」を残して、他は全て根元から切り落とします。
幹の先端も、3本の枝より上を切って高さを抑えます。
3年目からは、形を整え、風通し良くするための剪定を「春」に行います。
錆びにくい剪定ばさみが1本あると重宝します。
レモン、ライム、ユズには大きめの「トゲ」があります。
葉や果実を傷つけるので、ハサミや手で取り除いて構いません。
柑橘類やトロピカルフルーツも鉢植えにすると北国でも育てられます。
鉢植えで育てた果樹には美味しい実がなります。限られたスペースで育つと、水分や養分が凝縮されるからです。ですから庭がなくても、ベランダでも、鉢植えなら果樹が育てられます。
寒冷地で庭植えするなら、寒さに強い「落葉果樹」が向いています。
寒さに強く、北国でも育てやすいのが落葉果樹。開花、紅葉、果実、と年間を通して楽しめます。また庭の環境づくりにも役立つのが落葉果樹です。
生では食べにくい果実でも、果実酒にすると美味しくなるものもあります。
秋の楽しみは木の実を使った果実酒作り。生では美味しくない木の実や、小さすぎて食べにくい木の実。果実酒にすれば美味しくなります。
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