方角によって庭木の種類を決めると、家の冷暖房効率も上がります
夏の「日差し」を和らげたり、冬の「北風」を防ぐことができるからです
例えば背の高い常緑樹を庭の北側に植えると「防風林」の働きをします
樹木の種類と性質に応じて植え場所を決めるのがポイントです
庭の方位と庭木の種類
家の北側には「常緑樹」、南側には「落葉樹」を植えると快適。
冬も葉を落とさない常緑樹は、北風を遮ってくれます。
葉を落とす落葉樹は、冬に日差しを遮らないので温かく過ごせます。
庭の広さに応じたサイズの木を選ぶことも大事です。
成長後の大きさを考慮しておかないと、後で邪魔になることもあります。
庭の北側に適した「常緑樹」
庭の北側には冬も葉を落とさない「常緑樹」が最適です。
北からの寒気を遮り、北風を防ぐ防風林として役立ちます。
防風林として使う場合には「北風や寒さに強い」常緑樹であることが大事です。
常緑樹でも、葉が丸い「広葉樹は寒さに弱い」ので防風林としては使えません。
庭の北側に向くのは日陰や寒さに強く、葉が密集している「針葉樹」です。
【北側に向く背が低い常緑樹】
狭い庭では大木に成長するような木は植えられません。
例えば本来は大きくなるのが「コニファー」です。
小さな時はクリスマスツリーのような綺麗な形で売られています。
円錐形の綺麗な形を保つには、剪定せずに育てなければいけません。
そうすると20mにも成長するような木です。
住宅密集地の狭い庭では、防風林より目隠しが目的になります。
ですから樹高3~4メートル程度の常緑樹で十分です。
広い庭の場合なら、背が高くなる木の足元に、背が低い木を植えて風を遮ります。
●アオキ
アオキ科アオキ属の常緑低木で、樹高2~3m。
半日陰を好み、寒さに強い木です。
原産地は日本で、山地に自生しています。
関東から西の沖縄まで生えている木です。
枝も青いためアオキと呼ばれます。
葉は8~20cmの楕円形で、厚みがあり、光沢があります。
防風林の足元に植えて北風を防ぐのにも適しています。
3~5月に紫色の穂状の花が枝先に咲きます。
秋には2cmくらいの卵型の実が赤く熟し、正月飾りなどに使えます。
熟した実から採った種でも育てられ、枝を水に挿すだけで発根して挿し木にできます。
雪が多い地方に最適なのが「ヒメアオキ」。
積雪に適応した変種なので、雪国の庭にピッタリです。
本州北部から北海道の日本海側に自生しています。
●ナンテン
ナンテンはメギ科ナンテン属の常緑低木。
樹高1~3mです。
暖地なら4~5mまで育つこともあります。
暑さにも寒さにも強い木です。
本州より南なら地植えできます。
とはいえ本来は暖かい気候を好み、暖地では大きく育ちます。
濃い緑色の葉が枝先に集まって付きます。
6月ころ円錐状の白い花がたくさん咲きます。
晩秋から初冬に実がなり、10月には熟して赤くなります。
園芸品種のオタフクナンテンは、実が付かず、葉が紅葉します。
高さ50cmくらいなので、庭の下草として使うのに丁度いい大きさ。
オカメナンテンとも呼ばれる葉が丸い品種です。
「難を転ずる」縁起の良い木としても知られ、庭の鬼門に植えたりします。
福寿草と一緒に植えたり、玄関前やトイレ前などに植えたり。
贈答用の赤飯にナンテンの葉を乗せるのも縁起が良いためです。
【北側に向く背が高い針葉樹】
広い敷地なら、大きく成長する常緑樹でも植えられます。
背が高くなる常緑樹を密に植えると北風をブロックできます。
葉のない部分を埋めるように背の低い常緑樹を植えると、さらに効果的です。
背が高くなる針葉樹は「コニファー」や「モミノキ」など。
「ソヨゴ」「シラカシ」「アセビ」「ユズリハ」も日陰や寒さに強く背が高い常緑樹です。
●コニファー
コニファーとは針葉樹の総称です。
針のように細長い葉の常緑樹です。
日当たりが良く風通しの良い場所を好みます。
「マツ科」「ヒノキ科」「イチイ科」に分類されます。
香りの良いのがヒノキ科の針葉樹。
高温多湿にも強いので日本の気候に合っています。
ヒノキは樹高が30~40mに達します。
クリスマスツリーとして知られるモミノキは、マツ科モミ属の常緑針葉樹。
寒さには強いですが、やや高温多湿には弱い木です。
樹高40mと大きく育ちます。
枝が四方八方へ伸び、広いスペースが必要ですが、枝葉が密集して防風林に最適です。
松の木は、円錐形の形を保たないのであれば、剪定で小さくもできます。
●シラカシ
ブナ科コナラ属の常緑高木。
樹高20mにもなるので広い庭向きです。
狭い場所には向いていません。
風通しが悪いと下の方から枝が折れがち。
うどんこ病も発生しやすくなります。
福島県より西側の山地に自生している木です。
防風林、防火樹、街路樹、庭木、生垣などに利用されています。
葉は5~12cmの長い楕円形。
6~9cmの細長く黄褐色の雄花と上向きの雌花が咲きます。
10月ころには固いドングリの実がなります。
●ユズリハ
ユズリハ科ユズリハ属の常緑高木。
樹高10mくらい。
防火樹として使われることもある木です。
