小麦粉の種類~薄力粉・中力粉・強力粉の違い

パンやケーキを手作りする時には、小麦粉を使い分けします

含まれる「タンパク質」の量によって「粘り」が異なるからです

タンパク質の量で「薄力粉」「中力粉」「強力粉」に分けられます

タンパク質が多い強力粉は、粘りがあり「もちもち」した食感になります

使う小麦粉によって「ドライイースト」と「ベーキングパウダー」も使い分けます


小麦粉の種類と用途

麦の穂

小麦粉に含まれるタンパク質の含有量は、強力粉12%、中力粉10%、薄力粉8%くらい。

  • 薄力粉を使う:パンケーキ、クッキー、ケーキ
  • 中力粉を使う:うどん、トルティーヤ
  • 強力粉を使う:パン

小麦粉のタンパク質は「粘り」が強いグリアジン8割と「弾力性」の強いグルテニン2割。

水を加えてこねることで「弾力と粘り」のあるグルテンに変わります。

【強力粉を使うもの】



パンを焼く時には、タンパク質が多く粘りが強い強力粉が使われます。

ですが粘りの強い強力粉は、なかなか膨らみません。

そのため膨らませる力の強い「ドライイースト」を使います。

タンパク質が多い強力粉は「グルテンが強い」ため粘りが出ます。

もちもちした食感になるので「パン」「ピザ生地」「パスタ」などに適した小麦粉です。

【薄力粉を使うもの】



タンパク質が少ない薄力粉は「グルテンが弱い」ため粘りがありません。

サクサクふわふわした食感になる粉。

「ケーキ」「クッキー」「天ぷら」などに適しています。

【中力粉を使うもの】



ほどよくタンパク質が含まれている中力粉は粘りも柔らかさもあります。

発酵させなくても口当たりよく仕上がる粉。

「トルティーヤ」「うどん」などに適しています。

発酵させずに作る場合、グルテンが多すぎると固くなります。

グルテンが少ないと柔らかすぎるので「中力粉」を使うのです。

強力粉と薄力粉を同量で混ぜても構いません。

ベーキングパウダーとドライイーストの違い

手作りパン

ドライイーストを使うのは「パン」。

ベーキングパウダーを使うのは「パンケーキ」「クッキー」「ドーナツ」など。

  • ドライイーストは生地を大きく膨らませます
  • ベーキングパウダーはそれほど膨らまみません

例えばピザ生地を作る場合。

薄いピザ生地ならベーキングパウダー。

もっちりしたパン生地ならドライイーストを使います。

イースト菌はタンパク質の糖分を分解して働きます。

そのためタンパク質が多い強力粉が適しています。

【ベーキングパウダーを使うもの】



ベーキングパウダーは、生地に混ぜるだけで発酵させる必要がありません。

火を通す段階で炭酸ガスを発生させてふくらんでいくからです。

タンパク質が少ない薄力粉でも程よく膨らむため「パンケーキ」や「ドーナツ」に適しています。

薄力粉を水で練っても弾力が足りないので、パンのようなモチモチ感は出ません。

逆にタンパク質の多い強力粉だと、ベーキングパウダーでは十分に膨らみません。

そのため固くなってしまうのです。

【ドライイーストを使うもの】



ドライイーストは「パン」作りに適しています。

大きく膨らむため、ふわふわした柔らかさがあります。

強力粉を使うことで弾力のあるモチモチした食感になります。

例えばイースト菌(酵母)は、お酒などを発酵させる時にも使われます。

小麦粉と砂糖に水分を加え、生地の糖分を分解する段階で炭酸ガスを発生させてふくらみます。

ドライイーストは、膨らみにくい強力粉でも膨らませる力があります。

大きく膨らんだ分だけ、焼くと大きな気泡ができます。

小麦粉だけで作れる「うどん」「トルティーヤ」

うどん切り

どんやトルティーヤには中力粉を使います。

発酵させたり膨らませる必要がないからです。

例えば、うどんなら中力粉に塩と水を加えて練り、生地を切るだけ。

同じ材料でも、生地を丸く薄く伸ばしてフライパンで焼けばトルティーヤに。

シンプルな材料で手軽に作れます。

【コシのある自家製うどんの作り方】



うどんに適しているのは「中力粉」。

うどんは小麦粉と塩だけで作り、発酵させないため、グルテンが多い強力粉では固くなるからです。

薄力粉ではグルテンが少ないためコシが出ません。

うどん作りに塩を加えるのは、グルテンの結合が強くなり「コシ」が出るから。

うどんの塩は麺を茹でている時に溶けだしてしまいます。

小麦粉に「抹茶」や「よもぎ」などを加えると、うどんが色鮮やかで風味豊かになります。

抹茶うどん

●うどんの作り方

  1. 「水(160ml)」に「塩(大さじ1)」を加えて溶かす
  2. 別のボウルに「強力粉(250g)」と「薄力粉(150g)」を入れる
  3. 溶かした塩水を少しずつ加えて練り混ぜる
  4. 全体に水分が行きわたるよう、よくこねて、ひと固まりにまとめる
  5. 「ビニール袋」に入れ、10分くらい足で踏んで平らにする
  6. 生地を取り出して二つ折りし、もう一度ビニール袋に入れる
  7. さらに3分くらい踏んでから室温で2時間くらい置く
  8. 生地をビニール袋からだして丸める
  9. 丸めた生地を「打ち粉」を振ったまな板の上に乗せ、麺棒で薄く伸ばす
  10. 伸ばした生地を包丁で細く切る

