生えている雑草を見るだけで、土壌診断ができます
なぜなら、そこの土質に合った雑草の種だけが発芽できるからです
例えば火山の噴火などで裸地になっても、コケ類なら空気中の水分だけで生育できます
コケ類によって土に養分や水分が蓄えられると、他の植物も芽を出します
そうして次第に土が肥沃になるにつれて、生えてくる雑草が変わります
瘦せた土地に生える雑草で土壌診断
人の手が入らず、雑草が生い茂っている「荒地」の多くは、痩せた土地です
そんな養分の少ない荒地でも、丈夫な一年草や多年草なら育ちます
例えば以下のような雑草です
- ヒメジョオン
- セイタカアワダチソウ
- ヨモギ
- ススキ
- クズ
野菜や草木を育てるなら、まずは土壌改良が必要な土地です
そのため堆肥や腐葉土をすき込んで養分を補い、保水力を高めます
とはいえ、痩せ地でも育つ草花を植えるのも一つの方法です
例えば「菜の花」「コスモス」「矢車草」「スズラン」「シバザクラ」など
あるいは雑草そのものも、活かして使うことができます
【ヒメジョオン】
道端でも見かけるキク科の越年草で、草丈は30~150cmくらい
5~8月ころに白い花が咲き、綺麗な空気で育つと薄紫の花が咲くと言います
北アメリカ原産で、明治時代に観賞用として導入されました
種子の寿命が35年もある丈夫な草です
【セイタカアワダチソウ】
河原や空き地に群生するキク科の多年草で、草丈100~250cm
秋から11月ころまで黄色い花が咲き、種子と地下茎の両方で増えます
北アメリカ原産で、切り花として導入されました
【ヨモギ】
日当たりの良い場所に生えるキク科の多年草で、草丈は100cm前後くらい
秋の初めに白っぽい小さな花が咲きます
春に生える地表の若芽は食べられ、草餅に入れたり、お灸に使われたりもします
【ススキ】
野原に生えるイネ科の多年草で、草丈は100~200cm
秋の七草のひとつで、十五夜に萩とススキを飾ります
茅葺き屋根の材料としても使われた草です
【クズ】
日本各地に生えるマメ科つる性の多年草で、8~9月に紫色の花が咲きます
根は葛粉や葛根湯の原料で、秋の七草のひとつです
食用、薬用、あるいは天然繊維の原料にもなります
養分がある土に生える雑草で土壌診断
土の中の養分が増えてくると生えてくる雑草には、以下のものがあります
- ツユクサ
- スベリヒユ
- カラスノエンドウ
- アオビユ
- シロザ・アカザ
- スズメノカタビラ
- ノボロギク
肥料を加えなくとも、多くの野菜や草花を育てられる土壌です
【ツユクサ】
日本全土に生えるツユクサ科の一年草で、6~9月の午前中だけ青い花が咲きます
花が咲いている時期は、食用にも薬用にもなります
草丈は15~50cmくらいで、茎は直立せず地面を這います
【スベリヒユ】
スベリヒユ科の一年草で、6~9月に黄色い小さな花が咲きます
草丈は5cmくらいで、赤紫色の光沢のある茎が地面を這うように伸びる、多肉植物です
寒さには弱く、気温が低いと発芽しません
【カラスノエンドウ】
本州から南に生えるマメ科の越年草で、草丈は60~150cmくらい
3~6月に赤紫色の花が咲き、さやが黒くなって、豆を遠くまで飛ばします
秋に発芽して、春に伸びた若芽や豆は食べられます
【アオビユ/ホナガイヌビユ】
温かい場所に生えるヒユ科の一年草で、草丈は40~90cm
7~10月に穂状の花を付ける、熱帯アメリカ原産の帰化植物です
葉はジャマイカやモルディブ料理に使われる食用で、インドではハーブとしても使われます
【シロザ】
古くから日本に生えているアカザ科の一年草で、草丈は高さ100cmくらい
8~10月に緑色の穂状の花が付き、若葉や種子は食べられます
若葉や葉の裏が白い粉に覆われ白っぽく見えます
【アカザ】
日本各地に生えるアカザ科の一年草で、草丈は150cmくらい
9~10月に薄緑色の小さな花が咲き、直立する茎は、秋に木質化します
新芽が赤いのをアカザ、白いのをシロザと呼び、どちらも葉を食用にできます
【スズメノカタビラ】
湿った場所を好むイネ科の一年草または越年草で、草丈は5~20cmくらい
季節を問わず小さな円錐形の花をつけます
全体的に黄緑色で柔らかい草で、地下茎はなく、数本が株立ちになります
【ノボロギク】
日本各地に生えるキク科の一年草または越年草で、高さ20~40cmくらい
