カゴ編み材料は身近なところに沢山あります。
どんな植物でも、細長い「ひも」にすれば編めるからです。
例えば短い「草」や「藁」は束ねて継ぎ足しながら糸を巻き付けると長くできます。
ですから旺盛に伸びて繁殖する庭の雑草だってカゴ編み材料です。
かご編み素材として採取すると思えば草取りも楽しくなります。
かご編みに使える植物と下準備の方法

かご編みしやすいのは「柳」の枝や「つる植物」など、しなやかで細長い枝。
水やぬるま湯に浸けて柔らかくしてからカゴに編みます。
柔らかな葉や藁は、そのまま編むと収縮してしまうので干して乾燥させておきます。
つる植物なら「若い枝」のほうが柔らかいので編むのが楽です。
茶色くなった古い枝は硬いので、水に浸すなど下準備をすれば編めるようになります。
素材を乾燥させる時には「冷暗所」に置きます。
あえて「天日干し」すると自然と色が抜けるので、白っぽいカゴにすることもできます。
トウモロコシの皮など、日に干すと色が抜けて白くなります。
編む時には湿らせたタオルで包むなどして水分を与え、柔らかくすると編みやすくなります。
十分な量を採集できたら編めますが、足りない場合は下処理だけして保存。
保存中にカビが生えないよう、風通しの良い場所に置きます。
材料の種類と採集する部分や時期によって、下準備の仕方や編む時の水に浸す時間が異なります。
【スイカズラの蔓】
そのままカゴ編みできるのが、ブドウや藤など「蔓」植物です。

1~2年目の蔓を晩秋から早春までに採集
まず沸騰した湯で3~4時間茹でます
素早くタオルでこすって樹皮を取り除いておきます
編む時には「ぬるま湯に20分」浸します。
【柳の枝】

1年目に伸びた緑色の枝は春に採集
すぐ使用するか、乾燥させて保存
古くなった茶色の枝は晩秋か冬に採集
4~6時間茹でるか、3~4日水に浸します
樹皮をはがしてから使用します。
編む時には「ぬるま湯に30分」浸します。
【フジ、ブドウ、ツタの蔓】

しなやかで長い蔓を秋か早春に採集
冷暗所に吊るして乾燥
緩んでいる皮は剥いておきます。
編む時には「ぬるま湯に一晩」浸します。
【ブラックベリー/ラズベリー】

1-2年目の緑の枝を採集するなら晩秋
厚手の手袋をして枝をこすり
とげを取り除いておきます
いつでも採集できるのは古く茶色くなった枝
とげを取り除き、3~4時間くらい茹でておきます
「ぬるま湯に20分」浸してから編み始めます。
【トウモロコシの皮】
ネイティブアメリカンは「トウモロコシの皮」でカゴを作りました。
トウモロコシの皮などに「ヒモ」を巻きつけながら繋げていきます。

とうもろこしが熟した時に採集
内側の淡い緑色の葉を使います
広げるか吊るして
ゆっくり1週間くらいかけて乾燥
編む時には「ぬるま湯に1~5分」浸します。
簡単に作れるのが、細長くした枝や葉をクルクル巻いて作るカゴ。

束にした草に巻きつけるヒモは、市販の「麻紐」でもいいし、「柳の細枝」なども使えます。
細長い紐状にするには、葉を少しずつ足しながら「三つ編み」していく方法もあります。
この方法なら「クロッカス」や「松」などの短い葉でも繋げながら編んでいけます。
【アイリス・クロッカス・水仙の葉】

成長した緑色の葉は晩春から夏に採集
冷暗所で乾燥
あるいは天日で乾燥させて漂白
茶色く枯れた葉は最初の霜の後に採集
すぐ使用するか、日陰に広げて乾燥させておきます。
編む時には「水に浸すか軽く霧吹き」します。
【細長い草】

青々した緑の草は春か夏に採集
吊るすか広げて冷暗所に置いて乾燥
拡げて天日干しすると漂白されます
枯れた茶色い草は晩夏または秋に採集
すぐ使用するか、涼しく乾燥した場所に保管
編む時には「冷水に30分」浸します。
【わら】

枯れた茎を晩夏か初秋に採集
地面に広げて乾かします
あるいは逆さに吊るして乾燥
編む時には「ぬるま湯に10~20分」浸します。
日本では昔から藁を使った工芸品が多く作られてきました。
【蒲(キャットテイル)】

育ち盛りの若い葉は
根元のぬめりをきれいに落として
葉を広げるか吊るして乾燥
完全に成長した茎は先端部分を取り除き
根元を洗い、半分に割いて乾燥させ、さらに半分に割いて1/4の太さにしておきます。
初秋に採集し、編む時には「ぬるま湯に5~10分」浸します。
【松の葉】

いつでも採集できるのが緑色の長い葉
葉がついた枝を逆さまに吊るして乾かします
あるいは地面に広げて乾燥させてもOK
茶色の長い葉は乾燥した日に採集
きれいに洗っておきます
編む時に「ぬるま湯に柔らかくなるまで」浸します。
【カエデ・ハナミズキなど広葉樹の枝】
細長く裂いた「竹」や「樹皮」でもカゴを作れます。

細い1年目の枝を春か秋に採集
そのまま枝を裂いて使用できます
皮を剥くと仕上がりが綺麗
編む時には、ほとんど水に浸す必要はありません。
カゴの編み方いろいろ

カゴ編みの技法は無数にあります。
素人でも簡単にできるのが「渦巻き状」「編み込み」「格子状」のカゴ。
渦巻き状のカゴは、細長い素材をクルクル丸めていく作り方。
編み込みカゴは、十字にした芯に細長い素材を通していく作り方。
格子状のカゴは、同じ太さの細長い素材を縦横交互に通していく作り方です。
【渦巻き状に丸めるカゴ】

