【手紡ぎ糸】羊毛を撚り合わせて糸にする方法

上流階級の裕福な家庭の女性たちの間で「糸紡ぎ」が流行していた時代があったそうです

美しいデザインの道具をサロンに持って行き、おしゃべりしながらの糸紡ぎ

それは、ゆったりとした優雅な過ごし方だったようです

工業化以前のアメリカでは家庭の主婦が糸を紡いでいました

糸紡ぎは、小さく軽い道具で、空き時間にできる単純作業です

紡ぐ繊維の準備

羊毛

糸に紡げる繊維は様々あります

アンゴラやヤギなどの「動物の毛」、リネンやコットンなどの「植物」

中でも「羊毛」が最も紡ぎやすいと言われます

糸紡ぎは、一人で空想にふけったりしながらリラックスできる時間

指の間をすり抜ける柔らかな羊毛の感触が気持ちを癒してくれます

ペットをブラッシングした時に毛を集めておいて、糸に紡ぐことも可能です

ペットの毛を集めたら、糸に紡ぐ前に洗っておきます



【ペットの毛を糸にする場合の下準備】

大きな洗面器やシンクに「ぬるま湯」と「中性洗剤」を入れて毛を洗います

この時に水面に毛を浮かべてから沈め「上から水をかけない」のがコツ

水をかけると繊維がからまったり偏ったりするからです

ほとんどの汚れは「毛の先端」に集まります

親指で優しくこすり、溜まっている汚れを取り除きます

そっと絞って汚れた水を捨て、きれいなぬるま湯に沈めて汚れを落とします

毛をすすいだら、「網」に載せて乾かします

洗って乾かした毛には、薄めた「ラノリンオイル」を軽くスプレーします

ラノリンとは動物の皮脂に含まれる蠟

糸の滑りを良くし、防水性を持たせるためのものです

ラノリンを含んだハンドローション1:水5の割合で混ぜればOK

羊毛500~600gに対して1~2回スプレーし、一晩おきます

ラノリン入り洗剤なら、すすぎは不要

衣類の洗濯のほか、ペットのシャンプーとしても使えます

ペットの毛を漉いて糸にする場合におすすめです



市販の羊毛を使うならラノリンがコーティングされた「グリージーウール」が最適

滑りが良いので、早く、楽に糸紡ぎができるからです

アルパカやカシミアなど高級ウールもあります

【カーダーで繊維をふわふわにする】

動物の毛や綿花を糸にする前に「カーディング」という作業をします

採取した綿花や動物の毛は、クネクネしていたり、ゴワゴワしているからです

繊維をふわふわにするだけでなく、色を混ぜたりもできます

金属製の犬用ブラシや髪の毛用ブラシで梳くこともできます

ただ分量が多い場合は専用のカーダーを使う方が楽

カーダーは2つ一組になっています

片方に綿花や毛を乗せ、もう片方で撫でるように引っ張ります

すると繊維が均等に分散され、ふわふわになります

できた繊維を手の平で転がして細長くしたら糸紡ぎの準備OKです

ドロップスピンドルで手紡ぎの基本を習得

スピンドルの使い方

糸紡ぎの基本を習得するには、ドロップスピンドルが最適

ドロップスピンドルの仕組みは非常にシンプルだからです

スピンドルとはコマのこと

糸を垂らしたスピンドルを回転させると、羊毛がねじれて糸になります

それをコマ上の棒に巻き付けていきます

【ドロップスピンドルの使い方】

スピンドルは、くるくる回しながら、ねじった糸を巻きつけていきます

  1. 羊毛を手でねじって糸にする
  2. 糸にした部分をスピンドルのベースの下に巻き付ける
  3. 糸をシャフトの上へと伸ばして先端に巻き付ける
  4. 片手の親指と人差し指で糸を持ち、もう片方の手でスピンドルを回す
  5. 糸がシャフトに巻き付いたらシャフトの上の繊維をねじって糸にする

長い棒は「シャフト」と呼びます

丸いコマの部分が「ベース」です

色々なスピンドル

昔の女性たちに流行したのがスピンドルのデザイン性

形や色など様々なデザインがあるので、それをサロンで見せ合っていたんですね

バッグに入るような小さなものです


アシュフォードはニュージーランド製

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羊毛産業が盛んな国なので、今でも糸紡ぎをする人が多くいるんでしょうか

