マジョラムとは、学名「Origanum」で表される植物のことで、その中にオレガノも含まれます
フランス料理、イタリア料理、ギリシャ料理に、よく使われるハーブです
ギリシャ語から派生した「margoram」は「山の悦び」という意味
そのため「幸福のハーブ」として祝い事に使われていたのがマジョラムです
例えば、花輪にして新郎新婦が身につけると幸福をもたらすと言われていました
マジョラムとは
マジョラムには様々な呼び名がありますが、大きく3種類に分けられます
どれも地中海沿岸地方が原産ですが、ヨーロッパ全土に生えている野草
原産地によって微妙に味や香りが違い、最も味と香りが強いのがオレガノです
【スイート・マジョラム】
●Origanum majorana(学名)
主にフランス料理で使われます
結び目のような(notted)花の形から「ノッテド・マジョラム」とも呼ばれます
あるいは「ガーデン・マジョラム」という呼び名もあります
【オレガノ】
●Origanum valugare(学名)
主にイタリア料理で使われます
あるいは「ワイルド・マジョラム」「コモン・マジョラム」とも呼ばれます
【ポット・マジョラム】
●Origanum onites(学名)
地中海沿岸が原産地で、主にギリシャ料理で使われます
オレガノとマジョラムは別のハーブという印象を受けますが、同じ種類の植物です
例えば、コリアンダーがパクチーとも呼ばれたり、ウコンがターメリックと呼ばれたりするように
国や地域によって違った呼び名もあるため、紛らわしくなってしまいます
マジョラムを使った料理
マジョラムは様々な料理に使われます
例えば、カレー、野菜スープなど煮込み料理のスパイスや、サラダなど
サラダに使いやすいのがマジョラム入りのハーブソルト
オリーブオイルと一緒にかけるだけで美味しくなり、「カルパッチョ」にも合います
あるいは「鶏肉」にかけて蒸し焼きすれば、簡単で美味しいサラダチキンになります
【フランス料理】
主にフランス料理に使われるのが「スイート・マジョラム」です
甘い香りと、かすかな苦みがありますが、最も味が繊細で、香りもまろやか
そのため新鮮なマジョラムの葉を「サラダ」に加えたりします
乾燥させると香りが強くなり「ハーブティ」としても飲めます
肉料理との相性も良く、「ハンバーグ」に入れたりします
●マジョラム・ジャム
マジョラムの香りを付けた「ジャム」は、肉料理のソースにも使われます
例えば、ロースト・ポークやロースト・チキンに添える
よく肉料理に使われるのは、リンゴジャムです
煮詰める最後のほうでマジョラムの枝を1本加えます
そして香りを移したら、マジョラムの枝は取り除いてから瓶などに入れて保存します
【イタリア料理】
味も香りも強いオレガノは、主に「パスタ」などのイタリア料理で使われます
そして「ピザ」にも不可欠なハーブです
●トマトとオレガノのピザ
ブラックオリーブのシンプルなピザには、オレガノを加えたトマトソースを使います
オレガノの強い風味がピッタリ
特に乾燥させたオレガノは、より香りが強くなります
●ピザの作り方
まずピザ生地にトマトソースを塗り、オリーブとオレガノを散らして焼きます
- 耐熱皿にクッキング・シートを敷き「ピザ生地」を乗せる
- ピザ生地に「トマトソース」をかけて伸ばす
- トマトソースの上に「ブラック・オリーブ」と「オレガノの葉」を散らす
- 全体に「オリーブオイル」を塗ってから、115℃に熱したオーブンで15~20分焼く
●トマトソースの作り方
トマトソースは作り置きでき、パスタソースとしても使えます
- 玉ねぎ(2個)
- ニンニク(3片)
- オリーブオイル(大さじ2)
- イタリアン・トマト(450g)
- トマト・ペースト(大さじ1)
- 赤唐辛子(1本)
- オレガノ(大さじ2)
- 砂糖(ひとつまみ)
