ネイティブアメリカンたちが使っていたのは、もともと自生していた薬草です。
そこへ入植したヨーロッパ人たちが、自国のハーブを持ち込みました。
さらにインドや中国などアジアの薬草も使われるようになっています。
西洋医学が発達しているアメリカでも、民間療法として使われるのがハーブです。
医薬品の代わりにはなりませんが、生活の知恵として広く伝わっています。
ハーブの入手と使用前の準備

薬用ハーブの使い方は主に3つあります。
- ハーブティ
- 軟膏
- オイル
煎じ薬や煎じ液は冷蔵庫で保存し、3日以内で使い切ります。
軟膏やオイルなら冷蔵庫で数カ月くらい保存できます。
【ハーブティ】
濃く浸出したハーブティは様々な調合に使えます。
煎じ方は「ドライハーブ(大さじ2)」に「熱湯(450ml)」を注ぎます。
飲む場合は10分、肌に塗る場合は3時間ほど蒸らします。
煎じ薬として使う場合は、蓋をした鍋で5~10分ほど煮ます。
【軟膏】
軟膏にする場合は「粉末ハーブ1:油脂4」の割合で混ぜます。
油脂は温めたラードやラノリンなど。ラノリンは羊毛から採れる油脂です。

防腐剤として「ベンゾイン」を数滴ほど加えます。
ベンゾインは東南アジアにある熱帯性の樹木。
樹液を精製したアロマオイルはバニラのような甘い香りです。
【アロマオイル】
アロマオイルには新鮮な花びらなどを使います。
無臭の油に1~2日ほど浸し、花びらを新しいものに入れ替えます。
7~8回ほど繰り返すと香りがオイルに移ります。
【薬用ハーブと調合する材料】
ハーブは医薬品の代わりにはなりませんが、不快な症状を和らげる効果はあります。
身近にある食品なので、安心して口にできることがメリットです。
オイルなどを調合すると肌に塗りやすくなります。
●ローズマリー
ローマ人は記憶力を向上させるために使用していました。
煎じ液で髪をすすぐとフケを取り除き、艶を高める効果があります。
●アロエ
南西部のネイティブアメリカンは、シワとハゲ予防に使用したそうです。
葉を切ると出るジェル状の液は、軽い火傷や虫刺されのかゆみを和らげます。
●バジル
インドの僧侶は、瞑想を助けるため強い香りで虫除けに使っていたそうです。
煎じて飲むと頭痛を和らげると言われます。
バジルは種からでも簡単に育ちます。
温かくなってからでないと芽が出ないので初夏に種まきします。
●カモミール
かつては甘い香りの芝生として人気があったといいます。
芝生として使われたのは匍匐性の「ローマンカモミール」です。
種からでも育てられますが、多年草は育つのに時間がかかります。
一年草のジャーマンカモミールは種から育てやすいハーブ。
草丈50~60cmになります。
花を煎じた液は不眠症や歯痛を和らげ、ブロンドヘアの美しさを保つとされています。
●コンフリー
骨折を治すと言われているのがコンフリーです。
クリームや湿布にして患部を癒すために使われました。
●高麗人参
東洋では若さを保ち長寿を叶える媚薬と考えられている高麗人参。

食欲を増進させるなど刺激剤として広く使われます。
●クローブ
中国人は口臭予防のために使うと言われます。
クローブオイルには防腐作用と麻酔作用があります。
カーネーションのような可愛い花が咲きます。

歯痛や吐き気を和らげる効果もあると言われます。
●ローズウォーター
古くから若々しい肌を保つと信じられ、フェイスクリームやフェイスマスクに使われます。
バラは香りで気分をリフレッシュしたりリラックスさせる効果があります。
蒸留器を使えば、自宅のバラからローズウォーターを作ることも可能です。
●アーモンド
スイートアーモンドオイルは化粧品の栄養成分として使われます。
すりつぶしたアーモンドは洗顔スクラブとしても使えます。

●ニンニク
ニンニクは古代エジプト時代から世界中で使われている薬草です。
耳の痛み、低血圧、下痢などを治すとされています。
ニンニクには防腐作用や覚醒作用もあると言われます。
●リンゴ酢
古くからエネルギーを高め、睡眠を助けると言われるのがリンゴ酢です。
お風呂の湯に入れると肌のかゆみを和らげます。
●ラノリン
ラノリンは、羊の毛から抽出される油脂です。

乾燥肌を潤すので、多くのクレンジングクリームにも使われています。
●ハチミツ
穏やかな鎮静作用があると共に、素早いエネルギー源にもなるのが蜂蜜。
肌に塗ると、しっとりさせる働きがあります。
咳と風邪に効く薬草

