肥料の堆肥を作る時には、材料を使い分けると効果を上げられます
なぜなら材料によって含まれる肥料成分が異なるからです
例えば、肥料の三大成分が「窒素」「リン酸」「カリウム」です
これらの含有率が多い有機物を使うことで、目的別の堆肥を作れます
そして植物の成長段階に応じて、必要な成分を補うことが可能です
肥料の堆肥に適した動物性の有機物
動物性の堆肥とは、牛糞や鶏糞など主に動物の排せつ物を材料にしたものです
自然界では、虫や鳥など動物の死骸は全て、いずれ分解されて土に還っていきます
これらに含まれる豊富なタンパク質や糖質が分解されると、植物の養分となります
とはいえ家庭で牛糞や鶏糞を手に入れられる機会は少ないはずです
ですから一般的には、市販されている動物性堆肥を購入して使います
特に肥料効果が高いのが、窒素分の多い鶏糞です
草食動物の糞は、鶏糞と比べると肥料効果が少ないですが、植物性の堆肥よりは養分があります
特にバラ栽培に効果的だと言われているのが牛糞堆肥です
牛糞堆肥は「バラの寒肥」に適しています。それは牛糞堆肥に含まれる「アンモニア」はバラが好んで吸収する成分だからです。バラが休眠している冬に土を掘って混ぜておくと、ゆっくり長く効果が続きます。牛糞堆肥には繊維質も豊富なので、土を柔らかくする効果もあります。
有機物の肥料成分
有機物の種類 | 窒素(%) | リン酸(%) | カリウム(%) |
鶏糞 | 4.5 | 3.2 | 1.3 |
海藻 | 24-30 | 1-2 | 5 |
骨粉 | 20-25 | ||
魚粉 | 6-8 | 13 | 3-4 |
牛糞 | 0.6 | 0.15 | 0.45 |
馬糞 | 0.7 | 0.25 | 0.55 |
木灰 | 1-2 | 3-7 |
これらは単体で肥料として使うことができる有機物です
窒素は主に「枝葉」を育てる成分なので、植物が成長する「春」などに多く使います
リン酸は主に「花や実」を育てる成分なので、果樹や草花の「開花期」に必要です
カリウムは主に「根」を育てる成分なので、植えつけたばかりの「苗」の生育を助けます
ただし植物が有機物を、そのまま吸収できるわけでもありません
土の中で微生物が食べて消化した後の排せつ物が、植物の養分となります
そのため有機物は、微生物に消費されながら、ゆっくり長く肥料成分となっていきます
肥料の堆肥を使う時の注意点は、病害虫も養分に集まってくることです
そのため与えすぎると逆効果になってしまいます
肥料の堆肥に必要な窒素
空気は主に窒素(78%)と酸素(21%)なので、植物は呼吸によって窒素を取り入れています
そして葉に含まれる葉緑素で光合成を行い、エネルギー源となる炭水化物を作っています
さらに窒素分の多い肥料を与えるのは、枝葉の成長を促すためです
肥料の堆肥には、よく「油かす」「米ぬか」「鶏糞」などが使われます
これらには「窒素分」が多く含まれているからです
有機物を分解して堆肥にする時には、微生物も窒素分を吸収しています
すると窒素分の少ない有機物では、植物が吸収できる窒素が残りません
そのため微生物が消費しても窒素が残る有機物を使う必要があります
【有機物の炭素と窒素の割合】
微生物は、有機物に含まれる「糖質」や「タンパク質」を「窒素」と「炭素」に分解します
その時に微生物は「炭素100g」につき「窒素5g」くらいを消費しています
そうすると「炭素20:窒素1」の割合だと、窒素は全て微生物に使われてしまいます
ですから植物が使える窒素を残すには、窒素1に対して炭素は20未満である必要があります
●窒素の比率が高い有機物
有機物の種類 | 窒素の含有量(%) | 炭素:窒素(比率) |
牛糞 | 1.70 | 18:1 |
野菜くず | 3.00 | 18:1 |
鶏糞 | 3.20 | 7:1 |
尿 | 8.00~15.00 | 0.8:1 |
これらの有機物を多く使うと、肥料効果の高い堆肥が作れます
【堆肥の発酵を促進させる補助材料】
炭素の比率が多い有機物は、微生物を増やすために使います
窒素分は全て微生物に消費されてしまいますが、有機物を早く分解してくれます
そのため発酵を促す促進剤として使います
●炭素の含有量が多い有機物
有機物の種類 | 窒素の含有量(%) | 炭素:窒素(比率) |
木くず | 0.11 | 511:1 |
わら | 1.05 | 48:1 |
クローバー | 1.80 | 27:1 |
窒素が多い有機物をメインに、炭素が多い有機物を補助的に加えます
すると肥料効果の高い堆肥が効率よく作れます
肥料の堆肥を使う時の注意点
すぐに植物を植える場合には、すでに分解が終わっている「完熟堆肥」を土に入れます
分解が不完全だと、土の中で発酵して熱やガスを発生し、植物の根を傷めるからです
発酵中には微生物が有機物を消費しているため、窒素分が足りないこともあります
完熟していない堆肥の場合は、植え付けの「1週間~1カ月くらい前」には土に混ぜておきます
そうすれば植え付けする頃までには分解・発酵が終わっているはずです
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