バラの香りは、切り花で愉しんだ後も、花びらを保存して長く楽しめます
香りを保存する方法には「ポプリ」「アンフルラージュ」「蒸留」などがあります
バラの香りに包まれながらの作業そのものが楽しい時間
様々な保存法で、花の咲いていない時期も楽しめるのがバラの魅力です
ポプリでバラの香りを保存する
ポプリには「ドライポプリ」と「ウェットポプリ」があります。
ドライポプリのほうが作り方が簡単で、花の色や形を活かせます。
ですがウェットポプリのほうが香りは強く長く残ります。
ポプリ(potpourri)とはフランス語で「腐った鍋」を意味する言葉。
昔のポプリは、材料を数カ月もかけて腐らせることで、香りを強く持続させていたからです。
ドライでもウェットでも、バラの花びらは「夏に花びらを取る」と香りがよく残ります。
朝露が乾いたら、花が開いた直後すぐのバラを摘み取るのがベストです。
【ドライポプリの作り方】
花びらを「平たい」ザルやカゴに入れます。
そのカゴを風通しの良い「日陰」に吊るします。
直射日光に当たると色褪せてしまいます。
晴れた暑い日なら数時間で花びらが乾燥します。
乾きにくい時には、数日おきに花びらを動かすと早く乾きます。
湿度が高い時期は低温のオーブンで乾燥できます。
濃いピンクや深紅のバラなら自然乾燥しても色が残ります。
でも自然乾燥させると茶色くなってしまうのが白バラや淡いピンクのバラ。
色や形を残せるのが「シリカゲル」です。
シリカゲルの中に花ごと埋めます。
香りは減るので装飾用です。
バラが完全に乾いたら取り出します。
香りを長持ちさせるには、固定剤が必要です。
例えば、ニオイアヤメの根を砕いた「オリスルート」がポプリの保留剤として使えます。
パウダー状になったものはウェットポプリにも使えます。
固定剤は「花びら2カップ」に対して「小さじ1杯」くらいで十分です。
蓋つき容器に入れて4~6週間ほど熟成させると香りが定着します。
容器やサシェにポプリを入れて、ルームフレグランスやクローゼットに。
時々「アロマオイル」や「ブランデー」を数滴たらすと香りが蘇ります。
【しっとりポプリの作り方】
まずは新鮮な花びらを2~3日くらい乾かして「革状」にします。
大きめの平たい鍋に花びらと「ヨウ素無添加塩」を交互に重ね入れます。
鍋の2/3くらいまで「花びら」と「塩」を入れたら、「重石」を置いた「皿」を乗せておきます。
長く置くほど香りが強く持続します。
最低でも2週間。
数日おきに花びらを掻き混ぜ、かたまりをほぐしておきます。
花びらに固定剤を加えて混ぜ、さらに2週間ほど置きます。
ウェットポプリは色が悪いので、穴の開いた蓋つき容器などに入れます。
アンフルラージュでバラの香りを抽出する
アンフルラージュとは「無臭の動物性油脂」を使って、花から精油や香水を抽出する技法です。
花の香りを「油脂に吸収」させてから「アルコールで定着」します。
●アンフルラージュの手順
1.湯煎で溶かした「ラード」を浅い皿2枚に入れてから固める
2.ラードが固まったら十字の切り込みを入れ、上にバラの花びらを敷き詰める
3.皿同士を向き合うように重ねてテープで止め、油脂に香りを閉じ込める
4.花びらを1~2日おきに新鮮なものと入れ替える
5.新鮮な花びらに7~8回ほど入れ替えたらラードを切り「消毒したガラス瓶」に入れる
6.瓶の半分までラードを入れたら「アルコール」を加えて蓋を閉める
7.一日一回は瓶をよく振り、暗い場所に8~12週間くらい置く
8.清潔な布を敷いたザルで濾し、消毒したガラス瓶などに入れて保存する
加えるのは消毒用エタノールで構いません。
「リラックス」と「リフレッシュ」二種類の効果があるのがバラの香り特性。