福島県より西に自生しています。
四国、九州、沖縄までの暖地に生える木。
長さ20cmくらいの細長い葉が枝先に付きます。
枝の先に若葉が出ると、前年の葉がゆずるようにして落ちるためユズリハと呼ばれます。
そのため親から子へと代を引き継ぐ縁起物として正月飾りに使ったり、庭に植えられます。
5~6月には赤紫色の雄花が咲き、10~11月には実が熟して黒褐色になります。
●ソヨゴ
モチノキ科モチノキ属の小高木。
樹高は3~7m。
新潟県と宮城県が北限です。
5~6月に白い小さな花が咲きます。
10~11月に生る真っ赤な実が目を引く木です。
日陰に強く、山のふもとや森の近くなど、周囲に高木が繁っていても育ちます。
成長が遅く、すぐ大木に育つわけではありません。
剪定をしなくても、自然と綺麗な樹形を保てます。
葉は1~2cmの楕円形で、冬でも青々と茂ります。
根が浅く張るので台風などで倒れることがあります。
あまり高くならないよう樹高を抑えたほうが安全です。
風でソヨソヨと音を立てることからソヨゴと呼ばれています。
庭の南と西に向く「落葉樹」
庭の南と西には葉が大きな落葉樹が最適。
夏は直射日光を遮り、冬は葉を落として日当たりが良くなります。
四季の変化を楽しめるのも、落葉樹の魅力です。
季節ごとに「新緑」「開花」「果実」「紅葉」「冬木立」と表情を変えます。
南向きのリビングの正面などに植えて、庭のシンボルツリーにも最適です。
【落葉樹の特徴】
落葉樹を植える場合には、その場所の気候や土質に注意がいります。
多くの落葉樹は「低温」と「乾燥」に弱いためです。
冬の寒さが厳しい北国なら、寒さに強い木を選ぶ必要があります。
住んでいる地域に自生している落葉樹なら、庭木として植えてもうまく育ちます。
落葉樹に適した環境は「日当たりが良く」「温かい」庭の南側がです。
ですが水はけが良すぎる砂地など水分不足になりがち。
水もちの悪い砂土なら、堆肥などを鋤き込んで土壌改良する必要があります。
落葉樹は葉が地面に落ちて自然と腐葉土になるので、次第に土質は良くなっていきます。
【紅葉を楽しめる落葉樹】
モミジなど紅葉を楽しめる落葉樹は、庭のシンボルツリーにピッタリ。
四季折々の美しさを楽しめます。
「カエデ」とはムクロジ科カエデ属の落葉高木の総称で、英語圏では「メープル」。
日本に自生しているカエデだけでも26種類もあります。
ですから住んでいる地域に合う品種が見つけられるはずです。
関東より「南」に適しているのが「イロハモミジ」。
福島県より南の地域に自生してい日本の代表的な紅葉です。
目に良いとされる「メグスリノキ」もカエデの一種で、関東以南に自生しています。
北国にも適しているのが「イタヤカエデ」や「サトウカエデ」。
北海道や秋田県にも自生しています。
サトウカエデからは少量ながらメープルシロップが採れます。
●イロハモミジ
ムクロジ科カエデ属の落葉高木。
樹高は15mくらい。
幹の太さは80cm以上になります。
葉の大きさは3.5~6cmくらい。
4~5月に5~6cmの小さな紫色の花が咲きます。
夏から秋には1.5cmくらいの羽根がついた実が風に飛ばされ地面に種を落とします。
10~12月に黄褐色から紅色へと紅葉します。
標高1000mくらいまでの低い山に生えています。
●イタヤカエデ
ムクロジ科カエデ属の落葉高木。
樹高20m。
幹の太さは1メートルにも達します。
葉は5~10cmくらいの大きさ。
形がはサトウカエデと似ています。
北海道から秋田県あたりの北国に自生している木です。
北海道のイタヤカエデは、エゾイタヤ、トキワカエデとも呼ばれます。
少量ながらイタヤカエデからもシロップが採れます。
4~5月に小さな淡い黄色の花が咲き、長さ1.5cmくらいの実がなります。
秋になると黄色く色づいて落葉します。
●サトウカエデ
ムクロジ科カエデ属の落葉高木。
カナダ国旗の図案に使われている木。
北米大陸が原産です。
樹高は30~40m。
かなり大きくなるので、狭い庭には植えられません。
サトウカエデの樹液を採取して煮詰めたものがメープルシロップです。
幹に穴を開けて管を通し、バケツなどで受けるだけで簡単に採取できます。
広い敷地があれば、自家製メープルシロップを楽しめます。
日本に入ってきたのは明治時代からで、主に街路樹などに使われています。
●収穫を楽しめる果樹
果樹は、実を収穫するだけでなく花も楽しめる木です。
実がなる木の多くがバラ科の果樹で、美しい花を咲かせます。
- サクランボを収穫できる「オウトウ」
- 梅酒や梅干を作れる「ウメ」
- 甘い桃を収穫できる「モモ」
多くの果樹は原産地が南国のため寒さに弱い傾向があります。
ですから地域の気候に適した果樹を選んで植えることが大事です。
庭に植える果樹は「気候」に適した種類を選ぶことが大事です。土質などは変えられますが、「気温」や「湿度」は変えられません。北国で南国果樹を育てるのは無理です。
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