- 玉ねぎ、ニンニクは、みじん切り
- 小さめの片手鍋にオリーブオイルを入れて弱火にかける
- 玉ねぎとニンニクを茶色くならないよう柔らかく炒める
- イタリアン・トマト、トマト・ペースト、赤唐辛子、を加えて塩コショウ
- 刻んだオレガノ、砂糖を加え、蓋をせず弱火で20分煮詰める
煮沸消毒した瓶に詰めるか、冷凍保存しておくと便利です
●ピザ生地の作り方
- ドライイースト(大さじ1)
- 塩(ひとつまみ)
- 小麦粉(1+3/4カップ)
- オリーブオイル(大さじ1)
- ドライイースト、塩を小麦粉に加えてから、オリーブオイルを加える
- ぬるま湯(1カップ)を少しずつ加えながら手でこねて柔らかな生地にする
- ラップで覆って暖かい場所に2時間くらいおいて発酵させる
- ピザ生地がふくらんだら手でこねて丸める
- 生地の周囲を少し厚めにしながら薄く丸く伸ばす
【ギリシャ料理】
ギリシャ料理に使われるのが、地中海沿岸が原産のポット・マジョラムです
たっぷりの「オリーブ油」と「野菜」を使うのがギリシャ料理の特徴です
なぜならギリシャ正教会の戒律で、肉食を禁じていたことに由来します
とはいえ地中海に近いギリシャでは、豊富な魚介類も使われます
オレガノで代用した「ギリシャ風」料理も欧米では人気があります
●ギリシャ風サラダ
欧米で「グリークサラダ」と呼ばれるサラダで、必ず入れる野菜が「トマト」「チーズ」「玉ねぎ」
その他にはキューリやレタスなど夏野菜がピッタリのサラダです
ドレッシングは「オリーブ油」「酢」「塩」「ポット・マジョラム」を加えて混ぜます
あるいはオレガノで代用してもOK
レモン汁を使うと香りが良くなります
- トマト(6個)
- 玉ねぎ(1個)
- チーズ(170g)
- レタスやエンダイブ
- ブラックオリーブ(2/3カップ)
- レモン汁(大さじ1)
- オリーブオイル(大さじ3)
- 新鮮なオレガノの葉
- トマト、玉ねぎ、チーズをサイコロ型に切る
- 平たい皿やサラダボウルにレタスやエンダイブの葉をちぎって敷く
- トマト、玉ねぎ、チーズを乗せ、ブラックオリーブを散らす
- レモン汁に塩コショウを混ぜ、オリーブオイルを少しずつ加えてドレッシングを作る
- サラダにドレッシングをかけ、新鮮なオレガノの葉を全体に散らす
マジョラムの利用法
マジョラムは、暮らしの様々な場面で役立てられてきたハーブです
主に「フレグランス」「薬草」「観賞用」として利用されてきました
【マジョラムのフレグランス】
ヨーロッパでは、新鮮なマジョラムの葉を床にまいて、ルームフレグランスにしたといいます
マジョラムは、乾燥させても風味や香りが損なわれません
そのため香りの良さを活かした使い方がされることの多いハーブです
例えばスイート・マジョラムの葉を乾燥させて「ポプリ」や「サシェ」にします
粉状にしたマジョラムの葉は、嗅ぎタバコとして用いられていました
ミントに似た、爽やかな香りです
ハーブティとして飲んでも美味しく、薬効が得られます
【マジョラムの薬効】
多くのハーブ同様、マジョラムも様々な薬効がある薬草です
例えば「気管支炎」「風邪」「のどの痛み」「肩こり」に効果があるとされます
そしてマジョラムを食べると「脳の栄養」になり「脳の疲れを取る」とも言われます
マジョラムのローションは「リューマチ」による関節の痛みや腫れを和らげるとされます
エッセンシャルオイルを「マッサージ」に使います
マジョラム・オイルは、ヘア・トニックに加えて使われることもありました
【観賞用マジョラム】
マジョラムには様々な近縁種があり、観賞用マジョラムは花オレガノとも呼ばれます
花のように見える部分はガクですが、それが小さな花のように見えます
●オレガノ・ケント・ビューティ
気温によってガクの色合いが変化し、5~7月、9~11月ころにはピンク色になります