細長い素材をクルクル丸めていく作り方。
渦巻き状に巻いていくだけなので簡単です。
「わら」「松葉」「草」など短い草でもOK
束ねて「柳の細枝」などを巻きつけると細長くできます。
藁や草のような弱くてもろい素材でも丈夫なカゴにできます。
●素材の下準備
材料450~800gに対して、それらを包む「柳の枝」75~100本ほどを採集。
柳は、まっすぐで長く脇芽がない、今年になってから出てきた新芽を選びます。
一晩水に浸けてから半分に割きます。
ちょうど真ん中の部分、
枝の先端5cmほどに鋭いナイフで切り込みを入れて2本に分けます。
わらは直径1~2cmの束にして膝に叩きつけ、指かクシですいて短い部分を取り除きます。
10分ほど水に浸けて柔らかくし、湿らせたタオルに包んで巻いていきます。
●素材の巻き始め
1.わらの束に柳の紐を斜めに巻きつけ、交差させて先端を固定する
2.わらの端を柳の紐ギリギリで斜めに切り落とす
3.わらの束に柳を 4回くらい巻きつけたら渦巻き状に丸め、5回ほど中心に柳を通して引っ張り固定する
4.わらの隙間に竹串などを差し込んで柳を通し、束を巻きながら渦巻き状に丸めていく
●カゴ作り
随時わらを継ぎ足しながら、カゴの底を作っていきます。
柳を追加する場合は、新しい柳を隙間に通してから先端を渦巻きの間に隠します。
底面の大きさが十分になったら、徐々に上向きにカーブさせてボウル型にしていきます。
藁や葉を足しながら作っていくので、途中で色を変えて模様を描くこともできます。
渋い色合いでもカラフルな色でも、エスニックなカゴによく見られるデザインです。
側面が希望通りの高さになったら、わらの端を斜めに切り落とし、柳を巻き付けて包み込みます。
カゴの縁の部分は、これまで巻いた柳と交差するように重ねて巻き付け、補強しておきます。
【編み込んで作るカゴ】

太めの「蔓」を骨組みにします。
そこに細い蔓を巻き付けながら編み込んでいくカゴ。
蔓の曲がり具合が面白い風合いとなります。
大きなカゴにしても丈夫です。
ピクニック、畑の野菜入れ、洗濯物カゴなど、様々な用途に使えます。
「ブラックベリー」「ブドウ」「アイビー」「アサガオ」「スイカズラ」
つる植物なら何でも使えます。
特にスイカズラは丈夫な蔓が豊富に得られ、扱いやすく、くねくねした質感が魅力です。
カゴに編みやすいのは、まっすぐで太さが均一な蔓。
骨組みには直径1cmほどの太い蔓、編みこんでいく部分には直径5~6mmほどの蔓を使います。
●カゴの編み始め
まず必要な材料を準備します。
- 長さ150〜180cmの骨組み用の蔓6本
- 長さ120cmの編み込み用の蔓15~20本
編み込みには最低でも6mほどの蔓が必要です。
途中で折れてしまうものもあるので余分に用意しておくと安心です。
持ち手の部分には、長さ90cmほどの「太い蔓」を探しておきます。
1.長さ180cmの蔓6本を3本ずつ束ねて十字に重ねる
2.編み込み用の細い蔓は、片側が短くなるよう二つ折りしておく
3.十字にした骨組みの上3本に細い蔓の折った部分で挟む
4.細い蔓を交差させながら、十字の部分に3回ほど巻き付ける
5.十字にした6本の骨組み1本ずつに細い蔓を交差させながら巻いていく
●カゴ編み
巻き付けていく細い蔓は、絡めながら継ぎ足していきます。
底の部分が十分な大きさになったら骨組みを折り曲げて側面を作っていきます。
蔓が硬ければ、水で濡らすと曲げやすくなります。
側面の高さが十分になったら、縁を編み込んで仕上げます。
骨組みの蔓を折り曲げ、隣の蔓を交互にくぐらせながら編み込んでいきます。
●持ち手を縁に取り付ける
持ち手の蔓には、細い蔓1本ずつ数本を巻き付けて補強します。
長さ60cmくらいの束にした細い蔓をカゴの縁に差し込み、縁の間に通して固定します。
【格子状に編む四角いカゴ】

木や竹を薄く剥いで材料にします。
紙バンドなどでも編めるカゴです。
25×30cmの四角いカゴを作る場合
2.5cm幅の材料を3種類準備
- 長さ60cmのもの9本
- 長さ50cmのもの11本
- 長さ180cmのもの7本
その他に必要なものは2点。
- 縁を補強するための蔓
- 持ち手にする直径0.6~1.2cmくらいの枝
持ち手にする枝は一晩水に浸けておき、U字型に曲げておきます。
長さ50cmと60cmの薄板を交互に重ねながら格子状に編んでいきます。
底の部分ができたら薄板を曲げて立ち上げ、周囲を180cm長さの薄板で編んでいきます。
側面ができたら、上部に出ている薄板の幅を半分にカットしてから縁に挟み込みます。
180cm長さの薄板2本で縁を補強し、細い蔓を巻き付けて固定します。
蔓の先端は、カゴ内側で編み目に通しておきます。
U字型にした持ち手をカゴに差し込み、細い蔓を巻いて固定します。
かご編みに使えると思うと、生い茂る雑草ですら「素材」になります。
取っても取ってもはびこるツタなどは豊富なカゴ編み素材。
練習用として使うには最適です。
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