好みで太さを変えられるのが、手作りの良さです。

【フライパンで焼くだけのトルティーヤ】

トルティーヤ3

トルティーヤはメキシコ料理に使われる薄いパンのようなもの。

焼いた肉や野菜を乗せて、巻いて食べます。

薄力粉だけでも作れますが、強力粉を混ぜたり、中力粉を使うと、しっかり肉などを巻きやすくなります。

トルティーヤの材料は「小麦粉」「塩」「お湯」だけ。

メキシコ料理で夏のホームパーティ!各自好みの具材を手巻き

自家製トルティーヤとサルサソースの作り方

簡単に作れて、冷凍保存できるサルサソースとトルティーヤ。サルサソースは材料を煮詰めるだけ。トルティーヤは小麦粉を練ってフライパンで焼くだけです。

生地を寝かせたり発酵させる手間がいらないので簡単です。

ベーキングパウダーを使う「ケーキ」と「クッキー」

型抜きクッキー生地

お菓子作りに使うのが「薄力粉」と「ベーキングパウダー」。

軽く膨らませて柔らかく仕上げるためです。

砂糖、卵、牛乳、バター、加える材料によって口当たりが変わります。

【フライパンで焼くパンケーキ】



パンケーキの材料は「薄力粉」「ベーキングパウダー」「砂糖」「卵」「牛乳」。

フライパンで焼く時に、炭酸ガスが出て膨らみます。

「油は薄く」敷いて「ごく弱火」で焼くのがコツです。

テフロン加工の小さめのフライパンを使うと上手く焼けます。

ホットプレートや電気コンロだと均一できれいな焼き色に仕上がります。

ガスコンロで焼く時には、熱したフライパンを一度「濡れ布巾」に置いて。

冷ますと丁度いい温度になります。

卵1個を使う場合の分量で、直径15cmくらいのパンケーキが5枚できます。

  • 薄力粉(150g)
  • グラニュー糖(大さじ2)
  • ベーキングパウダー(小さじ1)
  • 卵(1個)
  • 牛乳(230ml)
  • サラダ油(大さじ1)

●パンケーキの作り方

材料は、粉類と液体をそれぞれ別のボウルで混ぜてから合わせて焼きます。

混ぜすぎると膨らみにくくなるので、ざっくり混ぜるのがコツです。

  1. 薄力粉、グラニュー糖、ベーキングパウダーをボウルに入れて混ぜる
  2. 卵、牛乳、サラダ油を大きめのボウルに入れて混ぜる
  3. 粉類をザルで振るいながら、液体に加えて混ぜ合わせる

※ 粉っぽさがなくなり、泡だて器から生地がもったりと落ちるくらいが丁度いい硬さです

フライパンを強火で熱して油を敷いたら、濡れ布巾で冷ますと油がフライパンに浸み込みます

※ 油が多ければティッシュで拭き取り、フライパンの表面に油が浮いていない状態にします

冷ましたフライパンを弱火に乗せ、お玉で生地をすくってフライパンに入れます

生地の表面に気泡が出てきては弾け、穴があいて、生地が穴をふさぎ、という状態になったら

一度、濡れ布巾に上げてフライパンを冷まします

生地の周辺が固まりだしたら、フライ返しに生地全体を乗せてからひっくり返します

ひっくり返してから30秒くらい焼きます。

フォークで端の方を持ち上げて焼き色を見て、きれいな色に焼けていたら皿に出します。

2枚目も同様、フライパンに油を敷いて濡れ布巾で冷ましてから生地を焼いていきます。

【オーブンで焼くクッキー】

クッキーは、練った生地を冷蔵庫で冷やすと形を作りやすくなります。

  • ハチミツを使うとしっとりしたクッキーに
  • グラニュー糖を使うとサクサクしたクッキーに

基本を覚えればアレンジも自在です。

しっとりクッキー さくさくクッキー 材料で変わる食感♪

【手作りクッキー】基本の作り方とアレンジ法

手作りクッキーは初心者でも簡単なスイーツ。材料を発酵させる必要がないので時間もかかりません。

おやつとして手軽に作れ、クリスマスなどにもピッタリです。

【型に入れて焼くフルーツケーキ】

フルーツケーキはバター、小麦粉、卵を同量にして作る、どっしりしたケーキ。

18cm×8cm×高さ6cmくらいの長方形のケーキ型を使用する場合の分量です。

  • バター(100g)
  • 砂糖(80g)
  • 卵(100g:2個)
  • 薄力粉(100g)
  • ベーキングパウダー(1g)
  • 洋酒に漬けたフルーツ(400g)