こちらの本には詳しく写真入りで解説してあります

ドロップスピンドルは少量の糸を紡ぐのに適した道具

根気よく続ければ大量の糸でも紡げます

手早く効率よく糸を紡げるのが「紡ぎ車」です

手早く糸が紡げる紡ぎ車

紡ぎ車

羊毛などを撚り合わせて糸にして、紡錘に巻き付けるのが糸車

糸車では自動的に糸がボビンに巻き取られます

そのためドロップスピンドルより、ずっと早く糸を紡げます

足で踏む時のゆったりしたリズムも紡ぎ手の楽しみです

紡ぎ車の車輪(はずみ車)を「フライヤー」と呼びます

踏み板を足で踏むとフライヤーが回転します

その時に繊維を撚り合わせて糸にしていきます

糸車にはフライヤーの位置が低いタイプと高いタイプがあります

低い位置にフライヤーが付いた糸車はコンパクト

幅45×奥行き50×高さ73cm

椅子に腰かけてペダルを踏み、フライヤーに糸を巻きつけていきます

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折り畳み式の紡ぎ車はバッグも付いているので持ち運びに便利

折りたたむと厚み9cmほどなので収納場所にも困りません

幅41×奥行き42×高さ65cm

高い位置にフライヤーが付いた糸車は据え置き式

幅36×奥行き81×高さ84cm



紡ぎ車は、手と足の動きを覚えるのに少し根気が要ります

でも一度マスターしてしまえば簡単

細い糸や特殊な質感の糸も作れ、紡ぎ作業に集中できます

こんな原始的なものも

紡ぎ糸

繊維をねじって巻き付ける、それだけの仕組みなんですね

紡いだ糸はボビンに巻かれた状態になっています

そのまま編み物に使えますが、染色や機織りする場合は「かせとり」します

糸を紡いだ後の「かせとり」

かせとり

ボビンに巻かれている糸を大きな輪にするのが「かせとり」です

糸を引っ張って、ねじりを落ち着かせる効果があります

輪になった糸をねじったものが「糸かせ」

糸かせ

昔は糸かせの状態で売られていたそうです

そのほうが染色しやすいから

機織り機で布にする時にも、かせとりして「撚り止め」をします

撚り止めは、糸を引っ張って、よじれを止めるための作業

お湯で糸を煮てから、引っ張った状態で干して乾かします

ボビンに巻いた状態では煮るにも干すにも不便なので糸を「輪」にします

糸を巻きつける道具を「ニディノディ」と呼びます

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ニディノディには様々なサイズがあります

少量の糸ならSサイズでも充分

大量の糸を紡いだなら、大きな輪にしたほうが便利です

くるくる回せるタイプもあります

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手回し「ろくろ」を使う人もいます

糸巻が手早くできるのが「かせくり機」

折りたためて、大きさも変えられるタイプが便利

収納ケースもついてて使わない時はコンパクトに仕舞えます

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玉巻き機もあると小さな毛糸玉に巻いておくことができます

1玉くらいなら手で巻いてもいいけれど、たくさんの毛糸なら玉巻き機が便利

ハンドルをくるくる回すだけなので簡単。あっという間に糸が巻けて時短になります



糸ができたら織り機で布を織ってみるのも面白そう

機織りも構造はシンプルです

布を織るという楽しみ♪原始的な織り機でも織れる驚き

【機織り】やり方と織り機のシンプルな仕組み

機織りは、やり方を知ると非常にシンプル。額縁のような四角い「枠」だけでも布が織れます。

庭の植物から繊維を取って、布を織ってみたい

ガーデニングと機織り 植物から作る 衣類と雑貨

【麻】植物の繊維から糸を作って布に織る方法

昔の主婦は「糸紡ぎ」や「機織り」を家事として日常的に行っていました。現在でも、趣味として糸紡ぎや機織りをする人がいます。黙々と手を動かすだけの単純作業をしている時は、まるで瞑想のような時間です。

ペットの毛、庭で育てた綿花や亜麻などを糸にする

セーターを編んだり、ラグなどを作ったり、機織り機で布にしたり

じっくり、のんびりした作業には、瞑想効果もあるような気がします

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