5~8月に黄色い花が咲き、種は白い綿毛に乗って繁殖します
タンポポに似たギザギザの葉です
肥えた土に生える雑草で土壌診断
肥えた土に生えてくる雑草には、以下のものがあります
- オオイヌノフグリ
- ハコベ
- ナズナ
- ホトケノザ
- ヒメオドリコソウ
- ハキダメギク
多くの養分を必要とするバラや野菜なども、そのまま育てられる土壌です
【オオイヌノフグリ】
日本各地に生えるオオバコ科の越年草で、草丈は10~20cmくらい
早春に青い花が咲く、ヨーロッパ原産の帰化植物です
秋に発芽して冬に育ち、春の終わりには枯れて夏は種子で過ごします
【ハコベ】
日本各地に生えるナデシコ科の越年草で、草丈は10~30cm
春の七草のひとつで、若い茎や葉を茹でて、お浸しなどにします
4~8月の白い花が咲いている時期は、茎と葉を生薬として使います
乾燥させて歯磨き粉にすると歯槽膿漏を予防すると言われます
【ナズナ】
日本各地に生えるアブラナ科の越年草で、草丈は10~50cmくらい
春から夏に白い小さな花が咲く、春の七草のひとつ
ペンペン草とも呼ばれます
【ホトケノザ】
日本各地に生えるシソ科の一年草または越年草で、高さ10~30cmくらい
3月から6月に薄紫色の花が咲きます
春の七草とは別の植物で、食用にはできません
【ヒメオドリコソウ】
日本各地に生えるシソ科の越年草で、草丈は10~30cmくらい
3月~5月に赤紫色の花が咲き、茎には短い毛が生えています
ヨーロッパ原産の帰化植物です
【ハキダメギク】
日本各地に生えるキク科の一年草で、高さ15~60cmくらい
6月~11月に黄色い花が咲き、茎も葉も柔らかく、白い毛が生えています
北アメリカ原産の帰化植物です
雑草で土壌診断
養分のない裸地に生えてくる、最初の植物は「パイオニアプランツ」と呼ばれます
例えば大気中の水分と光合成だけで生育できる「コケ類」などです
そのため過酷な環境でも育ち、他の植物が生育できる土壌へと改良していく開拓者です
とはいえ現在では、コケしか生えてこないような裸地は、ほとんどありません
裸地になるのは、火山の噴火で溶岩が流れ出したような場合くらいです
特に日本は降水量が多く、温暖な気候のため、雑草が生えない土地はありません
全く人の手が入らない土地では、土壌に適応した植物だけが生き残ります
そうして土質が安定し、できあがったのが「極相」という状態の森です
ところが人が手を加えている庭や畑の土は、常に変化し続けています
【雑草を活かす庭づくり】
雑草で土壌診断しながら、そのまま庭に活かすことができます
例えば、刈り取った雑草を堆肥にしていくことで、次第に土は肥沃になっていきます
そのため除草剤をまいたりせず、土質に合った植物を育てていくのが自然栽培です
自然農法や自然栽培は「農薬や肥料を使わない」「自然に委ねる」栽培方法です。どちらも自然の「生態系」を活かすという考え方が基本にあります。ですから「植物」と「動物」との共生関係や食物連鎖がポイントです。
ただ放置するのではなく、取捨選択しながら、ゆっくり土壌改良をしていきます
肥沃な土を好む花や果樹を育てるなら「堆肥」を入れて養分を増やす必要があります
堆肥を作る時に大事なのは、有機物を十分に「発酵」させることです。完熟していない堆肥を土に混ぜると植物の根を傷めることがあるからです。
【雑草の活かし方】
雑草は、土壌診断や土壌改良の他にも様々な活用方法があります
例えばハーブとして使ったり、カゴ編み材料にするなど、暮しに活かせる植物です
庭に生えてくる雑草の中には、捨ててしまうのが惜しいものがあります。野菜やハーブのように活用できる草があるからです。どんどん摘み取って利用すれば、草取りが楽しい収穫に変わります。
可愛らしい花が咲く草なら、そのまま庭に活かせます
花が綺麗な雑草は庭に活かすと手間がかかりません。自然と生えてくる草なら、その場所の土質や気候に適応しているからです。
あるいは、背の低い雑草なら、グランドカバーとしても活用できます
背の低い雑草は、抜かずに残すとグランドカバーとして活かせます。背が高くなる草だけ抜いていけばいいので簡単。地面を覆うように草が生えていれば、他の雑草は生えなくなっていきます。
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