ひな祭りの食べ物には、旬の食材や縁起物が使われます。
そこには女の子の健やかな成長を願う意味が込められています。
例えば「ひし餅」や「雛あられ」といった桃の花を表したお菓子。
縁起物の「はまぐり」や「ちらし寿司」も、ひな祭りの定番です。
桃の節句に飲む「白酒」や「甘酒」は花を浸した飲み物から始まりました。
もとは宮廷の宴席で出された行事食が原型です。
ひな祭りの三色お菓子

ひな祭りに食べる「ひし餅」「雛あられ」は、3つの色に意味が込められています。
- 桃色:優しさ、明るさ
- 白:清らかさ、純粋さ
- 緑色:健康、成長
ひし餅は、緑色の草が白い雪の下から芽吹き桃色の花が咲く様子を表現したもの。
ですから緑、白、桃色の順番に餅を重ねてあります。
ひし形は「成長」や「繁栄」のシンボルとされてきた形です。

雛あられは、ひし餅を屋外でも食べられるようにした携帯食です。
ひな人形を持って出かける風習から作られるようになったと言われます。
関東と関西で形が異なりますが、色は、ひし餅と同じ三色。
米粒状の雛あられが関東風。
関西の雛あられは丸い形が主流です。
高知では3色に色付けしたポップコーンを食べるそうです。

季節限定品なので贈り物に使うと喜ばれます。
彩りの良い「散らし寿司」

散らし寿司は、おめでたい日に食べる定番の行事食。
様々な縁起物が使われ、見た目にも華やかなので、お祝いの席に最適です。
- れんこん:先の見通しが良くなることの象徴
- エビ:腰が曲がるまでの長寿を象徴
- 錦糸卵:金銀の財宝を象徴
- 豆:マメに働くことの象徴
「サヤエンドウ」と「エビ」は塩茹で。
「菜の花」を塩ゆでして乗せても春を感じさせます。
「イクラ」の醤油漬け、「マグロ」の刺身など赤い食材があると華やか。
れんこん、錦糸卵などの具材は、前日に作っておくと当日の準備が楽です。
●酢れんこんの作り方
<材料>
- れんこん(300g)
- 昆布だし(180ml)
- 酢(120ml)
- 砂糖(大さじ5)
- 塩(小さじ1/2)
<作り方>
- 調味料を混ぜ合わせて保存容器に入れる
- れんこんの皮をむき、輪切りして、酢を少し入れた水にさらす
- 鍋に湯を沸かし、塩(小さじ1)を加えてレンコンを3~4分ゆでる
- レンコンをザルに上げ、塩(2つまみ)を振って混ぜる
- 粗熱が取れたら調味料に浸け、冷蔵庫で2~3時間なじませる
冷蔵庫で1週間くらいは保存できます。
●錦糸卵の作り方
- 卵(3個)
- 砂糖(大さじ1)
- 酒(大さじ1)
- 塩(少々:1gくらい)
<作り方>
- ボウルに卵を割り入れ、箸で混ぜてほぐす
- 調味料を加えて混ぜる
- フライパンにサラダ油(小さじ1/2)を入れて中火で熱する
- 卵を入れて薄焼きにする
- 火からおろして蓋をし、濡れ布巾に乗せて1~2分おく
- 表面が焼けていない場合は、裏返して弱火で軽く焼く
- 皿などに取り出し、残りの卵も同様にして焼く
- 薄焼き卵を重ねて細切りする
焼く前にザルで卵を濾すと、より綺麗に仕上がります。
前日に作って冷蔵しておいてもOK
寿司飯に混ぜ込む具材も作り置きできます。
●干し椎茸とニンジンの煮物
<材料>
- 干し椎茸(30g)
- にんじん(1本:150g)
- 醤油(大さじ2)
- みりん(大さじ2)
- 砂糖(大さじ2)
<作り方>
- 干し椎茸は水(200ml)に4~5時間くらい入れて戻す
- 戻し汁は取っておき、椎茸を取り出して水気を切る
- ニンジンは皮をむいて三等分に切り、細切りしてから千切り
- 戻した椎茸も細切りしてから千切り
- 鍋にニンジンと椎茸を入れる
- 椎茸の戻し汁に水を加えて200mlにしてから加える
- 調味料を加えて中火にかける
- アクを取ってから弱火にし、落し蓋をして15分くらい煮る
- 蓋を外して5~6分くらい煮詰める
冷蔵庫で5~6日くらい保存できます。
ニンジンは、大きめに切ったものも煮ておくと飾り用に使えます。
花の形に型抜きすると綺麗。
●寿司飯の作り方
ごはん(3合:約1㎏):寿司酢(100ml)
- 米酢(大さじ5:75ml)
- 砂糖(大さじ2)
- 塩(小さじ1・1/3:7.5g)
ごはん2合の場合
- 米酢(大さじ3・1/3:50ml)
- 砂糖(大さじ1・1/3)
- 塩(小さじ1:5g)
炊き立てのご飯に合わせ酢を入れ、しゃもじでかき混ぜます。
椎茸と人参の煮物を混ぜてから器に盛りつけます。
上に刻み海苔を乗せ、錦糸卵を乗せてから、具材を散らします。
桃の節句に飲む「白酒」と「甘酒」

桃の節句には、お酒に桃の花を浸して飲む習慣がありました。
そこから、ひな祭りの飲み物として白酒が広まったと言われます。
白酒は、「もち米」と「麹」を加えて作った焼酎や酒です。

アルコール度数は5%くらいあるため、未成年者は飲めません。
子供でも飲めるのが「甘酒」です。

米と米麹のみで作った甘酒は、砂糖が入っていないのに甘くて美味しいです。
婚礼の縁起物「はまぐり」

はまぐりは、婚礼の縁起物として使われます。
ぴったり合うのは対の貝殻だけだからです。
良い結婚ができることを願い、ひな祭りにも食べられます。
はまぐりの旬が2~4月であることからも、ひな祭りにピッタリです。
●はまぐりお吸い物の作り方
<材料>
- はまぐり(200g)
- 昆布(5×5cm)
- 酒(大さじ1)
- 塩(ひとつまみ)
<作り方>
- はまぐりは海水くらいの塩水に1~2時間くらい浸けて砂出しする
- 水洗いしたはまぐり、昆布、水(500ml)を鍋に入れ、弱火にかける
- アクを取り、沸騰したら昆布を取り除く
- はまぐりが開いたら塩を加えて火を止める
器に入れ、刻みネギや木の芽などを乗せます。
菜の花など食べられる花を使った料理も桃の節句を華やかに彩ります。

食卓に花を飾るだけでなく、料理にも使うと楽しさが広がります。綺麗な花の中には食べられるものが意外と多くあるからです。例えば「バラ」や「食用菊」は代表的なエディブルフラワー。乾燥や酢漬けなど、保存食にしておくと季節を問わず花の料理を楽しめます。
花茶、花酒、花のデザートなど、手作りするのも楽しいです。