ケーキ型にはオーブン用のクッキングシートを敷き、オーブンは160~170℃くらいに温めておきます。

1.バターは室温で柔らかくしておき、ボウルに入れて泡だて器で混ぜる

2.砂糖を加えて白っぽくなるまで混ぜる

3.卵を溶きほぐし、少しずつ4~5回に分けて加えながら混ぜ合わせる

4.薄力粉とベーキングパウダーをザルなどで振るってから加え、ゴムベラで混ぜ合わせる

5.洋酒に漬けたフルーツは1cmくらいに刻んでから加えて混ぜる

6.生地をケーキ型に入れ、温まっているオーブンで40分焼く

型に入れたケーキ生地

真ん中に竹串を刺してみて、とろみのある生地がついてこなければOK

オーブンから出したら型をひっくり返してケーキを出し、冷めてから切ります。

焼き上がりより数日たってからのほうが、生地がしっとりして美味しくなります。

室温で1カ月くらい味が変わりません。

生地を発酵させて焼く「パン」

手作りパン

パンを焼く時には「強力粉」と「ドライイースト」を使います。

粘りの強い強力粉でモチモチ感を出し、イースト菌で大きく膨らませて弾力を出すためです。

イースト菌は糖分を分解して炭酸ガスを出すことで膨らませます。

そのため1~2時間くらい発酵させる必要があります。

充分に生地を膨らませてから、オーブンで焼きあげます。

イースト菌を使うので、砂糖を加えるほど発酵しやすく大きく膨らみます。

酵母菌を育ててパンを焼くことも可能です。

生きている酵母菌!果物・穀物・植物には自然と付いている

【自家製】酵母の作り方と手作り天然酵母パン

天然酵母は身近な食材から簡単に作れます。酵母菌は、身の回りで自然に生きている微生物だからです。

バター、オリーブオイル、卵、と加える材料によって口当たりや風味が変わります。

【フォカッチャの作り方】



岩塩とたっぷりのオリーブオイルの風味が美味しいフォカッチャ。

フォカッチャ

フォカッチャはピザの原型となったイタリアのパンで、ワインや前菜と一緒に食べます。

本来のフォカッチャには卵や砂糖を入れませんが、砂糖を入れたほうが発酵しやすく大きく膨らみます。

糖分は発酵によって分解されるので、甘みは残りません。

材料

  • ドライイースト(3g)
  • ぬるま湯(100㏄)
  • 強力粉(150g)
  • 砂糖(大さじ1)
  • 塩(小さじ1/3)
  • オリーブオイル
  • オリーブの実(7~8個
  • 岩塩



作り方

  1. ドライイーストは、ぬるま湯に溶かしておく
  2. 強力粉、砂糖、塩、オリーブオイル(大さじ1)を混ぜる
  3. 溶かしたドライイーストを加えて混ぜたら丸くまとめる
  4. まな板などの上に生地を乗せてこね、粘りが出てきたら丸める
  5. たたきつけるようにしてガスを抜き、滑らかになるまでこねる
  6. 生地をボウルに戻してラップをかけ、温かい場所に40~50分おいて発酵させる
  7. 生地が2倍に膨らんだら麺棒で厚めに伸ばし、耐熱皿に入る大きさに丸める
  8. 耐熱皿に「オリーブオイル」を薄く塗り、「強力粉」をまぶす
  9. 生地を入れ、さらに20分くらい発酵させる
  10. 生地の表面にオリーブの実を押し入れる
  11. 表面にオリーブオイル」を塗り、岩塩を振りかける
  12. オーブンを210℃に熱してから、生地の入った耐熱皿を入れて15分くらい焼く

バジルを振りかけるなら、焼き上がってから表面に。

加熱するとバジルは苦くなるからです。

【ピザ用パン生地の作り方】



フォカッチャを応用したのがピザ用パン生地です。

材料

  • ドライイースト(大さじ1)
  • 塩(ひとつまみ)
  • 強力粉(1+3/4カップ)
  • オリーブオイル(大さじ1)
  • ぬるま湯(1カップ)

作り方

  1. ドライイーストと塩を強力粉に加える
  2. オリーブオイルを加えて混ぜる
  3. ぬるま湯を少しずつ加えながら手でこねて、柔らかな生地にする
  4. ラップで覆って暖かい場所に2時間くらいおいて発酵させる
  5. ピザ生地がふくらんだら手でこねて丸め、生地の周囲を少し厚めにしながら薄く丸く伸ばす

あとは好みのトッピングを乗せてオーブンで焼くだけです。

小麦や大麦は栽培することもできます。

緑肥としても使える麦~豆が作る養分で麦が育ち土がリセット

【自然栽培】豆類と麦類は交互に育てると良い

豆類と麦類は、交互に植えると良く育ちます。麦類は余分な肥料分を吸い取るので、枝豆の蔓ボケを防ぐからです。連作障害も起きにくくなります。



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