軽い風邪の時に良いのが「クランベリースープ」。
フィンランドの伝統的なドリンクです。
体を温め、ビタミンCを補給することができます。
材料
- クランベリー(1カップ)
- 水(2カップ)
- 片栗粉(大さじ1)+水(大さじ2)
- クランベリージュース
- 砂糖または蜂蜜
- 生クリーム
作り方
- 材料を鍋に入れて沸騰寸前まで加熱し、クランベリーの皮が開くまで煮る
- 火からおろし、水溶き片栗粉を加える
- クランベリージュースを加え、かき混ぜ、火にかける
- 沸騰させ、とろみがつくまでかき混ぜる
- 砂糖と生クリームを加える
【喉の痛みに効くドリンク】
材料
- コンフリーの根
- カモミール
- ローズマリー
- 蜂蜜
- レモン
鍋に入れて弱火で煮込み、濾してから飲みます。
温かい「湯(カップ1)」に「酢(大さじ1)」を入れて飲んでも効果的です。
【禁煙ハーブ】
カモミールには喫煙の欲求を抑える効果があると言われています。
煙草を吸いたくなったら「カモミールの花」を噛みます。
どうしても吸いたい時にはハーブ煙草に。
紙巻き煙草の紙に発がん性があると言われるので、煙管がいいかもしれません。
色々と使ってみましたが、使いやすい煙管です。
【咳止めシロップ】
咳止めに効果があると言われるのがグリセリンとレモンのシロップです。
材料
- レモン(1個)
- グリセリン(大さじ2)
- ハチミツ(大さじ2)
レモンを水に浸けて10分ほど煮てから果汁を絞り、グリセリンとハチミツを加えます。
グリセリンはステビアの葉から抽出されたエキスです。

食品の保存料やカロリーゼロの甘味料として使われ、料理にも使えます。
【頭痛を和らげるハーブ】
ドライハーブ各大さじ4と「クローブ」数個を布の袋に入れて、香りを吸い込みます。
- ラベンダー
- マジョラム
- ベトニー
- バラ
ベトニーは和名「カッコウチョロギ」というシソ科のハーブです。
環境や状況を変えてみることで頭痛が治まる場合もあります。
例えば、日向にいたなら日陰に移動して、冷たい濡れタオルを額に当てます。
疲れていたら、何か食べてエネルギーを補給します。
今していることを中断して深呼吸のも効果的です。
片頭痛は、その場でのジョギングなど少し強めの運動をすると和らぐことがあります。
疲労感や足の痛みに効く薬草

疲れた時に効くのが「ハチミツ酢」。
コップ1杯の水に「酢(大さじ1)」と「ハチミツ(大さじ1)」を入れたものです。
一日1回飲むだけで疲労を回復させてくれます。
お風呂の湯に「酢」や「レモン」を入れても元気が出ます。
酢やレモンの入浴で、肌のかゆみを和らげる効果もあります。
【筋肉痛や腰痛に効く薬草】
筋肉痛や腰痛のマッサージに効果的と言われる「ウィッチヘーゼル」。
ウィッチヘーゼルはネイティブアメリカンが使っていた落葉樹です。
葉や樹皮からエキスを抽出します。

毛穴の黒ずみを取り、引き締める効果もあると言われます。
ウィッチヘーゼルのエキス(1カップ)+消毒用アルコール(1/4カップ)
これで優しくマッサージすると疲れた筋肉の痛みを和らげます。
1カップなら100ml入り2本が必要です。

樹皮の状態でも市販されています。
食用にはできないので、フットバスやマッサージ用に。

ハーブティとしては使えません。
【足の疲れを取る薬草】
ぬるま湯にラベンダーオイルを数滴ほど入れて足湯すると疲れが早く取れます。
田舎道などを歩いていて足が疲れた時に使えるのが「シダ」。
靴の中に入れておくと足の疲れや痛みが和らぐと言います。
【水虫に効く薬草】
酢は皮膚の表面にある抗酸化菌を回復させると言われます。
熱い「リンゴ酢」に「セージ」と「アグリモニー」を入れて足湯。
1日3回ほど、30分くらい足を付けておきます。
アグリモニーはバラ科の多年草です。
黄色い綺麗な花が咲き、ハチミツの香りがすると言います。
消化不良や胃の不調に効く薬草

