梅干作りは、梅の香りを楽しめることも大きな喜びです
そして梅が手に入る時期は限られているので、季節を感じながら作業できます
塩だけで作る昔ながらの梅干しは、常温で何年でももつ保存食です
なぜなら要冷蔵の市販品とは違い、本物の梅干しには防腐効果があります
時間と手間はかかりますが、手順さえ間違えなければ、失敗なく作れます
梅干作りの時期

梅が出回るのは、6月中旬からの短い期間しかありません
そして梅干作りには1カ月以上かかるので、この期間は旅行などの予定は入れられません
- 6月中旬:塩漬け(1週間くらい)
- 6月末~7月初め:赤シソに浸ける
- 7月中旬~下旬:梅雨が明けたら土用干し
ちょうど梅雨時から夏休み前くらいの時期です
梅干作りの道具

塩や酸に強い「陶器」「ガラス」「ほうろう」が、梅干作りには適しています
必要な道具は以下の4つです
- 容器
- 重石
- 落とし蓋
- ザル
まず浸けておくための容器は、梅の倍量の大きさものを用意します
例えば、梅酒用の瓶でもいいし、陶器やホウロウの鍋なども使えます

落し蓋は、容器に入る大きさの陶器の皿が使えます
木製の落とし蓋では、塩と酸でボロボロになってしまいます
重石は、梅の2倍くらいの重さのものを使います
市販の重石もありますが、重さがあれば石や置物などでも代用できます
これらの道具類は、全て熱湯をかけて消毒し、焼酎で湿らせた布巾で拭いておきます
梅を干す時のザルは、大きくて平らな竹製などが最適です
梅干作りの材料

使用するのは、赤みがかった黄色の完熟梅です
あるいは自宅の庭で育てた梅でも梅干作りができます
完熟していない場合には、ザルに広げて2~3日ほど日陰に置けばOKです
- 梅(3㎏)
- 粗塩(450g)
- ホワイトリカー(1/4カップ)
- 赤シソ(250g)
- 粗塩(50g)
梅干作りに最適なのは、梅にからみやすい「粗塩」です
そして減塩にするとしても、梅の15%くらいは入れます
なぜなら塩を少なくし過ぎると、カビが生えることがあるからです
梅干作りの方法

梅干作りの工程には、以下の3つがあります
- 梅を塩漬けする
- 赤シソに浸ける
- 天日に干す
プロセスには全て意味があるので、きっちり手を抜かないのがコツです
【梅を塩漬けする】
- 傷や斑点のある梅は取り除き、流水でよく洗う
- ザルに上げて水けをきり、乾いた布巾で水気を拭き取る
- 竹串でヘタを取り除く
- 消毒した容器に塩ひとつかみを振り入れ、梅を隙間なく詰める
- 塩を振って梅を重ね、一番上に塩を振りかける
- ホワイトリカーを回しかける
- 消毒した皿を乗せ、重石を乗せて、布巾などで覆う
- 風通しの良い冷暗所に置く
- 4~5日して水が上がってきたら、重石を半分にする
【梅を赤シソに浸ける】
赤シソが出回るのは6月下旬ころからです
葉が細かく縮れ、両面が赤いものが適しています
- 赤シソの葉だけで重さを計り、その20%の粗塩を用意する
- ボウルに赤シソの葉を入れて水洗いし、ザルに上げて水けをきる
- 赤シソに粗塩の半量を振りかけて全体に馴染ませる
- しんなりしたら強くもみ、葉を絞って汁を捨てる
- ボウルに赤シソを入れて残りの塩を振り、同様にもんで汁を捨てる
- 赤シソをボウルに入れ、梅から出た水を1/2カップ注ぎ入れる
- ほぐした赤シソの葉を塩漬けした梅の上に乗せ、汁も回しかける
- 落し蓋を乗せて容器の蓋を閉め、冷暗所に置く
もしカビが生えた場合は、その部分だけ取り除いて焼酎を吹きかけておけばOKです
【天日に干す】
梅雨が明けたら、土用干しを始めます
梅の良い香りを楽しめるのが、この時期です
- 天気の良い日の朝、梅を一つずつ箸で取り出し、大きなザルに平らに並べる
- 赤シソも水気を絞って広げ、日当たりが良く風通しの良い場所に置く
- 昼頃になったら梅を裏返し、夕方になったら室内に置く
- 二日目も同様にして干し、夜は室内へ入れる
- 三日目は朝から干して夜も外に置いたまま夜露に当てる
- 四日目に容器に残った漬け汁も太陽に当てて消毒する
三日三晩の天日干しをするので、朝から太陽が照り付ける時期に行います
途中で雨が降った場合は、室内に置いて待ちます
連続していなくても、三日三晩は天日に当てればOKです
そうしたら梅と赤シソを取り出し、陶器やガラスの容器に入れて保存します
梅干作りの副産物

梅を取り出した後の漬け汁は「梅酢」として使えます
そして梅と共に浸けた赤紫蘇から作れるのが「ゆかり」です
すると、ゆかりでおにぎりを作ったり、梅酢でシソジュースを作ったりできます
【ゆかりの作り方】
天日干しした赤シソを乾燥させて粉上にしたのが「ゆかり」です
ザルに広げて2~3日さらに乾燥させ、フードプロセッサなどで砕きます
すると冷暗所で3か月くらい、冷蔵庫なら1年くらい保存可能です
【シソジュースの作り方】
氷を入れて水で割るだけで美味しい紫蘇ジュース
白ワインで割ったり、炭酸で割ったりしても美味しく、シャンパンに少し加えても綺麗です
梅干しを作らなくても、シソジュースだけ作ることもできます
<材料>
- 赤しそ(1㎏)
- 水(2リットル)
- 砂糖(1㎏)
- 酢(2カップ)
<作り方>
酢を使うので、酸に強いステンレスやホウロウの鍋を使います
- シソは葉だけ摘み取って水洗いし、ザルに広げて水気を切る
- 大きめの鍋に水を入れて沸騰させる
- シソの葉を1/4量ずつくらい入れ、5分くらい煮る
- ボウルとザルを重ねて煮汁を濾し、シソの葉を絞る
- 濾した煮汁を鍋に戻し、中火にかけて砂糖を加え、アクを取りながら10分ほど煮る
- 酢を加えて混ぜ、火を止める
酢を加えた瞬間に、パッと綺麗なピンク色に変化します
そうしたら冷まして保存瓶に入れ、冷蔵庫で1年くらい保存できます
関連記事
梅酢のほかに、リンゴ酢も家庭で作ることができます

昔ながらの方法で作るアップルビネガーは、とてもシンプル。基本的には、リンゴから果汁を絞り、リンゴジュースを瓶に入れておくだけです。甘みのあるリンゴをベースにして、酸味のあるリンゴをブレンドすると美味しくなります。1リットルのリンゴから作れるリンゴ酢の量は、380mlほどです。
梅酒を作るように、秋には木の実で果実酒を作るのも楽しい時間です

生では美味しくない木の実や、小さすぎて食べにくい木の実。果実酒にすれば美味しくなります。例えば「ガマズミ」「ヤマナシ」「サルナシ」「コケモモ」など庭木や街路樹の実です。秋に仕込んだ果実酒はクリスマスや年末に飲めます。
当ブログ記事を整理して電子書籍と紙の本で出版しています
Unlimited会員なら無料でダウンロードできますので、よろしかったら覗いてみてください