朝と夜で香りを使い分けることができます。
- 短時間かぐと心身を活性化させる → 朝にシュッとスプレーして体を目覚めさせる
- 長時間かいでいると心身がリラックスする → 夜にゆったり香りに浸って眠りを誘う
アロマティックビーズでバラの香りを楽しむ
肌に触れると体温で香るバラのビーズ。
ネックレスやブレスレットを身につけると、ほのかに香ります。
- 乾燥している日にバラを「30~40輪」ほど摘む
- 花びらを細かく刻み、鍋に入れ、かぶる程度の水を加える
- 火にかけて、沸騰しないよう、水が減ったら足しながら「1時間」くらい加熱する
- 一日おいてから再び過熱し、ザルで濾す
- 冷ましてからビーズ状に丸める
- 細い糸を通した針を熱してからビーズに刺し、好みの長さに繋げる
- 時々ビーズを転がしながら1~2日くらい乾燥させる
鉄鍋を使うと赤色を強くできます。
自家製ローズ・ウォーターの抽出
家庭用の蒸留器があれば、自家製ローズウォーターを作れます。
蒸留とは、液体を熱して「蒸発」させてから冷まし、特定の成分を取り出すことです。
バラの花びらを浸けた水を加熱すると、沸騰して水分が蒸発します。
この時に鍋などで蒸発させると、香り成分も空中に散ってしまいます。
けれど蒸留器の中で冷やすことで、香り成分が閉じ込められて溜まるという仕組みです。
蒸留器を使って水道水を蒸留水に変えることもできます。
蒸留器でローズウォーターを作ったら、ローションにも使えます。
ローズローションには引き締め効果があります。
ですから、どちらかといえばオイリースキン用です。
【ローズローションの材料】
- 深紅のバラの花びら(2カップ)
- 蒸留水(1カップ)
- ホワイト・ワイン・ビネガー(1カップ)
- ローズ・ウォーター(1/2カップ)
【ローズローションの作り方】
- 耐熱性のボウルなどに「バラの花びら」を入れる
- 鍋に「蒸留水」と「ビネガー」を入れて火にかけ、沸騰させる
- ビネガー水をボウルの花びらに注ぎ入れ、毎日かきまぜて数日おく
- 保存用のガラス瓶などに入れ「ローズ・ウォーター」を加える
バラの花びらでローションを作る場合には「深紅のバラ」がおすすめ。
薄い色のバラでは綺麗な色が出ないからです。
バラの花びらを食べる
無農薬栽培されたバラなら、花びらを食べることができます。
ですが、お花屋さんで買ったバラは食べられません。
エディブルフラワーとして市販されているバラか、庭で無農薬栽培したバラなら大丈夫です。
新鮮な花びらを「サラダ」に散らすだけでも、グリーンサラダに白やピンクが映えます。
花びらの「砂糖漬け」は、デザートのトッピングに使えます。
バラの香りを移した「ハチミツ」や「砂糖」なら、紅茶などに入れて。
「オイル」や「ビネガー」に香りを付けて、サラダドレッシングにも使えます。
【バラの花びら砂糖漬け】
花びらの色がうっすら見えて綺麗な花の砂糖漬け。
使う砂糖によって仕上がりが違います。
- グラニュー糖をまぶすとキラキラ光って綺麗
- 粉砂糖を使うと柔らかな色合い
冷蔵庫で保存できますが、卵白を使っているので数日以内に使い切ります。
- バラの花びらは、きれいに洗って水気を切っておく
- 卵白を軽く溶き、ブラシで花びらに塗る
- 茶こしなどを使って砂糖を振りかける
- ワイヤーラックなどに乗せて乾かす
デザートなどのトッピングにピッタリです。
- ヨーグルト
- アイスクリーム
- 手作りケーキ
- プリン
花の砂糖漬けは、食べられる花や茎なら何でも作れます。
青い花が綺麗な「ボリジ」や「スミレ」など。
砂糖漬けした「アンゼリカの茎」は、製菓材料として市販されています。
【バラの香りを食品に移す】