ネイティブアメリカンが消化不良の改善に飲んでいたのが「ミントティ」。
ペパーミントティやパパイヤミントティが胃の不快感を和らげます。

吐き気を抑えるのが「クローブティ」。
急に吐き気を感じた時に飲むと改善できます。
消化液の分泌を促すためには、食前のフルーツが効果的です。
ドライフルーツを食べたり、フルーツジュースを飲むだけでOK
前菜などにフルーツを使うのも良い方法です。
【胃酸を抑える】
胃酸を抑えるのが「重曹」と「レモン汁」。
ぬるま湯(カップ1/2)に重曹(小さじ1/2)と数滴のレモン汁を入れて飲みます。
吐き気がする時には重曹を入れた水で口をすすぎ、残りを飲みます。
【腸の不調を改善する】
腸の不調を改善するのが「ニンニク」。
消化を促進する働きもあります。
胃もたれする時には料理にニンニク1~2片を入れると効果的です。
口臭を抑えるためには、ニンニクを食べた後「生のパセリ」を食べます。
【ガスやしゃっくりを止める】
ガスが溜まりやすい時に良いとされるのは
- ショウガ
- フェンネル
- キャラウェイ
- ディル
食後に砂糖漬けのショウガを食べるのも効果があると言われます。
フェンネル、キャラウェイ、ディルは、種を噛みます。
しゃっくりを止めるには、小さじ1杯の「ピーナツバター」を食べると良いそうです。
皮膚の炎症、火傷、虫刺されに効く薬草

肌の保湿に効果的なのが「ハチミツ」と「ローズウォーター」。
ハチミツもローズウォーターも皮膚の新陳代謝を助けると言われます。
保湿効果があるハチミツが乾燥した肌に潤いを与えてくれます。
ハチミツ(大さじ1)にローズウォーター(数滴)を加えます。
リップクリームやハンドクリームとして塗ると効果的です。
グリセリンとローズウォーターを混ぜてもリップクリームにできます。
ひび割れた唇を保湿する効果があります。
蒸留器があれば自家製ローズウォーターを作ることも可能です。

【日焼けした肌をいたわる】
日焼けで肌がヒリヒリしている時に皮膚のほてりを鎮めるのが「ティーバッグ」。
お風呂に2~3袋を入れて入浴します。
これは、お茶に含まれるタンニンが肌の熱を取り去るためです。
お茶を濃い目に入れて肌に塗ったり、濡れたティーバッグを肌に当ててもOK
お風呂に煎じた「コンフリーの根」を入れても効果があると言います。
【日焼け止め】
日焼け止めに使えるのが「酢」です。
水(カップ1/2)に酢(大さじ2)を混ぜて肌に塗ります。
酢1:オリーブ油1を混ぜたものでも効果的です。
オイルは他の植物油でも構いません。
【軽い火傷の手当て】
軽い火傷に効くとされるのが「マシュマロ」と「コンフリー」。
肌を癒す効果が高い組み合わせです。
マシュマロ(大さじ2)と、つぶしたコンフリーの根(大さじ2)を鍋に入れます。
オリーブ油(カップ1)とワイン(カップ1)を加えて30分ほど加熱。
冷まして濾したものを肌に塗ります。
アロエの樹液も火傷、皮膚炎、虫刺され、ウルシかぶれに効くとされます。
大きめの葉を切ってゼリー状の樹液を皮膚に塗るだけ。
葉はラップをして冷蔵庫で保存できます。
薬草を使う上での注意点

薬草は医療の代わりにはなりません。
何らかの疾病がある時や妊娠中は、必ず医師に確認することが大事です。
天然だからといって過信するのは禁物です。
人によってはアレルギー反応が出る場合があります。
初めて使う時には必ず微量でテストし、3日ほどおいて反応が出ないことを確認します。
食用と明記されたもの以外は、口に入れたり肌に付けたりしないほうが安全です。
園芸用の苗には農薬が使われているので、食用や薬用には使えません。
ハーブティとして売られているものなら安心して使えます。
野山で野草を摘む場合は、間違わずに識別できることも大事です。
よく似た植物でも全く違うものもあり、中には有毒の植物もあります。

庭や菜園を作る時には、有毒植物についても知っておくと安心。子供やペットが口にすると危険ですし、自分が間違って食べる可能性もあります。公園や野山など、意外と近くにも有毒植物は生えています。
確実に識別できない限り、市販の種や苗を育てた方が安心です。
タンポポは識別しやすく、安心して食べられる薬草。

たんぽぽは「蒲公英(ほこうえい)」と呼ばれ、生薬として使われる薬草。根、葉、茎、花、全草が利用できます。薬効には「美肌」「健胃」「胆汁分泌」などがあります。
ドクダミも識別しやすい薬草ですが、用量や使い方には注意が必要です。。

どくだみは、葉、花、茎、根、全草が薬草として使えます。どくだみの葉や茎を乾燥させたものが漢方の「十薬」という生薬。主な効能は「殺菌」「利尿」「整腸」です。
当ブログ記事を整理して電子書籍と紙の本で出版しています。
Unlimited会員なら無料でダウンロードできますので、よろしかったら覗いてみてください。