垂れ下がるように伸びるので、花壇の縁取りやハンギングバスケットに植えると綺麗です
日本に入ってきたのは1990年ころからだそうです
観賞用のオレガノは次々と新しい品種が現れるので、つい集めたくなってしまいます
ケントビューティより寒さ暑さに強い品種の花オレガノ
丸くてシルバーの葉が美しい花オレガノ
ピンクの発色が良い花オレガノ
寒冷地ほど色が濃くなる花オレガノ
●ゴールデン・マジョラム
黄色い葉のゴールデン・マジョラムは庭やブーケの彩りにピッタリ
葉緑体が少ないと、葉に色がつきます
そのためカラーリーフは弱いものが多いですが、ゴールデン・マジョラムは丈夫です
ある程度の低温に当たらないと、葉が黄色くなりません
そのため、ずっと温かい地域だと緑色になってしまうこともあります
ゴールデンリーフのオレガノも観賞用です
カラーリーフのオレガノで、黄緑色の葉もあります
あまり知られていないためか売れない、とぼやいている農場長のブログがありました
マジョラムの栽培法
寒さにも暑さにも強いのですが、湿気には弱いハーブです
そのため混みあってきたら刈り込んで「風通し良く」しておくのが枯らさないコツです
特に夏は根元が蒸れやすいので、2~3枚の葉を残す程度まで切って風通し良くしておきます
育てながら先端の葉を摘み取って利用していると、切ったところから次々と葉が増えます
初夏に花が咲きますが、この頃の葉が最も香り豊かです
ドライフラワーやポプリにして香りを楽しめます
【マジョラムの種まき】
種まきの適期は「4月~5月」か「9月中旬~10月」
暖地の場合は春まきのほうが育てやすく、「屋外で冬越し」させると強く育ちます
スイートマジョラムの種
オレガノの種
ポットマジョラムの種
ポットマジョラムは、ドライハーブも苗もあまり市販されていません
種なら手に入るので、育ててみたいハーブです
発芽する前も後も、上から水やりせずに、鉢底から水を吸わせる方が芽を傷めません
そして受け皿に溜まった水は捨て、土が湿りすぎないようにします
ゆっくり育つのは、どの多年草にも共通した性質です
季節にもよりますが、芽が出るまで2~4週間ほどかかります
そのため芽が出るまでは、土が乾かないよう、ジメジメしないよう、注意が必要です
本葉が数枚出てきたら、土の上から水やりして育てます
【マジョラムの植え付け】
秋に種まきしたものは、翌年の「3~5月」に植え付け
春に種まきしたものは「10月~6月」に植え付けできます
ポイントは「日当たりの良い場所」で育てることで、冬が寒すぎない場所が適しています
マジョラムやオレガノの原産地である地中海沿岸は、石灰質の土です
そのため酸性土壌の場合は、土に「石灰」を少し混ぜてから植え付けるとよく育ちます
痩せ地で育つハーブなので、あまり肥料は必要ありません
夏は土が乾燥しすぎないよう注意が必要ですが、ジメジメさせないことが大事です
【マジョラムの鉢植え】
鉢植えの場合は、8号(直径24cm)くらいの鉢に植え付けします
とても成長が速いので、大きめの鉢が適しています
苗を購入する場合、食用にするなら「ハーブ苗」と明記されたものを選ぶことが大事です
なぜなら観賞用ハーブには、矮化剤という農薬が使われていることが多いからです
ハーブは丈夫なので、基本的な育て方さえ守れば栽培は簡単です。ただし鉢植えを室内で育てる場合「日当たり」が足りないことがあります。乾燥気味、肥料は少なめ、と言われるハーブでも鉢植えには「水やり」「肥料」が欠かせません。初心者だと加減が分からないために失敗しがちです。
当ブログ記事を整理してアマゾンKindleの電子書籍と紙の本で出版しています
Unlimited会員なら無料でダウンロードできますので、よろしかったら覗いてみてください
ハーブの塗り絵ブックは、様々なハーブの学名も記してあります
インテリアやギフトにも使える美しい図柄です