バラの香りを移すのは最も手軽な利用法
花びらを漬け込んでおくだけだからです
数日くらい漬ければ色や香りが移ります
- ビネガー
- オイル
- ハチミツ
- グラニュー糖
変色した花びらは取り除いておきます。
「リンゴジャム」を作る時にバラの花びらを加えて香りを移しても楽しめます。
煮込むと香りが少なくなるので、最後に香りを移すだけ。
リンゴジャムの仕上げに加えて火を止め、蓋をして香りを閉じ込めるようにします。
【バラのリキュール】
香りの強いバラの花びらなら、梅酒のように氷砂糖とホワイトリカーに漬けこんでリキュールにできます。
- バラの花びら(200g)
- 氷砂糖(100~200g)
- ホワイトリカー(500ml)
花びらと氷砂糖を交互に重ねながら瓶に入れ、ホワイトリカーを注ぎます。
氷砂糖が溶けたら冷蔵庫で冷やして飲みます。
バラの花びらリキュールは市販もされていて、バラの香りが素敵。
炭酸で割ると香りが立ちます。
【バラの花びらアイスキューブ】
製氷機にバラの花びらと水を加えて凍らせ、冷たいドリンクに使うと綺麗です。
花びらの色を活かすなら「透明な氷」にしたいところ。
透明な氷を作るためのポイントは2つあります。
- 不純物が含まれていない水を使う
- ゆっくり凍らせる
凍らせる前に水を「沸騰させる」と、ある程度は不純物を取り除けます。
蒸留器で蒸留すると万全。
硬度の高いミネラルウォーターではなく「軟水」で。
冷凍庫の設定温度を下げると、ゆっくり凍らせることができます。
製氷皿の下に「割り箸」や「発泡スチロール」など敷いて凍る時間を遅らせてもOK
丸い氷や様々な形の氷が作れる製氷皿を使っても楽しいです。
きれいな透明の丸い氷が作れる製氷皿。
>中にバラの花びらが浮かんでいたら、とっても素敵です。
丸い氷は、ゆっくり溶けるので、ドリンクが水っぽくなりません。
【バラを食用に使う時の注意点】
食用にする場合は「無農薬栽培」されたバラであることが大事です。
お花屋さんで買ったバラは、料理に使えません。
園芸用の植物には「農薬」が使われているからです。
美しく育てることが最優先なので、食品用の植物とは違います。
一番いいのは自分で育てたバラの花びらを使うことです。
コンパニオンプランツを利用すると無農薬でも栽培できます。
コンパニオンプランツで、バラの無農薬栽培も可能になります。相性の良い植物を混植すると、バラの病害虫が減るからです。
天敵を利用する方法でも、無農薬栽培が可能になります。
庭や家庭菜園を無農薬で栽培するなら、天敵を利用すると楽。小鳥などが、セッセと虫を食べてくれます。肉食の昆虫や爬虫類も、植物を食害せず虫を食べてくれます。
【食用に使えるローズウォーター】
オーガニック栽培されたブルガリア産ローズウォーターなら食用にも使えます。
調理に加えたり、ドリンクとして飲むこともできます。
良質のローズ・ウォーターを採れるのが「ダマスクローズ」といわれます。
世界のローズオイルの80%を生産しているブルガリア。
ブルガリアの地域特性がダマスクローズの栽培に適しているからです。
- 冷たい風が当たらない地形
- 水はけが良く酸を含んだ土壌
- 昼夜の温度差が大きい気候
- 春先には湿度が高くなる
無農薬栽培されたローズウォーターなら化粧水にしても安心。
手作り石鹸に加えても香りを楽しめます。
ローマの伝説によると、石鹸が発見されたのは、丘の斜面に大雨が降った後。祭壇の上で生贄を焼いた時の動物の脂肪と、燃えた祭壇の灰と、雨。偶然に混じり合ったのが石鹸の主成分である「水」「脂肪」「灰汁」です。
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